ユタカ2イキルオテツダイ

ほんの少しずつ、ゆたかになってゆきましょう

29話 穏やかな心【おわりに】

受験まであと1ヶ月を切ったある日 、金ちゃんは 家に 顔を出しました 。

会話の途中で、少しなげやりにこう言います。

 

「勉強が好きな人には二通りあると思う 。初めから勉強が好きな人 。やっていくうちに好きになっていく人。 僕はそのどちらでもないということに気がついた」

 

私は少し胸が詰まるような思いがしました。 金ちゃんが理想を追っているのは分かっていました。

 いつか何かが、はがれ落ちるのではないかという思いはありました。私はこの日が来るのを 知っていたのだと思います。

前もって準備していたことを言いました。

 

「どうして野球選手 がプロとしてお金をもらえるのか、という理由がね。野球がうまいからだって思うんだけど、うまくてもプロで食べれない人がいて。

 じゃあ、なんですかっていう。その選手が ヒットを打っても打たなくても、 ファインプレーをしてもしなくても、 観客がその人を美しいと 思うからお金を出すんだって」

 

金ちゃんに届くでしょうか。

 

「 今の金ちゃんはあまり美しくないよね。 駄目だと思っても最後まで走りきった方が いいんじゃない」

 

たいがいこういう時、金ちゃんは黙って話を聞いています。

 

「それに勉強が好きじゃないなら その目指している大学は 勉強ばっかりするところだし。

もっとゆるい大学でやりたいことやった方がいいんじゃない?

あたし達ンときは日本の大学っていうと受かったら遊ぶぞって、人生で遊ぶのは今しかないみたいイメージだった。ま、バブルだったんだけど」

 

「今の人はそうじゃないんだな」

「たしかに今の方がまともだけど、もう少し」

 

遊んでもいいんじゃない、と言って、ずれたことを言っている気がしました。遊ぶって息抜きとか喜びとか解放のイメージがあるのですが、

本当に楽しいことって夢中になることらしいですね。

それがネガティブになったときは止め時なんだとか。小学校の時からゲームに夢中になっていた金ちゃんの遊びの感覚は

そういった状態なのかもしれませんね。

 

金ちゃんはこわばった表情を崩すことはありませんでした。



そして、受験を終え結果が出た今 、金ちゃんは穏やかな表情をしています。

 

第一志望の大学に 受かったからではありません。

何かの本で書いてありました「自分と折り合いをつける」。

自分の中の 色々なものと 折り合いがついたのかもしれません。

 

これから金ちゃんは地方の名もない大学で 一人暮らしをしながら 大学生活を 過ごすことになります。

私はその大学と 地域を調べながら こう思いました。

「これは金ちゃん、ここに呼ばれたな」。

 穏やかな気候です。 その大学の三つしかない学部のうち二つは女性が活躍しているようでした 。しかも人数が少ないのです。

学校長も女性です。

 

この環境で 金ちゃんはどう成長してゆくのでしょう。私はすこし面白がってこれから羽をのばすのか聞いてみました。すると

「大学に行っている間に会社をつくる」、 と金ちゃんが言いました。新しい目標に向かって金ちゃんは突き進むようです。

そして「今と同じ生活が続くと思う」と言いました。




【終わりに】

 

辛抱強くここまで読んでくれて有り難うございました。

この物語を書く目的のひとつは 、ネットで調べても このような体験をした人の話が見つからず、未知の不安が私にあったからです。

この物語は、人名、場所をのぞいて全て実録です。

この物語が誰かの役に立ったのではないか と 思っています。

 

二つ目は金ちゃんがもう少し大人なったとき、人生のパートナーに

金ちゃんという人をよく知ってもらいたい、そんな気持ちもありました。

 

貴重な時間を費やして読んでくれた読者に感謝します。




28話 青空

金ちゃんは数日前に模試を終えたばかりで、 眠たそうな顔をして 待ち合わせの場所にいました。

これから一緒に服を選んで、そのあと家で お昼ご飯を食べる予定です。

 

店には結局2時間もいました。

金ちゃんは何回 試着を繰り返したことでしょう。

私は、ぐったりして椅子に腰かけています。

 

「そのタリーズコーヒーで一回休憩しようか」

 

金ちゃんは椅子の背もたれに 両手をのせてこう言いました。

 

「いや、ここで決めたい」

 

疲れ果てたけど 納得のいく服選びができました。

自分の心地よさは自分にしかわかりません。

はじめに気に入った服はサイズがなくて、マネキンの着ているコーディネートはコートが好きじゃなくて。

 

金ちゃんはいつもあきらめない。高校受験の時も、マラソンも。大学受験も。

 

店員さんも、金ちゃんに付き合ってくれて、注文を聞きながら スマホでコーディネートを見せてくれたりしました。

でもどれも金ちゃんはうなずきません。

 

これも金ちゃんの個性、才能なんだなと思いました。

ブログのデザインも完璧なんです。

自分のペースで出来る仕事がむいているのだと思います。

 

金ちゃんは少し猫背になって「疲れた」と言いながら店を出ました。

 

「で、今日の料理は何」

 

「昨日のうちに作っておいた、ヒジキ煮物と」

 

「……」

 

「ぶり大根」

 

「うん」

 

「あとは、ちょっとやること残ってるけどギョーザ」

 

「いいねぇ!」

 

 家に帰ると金ちゃんが「何か手伝うことある」というので 餃子を包んでもらうことにしました。

金ちゃんはお皿を並べます。以前はそんなこと何一つしませんでした。

少しずつ大人になっていきます。

 

台の上にラップを敷いて薄く片栗粉を広げ,その上に包んだ餃子をのせます。

焼いたときにその片栗粉が餃子の羽になり バリバリになります。とってもおいしい。

 

金ちゃんは餃子の皮を合わせてから ひだを作るので 少ししか具が入りません。

 

「手前の皮だけをひだにしないと、こう」

 

嫌な予感はしていましたがやっぱりできないようです。

金ちゃんは気にしません。

結局 水をつけて半分に折りぎゅっと手で握るだけになりました。

金ちゃんはその具のはみ出た餃子を「ラッキー餃子」と名付けました。私は笑いました。

 

そんな時間が何よりもたのしい。

 

そんなふうに、わいわい しているうちに餃子は焼けて 「うまーい」と 私が言い金ちゃんも「うまい 、やっぱり餃子は手作りだね」と言いました。

 

「日本人のいない海外で一人で暮らすのもいいよね」

 

「えっ」

 

「DaiGoさんも、一人で海外に行って出会った人に仕事もらったりしたって」

 

「えーっと、留学とか」

 

「りゅうがくー、もいいかもね。1年くらいプログラミングの勉強してから一人でー…」

 

私は本当にびっくりしました。 家の中にずっといて 外に出ることのない金ちゃんです。

 そんなことを言い出すとは 夢にも思いませんでした。

 

「僕がほら 、けんじと出会ったのも  教習所に 一人で行った時だし」

 

「うんうん 、楽しいと思うよ 。ママは若いうちに 色々そういうことやってみたほうが いいと思ってる」

 

わたしはあくまで、大学生活の合間にすること、と捉えようとしていました。

 

しかし、金ちゃんは上手くいけばそのままフリーで働きたい、そんなふうに思っているのです。

それを遠回しに言っているのです。

 

優しい子なので 親(私)の考えを先取りしてしまいます。

 

大学を卒業して、ちゃんとした企業に1度は就職する。

それが、安全な道だと私は思っていました。




私の耳に入ってくるのはこういうことです。斎藤一人さんの話です。

「心が軽くなる、重くなると言いますが、何が起こっているのでしょうか」という質問に答えています。

 

世界はどんどん良くなっていく 100年前より 200年前より今のほうがもっといい。

 未来はもっと良くなっていくのに 未来は悪くなると 言う人がいる。

未来が良くなると思ってる人は 空が晴れたように明るくなる。

未来が良くなると思っている人に心配事なんかあるわけない。

 

未来は悪くなると思っている人は 本当はよくなっていくはずなのに 心がその考えに抵抗して重くなっている。

その間違った観念が 抵抗している。

世の中が良くなればあなたの生活も良くなるもの。

 

親の教育。「そんなんじゃダメになる」とか「世間はそんなに甘くない」とか 誘導しようとした 。

間違った誘導 。

このままで大丈夫なんだって教えてない。

それで、無理やり勉強させようとしたり嫌なことをさせようとした。

それで重くなっちゃった。





私は自分の昔のことを 思い返していました。

 

学校を卒業後、バイトをしながらチャンスを探していました。

ある業界で働きたかったのですが、どうしたらいいのか全く分かりませんでした。

 

ある時、この人の舞台美術は すごいと思っていた人が、  私の職場に顔を出しました。

その時私は「何か仕事ありませんか」と言ってしまったんです。

 

私は、そうやって道を切り開いて行った人の話を本で読んでいたんです。

 

それからしばらくして 「他の人の仕事があるけど」と言いにこられました。

私は飛び上がるほど嬉しかった。即座に「やります」と言いました。

 

後から思い出してみると 何か鋭い目で 私を見ている 人が いた、その人が依頼人でした。

 

とにかく何もかも素人で 自分で調べながら色々やっていました。 それでもとっても楽しかったんです。

 そんな仕事の中でやはりこの人は、と思う人がいました。

私はまた「何か仕事ありませんか」と声をかけて 仕事をもらいました。

雑用です。

しかし、超 一流の人たちの仕事を近くで見ることが出来ました。

ものすごく楽しくて、人生最高の時でした。



そしてあるとき 小さな所の人から仕事の依頼がありました。

もちろん引き受けました。

しかし、それまでやっていた大きい所の仕事とは、要領が全く違いました。

 

丁寧な説明もありませんでしたし、仕事の進み具合も早くて雑でした。

 

私は、大失敗をやらかしました。

 

私は未熟で子供でした。

上手くいっていてのは、周りの大人の力でした。

私は自分の力だと勘違いしていました。

 

失敗に慣れていなかった私は、ひどく落ち込みました。

「もう、ダメなんだ」と思いました。

 

 そんな様子を見かねてか 、はじめて仕事をくれた人が私にアドバイスを始めました。

 

強烈な個性の人(オレンジ色のミニスカートをはいていた)を指さして

「お前、あんな風になれ」。

小さな仕事でいいと言う私に

「 それじゃあだめなんだ、もっと外に出て大きくなれ」。

私がなにか言おうとすると「いいから俺の言うことを聞け」と言いました。

「お前この職業をやれ、10年はかかる」。

 

いま思うと、正しいこともあったと思います。

成功の振動数というのがあって、その振動数をあげる方法に派手な服を着る。というのがあるし、

落ち込むとオーラが内向きになる。ということもあるのうですから、それを外向きに変えようとしてくれたのでしょう。

私が気弱になり、人に頼って生きていこうとしたことで、はっぱをかけるつもりもあったのだと思います。

やれと言われた職業は、一人でコツコツやるのが得意な私に向いていました。



しかし、言われれば言われるほど、私の心は重くなっていきました。

「そのままのお前はダメなんだ」と言われているように感じてしまったのです。

 

思い返すと、私の父親はいつも私をバカにしていたし、母親は心配そうな顔をして私を見ていました。

 

「そのままの自分はダメなんだ」と思う下地は十分に出来上がっていました。

 

しかしその考えを受け入れたのは自分です。

それに驚くべきことですが、そう思っている方が楽だったのだと最近気が付きました。

 





あなたはそのままで大丈夫なんだ。

 

あなたはどんどん良くなる。

 

そして空が晴れたような明るい心になる。

 

心配なんてすることはない。




その考えを受け入れることが出来れば、もう少し明るく軽やかな心になれる。

必要以上に落ち込むことはなくなる、そう思いました。

 

27話 かっこいい人

金ちゃんが今年2度目の引っ越しをしました。

 父親が「タバコの匂いが気になる 」とまた、言い出したのです。

1度目も同じ理由でした。

 

私は新しいマンションに訪ねてみました 。

金ちゃんは一通り中を見せるとこう言いました 。

 

「入って10秒だよ 10秒で また『タバコの匂いがする」って言い出した」

 

本人以外はみんな、 本人がおかしいと思っています。

 

「最近酒の飲み過ぎで頭やられてるみたいで 、一人でブツブツ言ってる」

 

金ちゃんはさらっと言います。私は「金ちゃん、大丈夫?」と聞きました。「いつでも戻って来ていいんだよ」すると金ちゃんは「この環境で頑張ると決めた」と言います。

 

「最近は勉強が面白くなってきてる。 それにブログも毎日更新していて 、それがモチベにもなっている」

 

私は<なんだなんだ、すごいぞ> と思いました。

 

「 なんでそんな大変な境遇なのに 、モチベ保ってられるの」

 

「3時間ほどかけて 今の自分の状況を 書いた。 そしてブログに載せようかと思っていたけど、止めた。書くことが良かった」

 

「何か 食べに行こう」と言うと金ちゃんは「甘いもの」と言いました。 二人で 自転車に乗って こぎながらまた話をしました。

 

「 Twitter で相談をしてくる人がいて」

 

「うん」

 

「 『今働いているんだけど、 資格を取りたいと思って働きながら勉強をしているんだけど やる気が出てこない、 どうしたら やる気が出てくるのか』という相談なんだ」

 

「うん」

 

「 言葉遣いも丁寧だし 、自分の話ばかりをしてくるんじゃなくて こちらの話を聞こうとする、 そういう人。僕もそんな感じだから」

 

「 精神性が高いよね。 だから人の意見を 素直に聞いちゃう、そして公正に 自分を見ようとしちゃう。 そういうところは あるんだろうね。ネガティブも吸収しちゃうというか」

 

金ちゃんが 少し ギクッとしたように感じました。

 

店に入って 私は生ハムとアボカドのガレット、 金ちゃんは、いちごとショコラのクレープを頼みました。

金ちゃんは私に「ショコラって何?」と聞きました 。今まで「ショコラ」と名の付いた物は食べてきてると思うのに 、今度は私がビクッとしました。

以前ベーコンエッグを作って 出したときに、金ちゃんは「 ところで卵はどこにあるの 」と聞いた、そのときの事を思い出します。

私はモヤモヤしたものを抱えながら、 ここはスルーしようと思いました。

 

人には できることもあればできないこともある 、「それが何か」って ことですよね。

葉祥明美術館に行ったとき、置いてあった本の中にこんなことが書いてありました。

 

「人は自分が優れていると思いたいがために 優劣をつけたり 、競い合ったり 、相手をはずかしめたりする 。それは自信のなさの表れ。

 人の価値を決めるのは 「人柄」 だけなんだ。

 だから あなたをはずかしめる、おとしめるようなことを言う人に対して 「それが何か」と言ってやればいい。

そういう人は自分の中に不満や何かを持っていて、それを解消するために言っているんだ。問題はあなたにあるのではない。相手にあるんだ」。

 

平日の昼間だったのに、その美術館には多くの人が途切れることなく訪れていました。若い人が多かったのは印象的でした。

 

金ちゃんはこう言いました。

 

 「DaiGOoさんは すごく精神的ないい話をしてくれるけれど 少し遠い、 僕はもっと 身近な ことが 言える」

 

金ちゃんは今大変な時なのに、 不平不満、ぐち、泣きごとに とらわれず 生きている。

そして人の役に立とうとしています。〈これは、かっこいいな〉と思いました。

 

「僕は今日本で1番辛い 受験生なんだと思う 。これを乗り越えたら 楽しいことが待っている 、そう思って 頑張っている」

 

私は成長した金ちゃんをまぶしく思って見ていました。

〈もう、大丈夫だ〉心からそう思って金ちゃんを見ると、金ちゃんはテレパシーでその声を聞いたようでした。

時々、金ちゃんが人の心の声を聞いているのを知っています。

私も時々聞こえますから、分かります。

「日本一かっこいい受験生の金ちゃん」。そう思うのも悪くないな。

金ちゃんがこうして立派に生きてくれて、私は幸せ者です。



最近こんなことがありました 。私の10年来の友人なんですが、 私が5 kg やせて髪を切ったの見て 、「小学生の時の金ちゃんに似ている、かわいい」 と言ってちょっかいを出し始めたのです。

何か手を 出したくなるような 、足りないところを見つけて面白がっているのです。

私も色々なことでストレス があって、 心に余裕がありません。

それを知っているのにお構いなしです。

私は、自分を守るべき バリア が薄くなっているので、ささいなことでもダメージを受けます。

私が弱っているからよけいにつけこんでくるのだ、そんなふうにも思えてきます。

 

私はどうやって止めさせようか3日間考えました。

感情的になればそれをまた面白がるのはわかっています。

ケンカしようか、無視しようか、やり返そうか、 何も言わずにそっと離れようか。

しかし、私はこう伝えることにしました。

 

「 私がかわいいのだと思うけど 、ちょっかいを出さないで欲しい 。楽しいからやってるのだろうけど、やられてるほうは嫌なものです。 

それをもし子供にやっているのだとしたら、そうとう 自尊心を傷つけているから 、伝えておこうと思いました。

あなたならわかってくれると思うけど。

次にどんなことを言い出すのかと思うと嫌になっています。気をつけてほしい。」

 

すると「 気が付かなかった、これからは気をつけます。」とすぐに返信がきました。

 

ここから、私は何を学ぶのか考えていました。

そして、私もきっとこういうこと(足りないことや欠点を指摘したり、面白がったりすること)をしていたんだな、と気づきました。

 

私は、過去の出来事を思い出します。

その頃10代でイライラしていました。ある店の店員さんに向かって、こう言いました「あなたって、態度悪いよね」。

30代のとき横断歩道を無視するように止めた車にこう怒鳴っていました「あんたが下がればいいんでしょ」。

周りにいた人の反応は、私が怖いという様子でした。私はといえば、「正しいことを言って何が悪いの」と悪びれる様子はありませんでした。

 

思い起こすと、私の母親も同じことをしていました。

母親を好きでしたが、こういった態度に私は傷ついていたのです。

父親のことは好きではありませんでした。

私はいつも悲しくて、イライラしていました。しかし、その原因が親から受けているものだとは分かりませんでした。

 

おそらく、友人も母親に同じようなことをされて育ったのだと思います。

自分たちは、嫌な思いをさせられてきたのに、人に、子供にやっているのです。

悪気はないのですが、そういうものだと思っているのです。

心の底にあるイライラを解消してたのかもしれません。

 

怒鳴るのは分かりやすいですが、ねちっといやな思いを相手にさせることも、同じです。



「因果」、というのがあるのを聞きました。

物事には必ず原因と結果がある。

自分に起こる全ての出来事には、原因があって、それは自分の過去の行いや思いだ。

 

それは今世やったたのではなければ、前世やっている。

足を踏んだら、足を踏まれる。

そしてその事に不平不満を言う。

それを因果がめぐると言う。

足を踏まれたら、これは自分がやったことなんだ。とただ刈り取る。

それを因果の成就と言う。

場合によっては、泣き寝入りをしないとか、逃げるとかという成長の段階もある。(間違っていたらすみません、私の解釈です)。

 

ですから、私を苦しめる様々なことに、この感情を持たないように気をつけています。

 

新たな不幸の種をまかないためにです。

 

つぎつぎと湧いてくるこの思いを、私はなんとか払いのける努力を日々続けています。




【地獄言葉】  斎藤一人

 

恐れている 

ついてない 

不平不満 

グチ・泣きごと

悪口・文句 

心配ごと

許せない





正しい行いとはどんなものなのでしょうか。

私はどこに向かっていけばいいのでしょうか。

 

最近こんな話を聞いています。

 

人は誰しも ハスの花のように汚い泥の中(ねたみやそねみ、など)から にょきにょきと出てきて、 花を咲かせることができる。

しかし人は泥の中では、どっちに進んでいいのかわからない。

 

愛を持って人に接し (人の気持ちを明るく、軽くさせる)、「正しいことより、楽しいほうを選んだらいいよ」と教えたりできる。穏やかな人柄。

そんな人に、「あの人は私だったらイライラしちゃうのに、なんて穏やかなんだろう」と、憧れたりする。

 

それが人生の花、人間の太陽〈南無妙法蓮華経〉、そういう太陽のような人がいれば、人はそこに向かって伸びていく。

といったことを斎藤一人さんはYoutubeで言っていました。

あくまで私の解釈かもしれませんが(汗)。

そんな人が近くにいたら、素敵でしょうね。

もしかしたら、いるのかもそれません、私が気づいていないだけかもしれません。



私は20代のころにバイト先で見た人を思い出しています。割烹料理屋で、配膳をしていました。

ある時、お客さんで上司が若い部下を叱責する場面がありました。その若い人は上司が去ったあとの気まずい空気のなか、そこにいた私に「いろいろあるんだよ」とすずしげに言いました。

人に気をつかう余裕がその人柄を表していました。

 

またある時、今度は違う仕事ですが上役がある男の人に注意をしていました。聞いているとやっかみじゃないのか、と思えてきます。

聞いていても気分が悪くなります。

しかしその人は、「注意されたことはノートに全部書いている」と言いました。そしてその上役の悪口は決して言いませんでした。

若いのに髪が薄くなっていましたが、私の友達はその人の大ファンでした。

その人が成功の階段を登っていくのに時間はかかりませんでした。

 

またある時、いつも笑顔の女性がいました。違う上役が怒鳴っていました「お前がそんなことすると、俺が間違ってるように見えるだろ。こうやるんだよっ」

そんな言い方しなくてもいいじゃない、私はムッとして見ていました。

しかし、その女性は笑顔で「ありがとうございます」と言いました。

あるとき仕事で一緒になる機会がありました。そのとき、その女性が全力を出しているのが分かりました。

その女性が成功の階段を登っていくのを私は見ていました。

 

私の知る限り嫌がらせをしていた上役の1人は、その後とても残念な人生をおくっています。

私がさざ波で足元をすくわれて転んでいるのに、その人たちはどんどん荒波を乗り越えていきました。

 

その人たちは悪口や不平不満、泣き言など【地獄言葉】を言いませんでした。

その嫌な上役に対して突っかかることもなく【因果の成就】、ただ自分に必要なことを受け取っていました。

そして自分が【ハスの花】であることを自覚しているようにも見えました。

 

26話 霊魂と命

金ちゃんと家でお昼ご飯を食べました。

離れて暮らすようになって半年くらいです。

金ちゃんはいま、父親のもとで暮らしています。

 

鳥手羽は骨と身がポロリと はがれるくらい柔らかく、金ちゃん好みに仕上がっています。

食べながら金ちゃんは言いました。

 

「 ママの料理ってわりと上手い方だと思うよ。 コンビニなんかよりも美味しいよ」

 

「そう、かな。うん。私は家族の中でも料理は好きな方だったからね。それ、面白いでしょ」

 

スープは にんにくとエビをオリーブオイルで炒めて 豆乳で煮、アオサを加えたものです。

 

「うん面白い」

 

金ちゃんはきゅうりのぬか漬けをあっという間にたいらげます。

友人の畑で採れた野菜は、蒸しなすや、タレ漬けになっています。

金ちゃんは畑で採れた野菜が大好きです。

固いパンも作りました。

焼きたては皮がバリンバリンで とっても美味しい。

そのままでも十分ですがバターを塗ると格別です。

 

金ちゃんは食べながら DaiGoさんの YouTube が 今は心の支えなんだと言います。

いじめについても 多く発信しています。

「スポーツと筋トレと 他のコミュニティ」が、対策として有効なんだとか。

積極性のある金ちゃんは DaiGoさんの すすめる筋トレをやっています。

 

「 やっぱり 若いときの方がきついって。コミュニティって言っても、学校と全く関係ない人とか…」

 

「 それはそう思う。 選択肢がないもんね。 ママもきつい時あったもん 。自分が悪いのか、 相手が悪いのか 、

社会が悪いのか 分からない。 ただ 苦しい。そんなとき、本の中の1行が救いになったりしたよね。

『 小説家は何が正しいのか 一生かけて考えるのが仕事』

あーそうなんだ 。じゃあ今答えを出さなくてもいいんだって、 一生かけて考えればいいんだって救われた」

 

きんちゃんはゴロンと仰向けに寝っ転がりました。テーブルが影になって金ちゃんの顔が見えません。

 食事が終わって 温めた牛乳でココアをいれました。2人で 飲みながら話をして、金ちゃんは腕立て伏せのしかたをレクチャーしました。

 

 

 人はなんのために生まれてくるのか。 なぜ命を大切にしなければいけないのか。

私は考えていました。

検索すると命とは、「生物の生きる力・期間」とあります。



これは何ヵ月も斎藤一人さんのテープを聞き続けた私の感想です。

 

私たちの心臓には 針の先ほどの光が入っていて それが命の正体ですが、それは神と同じものです。これが、肉体から抜けると肉体の死があります。

 

つまり私たちの中には神が宿っているのです。

私たちは 神の国から追放されたのか それとも 神から作り出されたのか 人間の始まりは 諸説あると思うんですが。

 

私たちは汚れのない魂になっていく ことを目的として 何度も生まれ 変わって来ます。

検索すると魂とは「心の働きをつかさどるとされるもの」とあります。

 

そのために自分に越えられる試練をいくつか持ってきます。そしてその試練を通じて自分の魂をみがいていくのです。

 

ですからとても自分には乗り越えられないような 辛い出来事も 超えることができるのです 。

例えばいじめにあうと いじめられるとこんなに辛い思いをするんだ ということを学びます、

 そして自分は そういうことをしない人になります。

そしていじめられている人に優しくなります。

 例えば受験に失敗します 。挫折を味わいます。

すると 今まで見下していたかもしれない人たちを見下さなくなります。優しくなります。



そうやって私たちは 辛い思いや悲しい体験を通じて、 愛にいたるのです。

 

検索すると愛とは「そのものの価値を認め、強く引かれる気持ち」とあります。



神様は私達に守護霊というものをつけてくれています。

 

あなたの嫌いな人は 、不機嫌で 気分屋で いつもイライラしていて 怒りっぽくて それがあからさまに顔に出ています。

そして人の気持ちを暗くさせるようなことを言います。

 

いつでもあなたは、 笑顔で 明るくて優しくて親切です。そして楽しむことを知っています。

そうなるように 守護霊があなたを守っています。

そしてあなたが愛の人であるとき、その努力が実るように 、見ているテレビで ふっと気になる言葉があったり 、

読んでいる本の1行が気になったり、 何気なく手にした本、 ふっと頭に何かが浮かぶ、そんなふうに あなたと共にいて、導いてくれています。

 

愛とは「人を明るくする、気持ちを軽くすること」と一人さんは言います。

 

そしてあなたと同じような愛のある仲間と出会います。しかし、その人もまた、まだまだ未熟です。

あなと同じように。

 

人生は試練の連続です。そんなときでも私たちは愛の方向に自分の心を向けていきます。

まずは自分を明るくします。

 

気持ちがふさぐとき、明るい言葉を口に出して言います。するとすぐに心の闇が消えます。

わたしは「いいぞ、いいぞ」とか「何もかも上手くいっている」とか思い付いたことを口に出します。

 

筋トレを続けるように。よい言葉を100回言います。1000回言える人もいるでしょう。

10回でもいいのです。

ちなみにわたしは初め、言えなかった言葉があります。

「楽しい、うれしい、愛しています」

1人の部屋で小さな声で、どうにも喉につかえて出てきません。

それは私に欠けているものです。心が抵抗して言えないんです。

「愛しています」は特に言えませんでした。

そんなときは単語で「愛、愛、愛」と言えばいいそうです。

 

今は自分に必要なのは健康であると思い「健康」と、1日に1000回言います。時間にすると20分くらいです。

3ヶ月もすると潜在意識が一杯になってきます。

 

弱気なときは「強気」と言ってもいいし不幸なときは「幸せ」と言ってもいい。

ある回数を超えると心が満ちて、変化を感じます。

 

あなたの内にいる神様に届くとも、自分の脳に言い聞かせるとも言われます。

 

そうすることで私たちは試練を乗り越えて、(時間が問題を解決するまでの間をやりすごして)

自分の魂を向上させていきます。そうするともう同じ問題はおこりません。

 

私が同じ問題を繰り返していたのは、憎しみで相対していたからでしょうし、

相手の欠点ばかり指摘して、自分の直すべきところに目を向けなかった。

いつも心が下を向いていました。

 

次また同じような人にあったとき、わたしは、わたしをまもり(価値をみとめ)

嵐のときに嵐に立ち向かわないように(激しい怒りや憎しみの感情を出している人に立ち向かわない)、

憎んだりしないように知恵を働かせるでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 



 

 

 

 

 

 

25話  人生を変えた人達

5月某日

 

金ちゃんは、いよいよ元号が変わる5月の連休から「合宿免許」に行きました。2週間も家を離れるのは初めてです。

少し心配もありましたが、1人部屋を選んだので、だいぶ気が楽です。

 

金ちゃんが選んだ合宿免許場 は千葉でした。そこに「連休をきっちり使って、近郊で免許を取るタイプ」

( 遊びに使わないところがなんとも )の人たちがいました。

初日には、4人でひとつのグループで 行動する時間割になっていました。

グループの人たちは、落ち着いていて、

ある程度の距離感を保ちながら コミュニケーションが取れる人たちでした。

 

その中でも、ひときわ目立っていたのは、

30歳のネパール人タブさんです。タブさんは親しくなるにつれ、自分のことを話すようになりました。

「 専門学校を出て、働いている。仕事には1番早く行く。終わってからも残業をすすんでやって土曜日も出勤している。

免許も自力で取ろうとしたが、うまくいかなかった、 それを知った会社が 費用も出してくれた 」など、なかなかいい話です。

いい会社だな、 と金ちゃんは思ったようです。

「上司で嫌な 奴がいて、 その人のせいで2、3人が辞めている。自分もいじめられて、もう辞めようと思った。

そのことを 70歳ぐらいの人に相談をした。すると『 あなたは外国から日本に来て、 仙台からこっちにまで来て、

そんな人が辞めたいって言うのは よっぽどのことだ』とその人は言った。

その後、 長い休みを取った。

そして 会社に戻ってみるとその嫌な上司はいなくなっていた。その後も真面目に働いて、 今では 新しく入ってきた 人に仕事を教える立場になっている」

 

 

またグループ内の女子大生は、浪人の経験もあるし、 金ちゃんが通っていた明光義塾で 講師もやっていて、

気が合う 人でした。

金ちゃんが在宅で 受験勉強をすることについて話したとき、その人は言いました。

「同じくらい勉強が出来ても、在宅では点がとれない。予備校に通ったほうがいい」

 それを聞いた金ちゃんは、悩みます。

 

グループ以外でも 待ち時間に話しかけてくる人が何人もいました。

25歳で 医療事務、「 仕事はとっても楽しい」と言っている人 、きんちゃんが大変じゃないですか、と聞くと 「私は変わり者だから」と言いました。

女性で通訳のような仕事で、バリバリ働いている人もいました。

 

30歳ぐらいの中間管理職の人 。相部屋だった人が門限を守れないので学校から注意を受けて退出させられた話。

仕事は人間関係が大変だという話を聞きますけど、とふると「大変じゃないよ。 ダメなやつは切っちゃえばいい」と言います。

 

未成年でタバコを吸ったり、お酒を飲んだりしている人。その人と話したタブさんが後で、「あいつやばかったな」とさりげなく言ったり。

 

学校で教わる模範的な、みんなと仲良くしなくてはならないとか、そういうことを社会人は言っていないようです。

どんな人が認められて、どんな人が社会で通用しないのか。

金ちゃんの今までの世界は限られた狭い中でした。そこと社会は違うようです。

 

こうして社会に出ている人の話を聞くと、思いやりがあったり、努力を認められたり、やりがいを感じていたりする人がいる。

そして人間的に問題のある人に対し、キレイごとではなくどうやって関わっているのかを知りました。

金ちゃんは、勇気が湧いてきたのではないでしょうか。

 

 

そんな中で一番仲良くなったのは、 けんじ君でした。金ちゃんの隣の部屋です。けんじ君が、壁を叩くのが合図です。

門限を越えてこっそり深夜まで話をしたり、英単語を覚える競争をしました。

けんじ君は、高校で1年間海外に留学経験があり、

9月からはカナダの大学に入学が決まっています。将来は起業したいと夢を語っています。

金ちゃんはそんな18歳にはじめて会ったのです。

金ちゃんも経営に興味があるのです。大学でITを学ぶのも同じでした。けんじ君が起業したら一緒に何かできないかと思うとワクワクします。

けんじ君とは、合宿から帰ってきてからもスカイプでつながっています。

 

同じグループの4人で撮った写真のなかで、金ちゃんは晴れ晴れとした笑顔で写っていました。

 

 

 合宿免許から帰ってくると Twitter にダイレクトメールを受けとります。知らない人からです。

受験勉強を在宅にするべきか、 予備校に行くべきか 悩みをツイートしていて、それに応えてくれたのです。

その人は、

「自分も大変だった時に周りの人から支えてもらった、だから今度は自分がそういう人を支える番だ」

という気持ちで 、メッセージをくれたのです。

 私は涙が出そうになりました。

金ちゃんは言います。

「もし行けなかったらそれはすごく辛いことだけど、 でも違う大学で違う方向でも出来ることがある。

その人は YouTube もやってるからママも見た方がいい」

私は見てみました。

動画は、仮面浪人1年浪人1年、在宅で勉強し行きたい大学を受験。合格発表当日の生配信です。

そして結果は…。かっこよく。号泣。自分の現実を受け止めています。その後も動画配信は続けていて、内容は勉強です。

 

 

そしてもう一人、ダイレクトメールをくれた人がいました。社会人で結婚していて子供もいる人です。

「京都大を目指していましたが落ちて、すべり止めも落ちて、その下の大学に行くことになりました。

そして、ゼネコンに就職して今は家庭を持っていて幸せに暮らしています。受験のことは今でも夢に見ます。でも、悔いはありません」。

 

金ちゃんは様々な人の体験を垣間見て、自分の未来が、全力の結果がどのようになっても、それが絶望ではないことを知りました。

 

 金ちゃんは、こう言いました。「京大を出て、就職して、結婚して子供もいて、それからブロガーになった人がいる」。

合宿免許に行くまでは、大学に行かなくてもブログで生きていく道もあるのではないかと、思い描くこともありました。

 

しかし、今は自分で勉強のスケジュールを組み立て、体調にも気を使って受験勉強に取り組んでいます。

初めの目標通り、自宅で独学で合格を目指すのです。もう迷いはありません。

また、一人で、毎日毎日机に向かう日々がはじまりました。