『相互扶助の経済』(テツオ ナジタ、 2015)
この著者はハワイ生まれ、ハーバード大学を出て、現在シカゴ大学名誉教授。この本は英語で書かれて 日本語に翻訳されています 。
子供のころに農地を取り上げられた父と自動車に乗り、横を通るサトウキビを積んだトラックに怯えたというエピソードがあります。
決して裕福な家庭で育ちエリートコースを歩んだのではない 。そんな筆者が、貧困と闘った民衆の
歴史を研究した本です。
<以下一部抜粋、要約>
慢性的な飢饉に苦しんだ徳川時代の民衆は、緊急時の出資に備えそんなえ、村内で助け合うために無尽講、
頼母子講、もやいなどの「講」を発展させた。
当時の民衆の識字率は高く、商いや貯蓄に関して議論し、冊子を作り、倫理は社会的実践に不可欠である
という明確なメッセージも発信したのである。
その思想の根底には伊藤仁斎、安藤昌益、貝原益軒、三浦梅園などの思想を汲む確固たる自然観があった。
徳川末期になると二宮尊徳の始めた報徳運動が村の境界を越えて講を結びつけ相互扶助的な契約をダイナミックに広げた。
その後、講手法は無尽会社を経て相互銀行に引き継がれていく 。
二宮金次郎(尊徳)の教える「報徳」(自らの内にある徳、を生かして労働すること)という考えが私に力を与えてくれたと思う。