ユタカ2イキルオテツダイ

ほんの少しずつ、ゆたかになってゆきましょう

10話 教育委員を説得

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 5月9日

教育委員会の木村さんに「子どもSOS」で聞いた話をしました。

 

「校長はいじめとは思っていない、と言いますが、子どもSOSでは逆に『いじめの定義を知っていますか』と言われました。

『嘆願書を持って、教育委員会に行ってください。どうしたらいいでしょうかと聞いてください』と言われました。私はいろんな人に聞いているんです」

 

と言いました。木村さんは、

 

「校長先生は本当によくやってくれている、報告もまめにしていることを分かってください」

 

と言いました。そして、

 

「教師の場合はいじめとは言いません。不適切な行為と言います。その不適切な行為にあたるものとして、人種、信条、宗教…に対する言動があります。それにあてはまらない」

 

私は、ここでいじめの定義についての問答をするつもりはありませんでした。

 

〔日本政府によるいじめの定義〕

http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2018/08/20/1400030_003.pdf

「当該児童生徒が、一定の人間関係のある者から、心理的、物理的な攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じているもの」

 

このことを前提に話を進めていくことが出来ないと、あきらめました。

そのやりとりは、校長との間でもあって、平行線ですね、と私は言っています。

定義が前とは変わっていることなどを説明しても、おそらく取り合ってもらえないでしょう。

 

「木村さんは犬山先生に会っていません。私も会っていません。私たちは会ったことのない人の話をしています。

私たちは大人です。大人の話をしています。大人ならみんな分かる話なんです。

子供は2カ月も行ってないんです。どうして教師になんのおとがめもないんですか。

おかしくありませんか。

なんらかの処分、懲戒(公務員における懲戒処分とは、職員に非違行為があったとき、その職員に対する制裁としてなされる処分をいう)があるべきじゃないんですか」

 

「懲戒しろと言うんですか。個人攻撃はやめてください」

 

穏やかだった木村さんが声を荒げました。

 

事実を明らかにすることなく、このやりとりが続くのだろうということを感じました。

私は少し息が詰まるような思いでした。

しかし、裏のない人だ、と感じていました。だから、話を続けることが出来たのだと思います。

 

「子供同士なら、相手が学校に出てこないようにするなどありますよね。子供同士なら反省文を書くなどあります。なぜ教師だとそれがないんですか。

おかしくないですか。

言ってない、悪いことしたと思ってないって。それじゃあ、うちの子が100% 悪いってことですよね。

また同じことをやりますって言ってるんですよね。子供がいじめっ子がいるって言ってるんです。

そんなところに行けって言えますか。木村さん。木村さんはどう思いますか」

 

私は作戦を変えて、木村さん個人に訴えるようにしました。

 

「私がどうというより、教育委員会のことです」

 

教育委員会、学校という組織の体質が見えてくるようでした。

 

「犬山先生にしましても、何の話も聞いてもらえず事が進んでいくのも良くないことだと思います。

何が悪かったのかもわからずに、処分されることがあってはいけないと思います。

木村さん、直接会ってもらえませんか。

調査をして客観的に判断していただきたいんです。

校長先生は新着で来られたばかりですし、木村さん、上の方から言っていただけませんか」

 

木村さんは落ち着いて聞いているように感じました。しばらくそんなやりとりがあって

 

「分かりました」

 

と言いました。木村さんは、生まれ持った素直さと温かさがある人だ、ということが話している途中から伝わってきました。

 

「木村さんから、折り返し電話いただけませんか。校長先生は、とってもよくして頂いて、分かっているんですが。圧が」

 

「分かりました。そのことも伝えておきます」

 

なにかそれ以上言い返せないような大きさを感じて電話を切りました。

教育委員会の人が調査に学校に出向くことはとてもまれであると、私は調べて知っていました。

後は木村さんの「分かりました」に任せるしかありません。

 

 

 

私の友人に、話を聞いてもらいました。学校が金ちゃんの為に出来るだけの配慮をしてくれていること。

1、体育の授業の担任に犬山先生をつけない。

2、授業日数の期限の延長。

そして、今回の教育委員会との話をすると、なかばあきれ気味に「よくやるね。そこまでだろ(学校側が対応したこと)」と言われました。

そういった反応がくることは予想していました。

<第三者からしたら、しつこい、と思われるよな>しかし、金ちゃんの苦しみはどうしたら楽になるのでしょう。

 

その金ちゃんは、今回教育委員会と話した内容を聞いて、少し心が軽くなったように見えました。

なんといったって、「教育委員会」とは、教師の任命権者であるのでしょうから。

調べてみると以下の文がありました。

 

教特法第25条の2第1項の規定に基づく「指導が不適切である」教諭等に該当する者がいる場合には,任命権者である教育委員会は,その権限と責任の下,当該教諭等を「指導が不適切である」教諭等として認定する。

 

LINEで坂本さんが、金ちゃんを心配してきたので、教育委員会の木村さんが犬山先生と話をするようだと伝えると、

「そんな方法があったのか」と驚き、励ましてくれました。

金ちゃんにも、心配してくれる人がいることを伝えています。ほんの少しずつですが、金ちゃんにエネルギーが注がれます。

同じ立場の人がいることが、こんなに有難いものか、と思いました。人生で経験したことのない気持ちでした。