ユタカ2イキルオテツダイ

ほんの少しずつ、ゆたかになってゆきましょう

18話 元担任からの電話

 

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12月某日

元担任から電話がありました。「高卒認定試験」の発表が通知される頃だったので気にかけていたようです。

合否については配達の時に留守にしていたので、まだ分かっていませんでした。金ちゃんとしばらく話をした後、

電話を代わると「明るくなりましたね」と言われました。「初めの頃はびくびくしてたんですけど、

今では全くなくなりました」と答えると元担任から、しめったような気配を感じました。

〈あぁ、気にしていたんだな〉。「卒業アルバムはどうしますか」と聞かれたので、「子供がいらないと言えば、それで」

と答えると言葉がつながりませんでした。

 

次の日、合格通知が届いたので、学校に電話を入れました。元担任を呼び出してもらうと、長い時間があって、電話に出ました。

 

「あの、合格しました」

 

私は子供みたいに伝えたいことだけが口をついて出ました。

 

「そうですか、よかったー」

 

「心配されているんじゃないかと思って、報告だけでもしておこうと思って」

 

「実は心配していました」

 

「あ、あとは、いよいよ本番ですが。あの、寒くなりましたので、先生もお体にお気をつけて」

 

そう言って電話を切りました。

 

それから数日して校長から電話がありました。「お母さん、最後まで支えてあげて下さい」と言っていました。

 

私はその日の夜、布団の中で考えていました。「金ちゃんは、自分の実力より高い目標を掲げて、頑張っている。

だから、応援が出ているんだ」。

 

次の日、私は金ちゃんに考えていたことを話しました。そして「それが誇らしい」と伝えました。

それを聞いていた金ちゃんは、体からエネルギーが放出しているように見えました。