12月某日
元担任から電話がありました。「高卒認定試験」の発表が通知される頃だったので気にかけていたようです。
合否については配達の時に留守にしていたので、まだ分かっていませんでした。金ちゃんとしばらく話をした後、
電話を代わると「明るくなりましたね」と言われました。「初めの頃はびくびくしてたんですけど、
今では全くなくなりました」と答えると元担任から、しめったような気配を感じました。
〈あぁ、気にしていたんだな〉。「卒業アルバムはどうしますか」と聞かれたので、「子供がいらないと言えば、それで」
と答えると言葉がつながりませんでした。
次の日、合格通知が届いたので、学校に電話を入れました。元担任を呼び出してもらうと、長い時間があって、電話に出ました。
「あの、合格しました」
私は子供みたいに伝えたいことだけが口をついて出ました。
「そうですか、よかったー」
「心配されているんじゃないかと思って、報告だけでもしておこうと思って」
「実は心配していました」
「あ、あとは、いよいよ本番ですが。あの、寒くなりましたので、先生もお体にお気をつけて」
そう言って電話を切りました。
それから数日して校長から電話がありました。「お母さん、最後まで支えてあげて下さい」と言っていました。
私はその日の夜、布団の中で考えていました。「金ちゃんは、自分の実力より高い目標を掲げて、頑張っている。
だから、応援が出ているんだ」。
次の日、私は金ちゃんに考えていたことを話しました。そして「それが誇らしい」と伝えました。
それを聞いていた金ちゃんは、体からエネルギーが放出しているように見えました。