ユタカ2イキルオテツダイ

ほんの少しずつ、ゆたかになってゆきましょう

27話 かっこいい人

金ちゃんが今年2度目の引っ越しをしました。

 父親が「タバコの匂いが気になる 」とまた、言い出したのです。

1度目も同じ理由でした。

 

私は新しいマンションに訪ねてみました 。

金ちゃんは一通り中を見せるとこう言いました 。

 

「入って10秒だよ 10秒で また『タバコの匂いがする」って言い出した」

 

本人以外はみんな、 本人がおかしいと思っています。

 

「最近酒の飲み過ぎで頭やられてるみたいで 、一人でブツブツ言ってる」

 

金ちゃんはさらっと言います。私は「金ちゃん、大丈夫?」と聞きました。「いつでも戻って来ていいんだよ」すると金ちゃんは「この環境で頑張ると決めた」と言います。

 

「最近は勉強が面白くなってきてる。 それにブログも毎日更新していて 、それがモチベにもなっている」

 

私は<なんだなんだ、すごいぞ> と思いました。

 

「 なんでそんな大変な境遇なのに 、モチベ保ってられるの」

 

「3時間ほどかけて 今の自分の状況を 書いた。 そしてブログに載せようかと思っていたけど、止めた。書くことが良かった」

 

「何か 食べに行こう」と言うと金ちゃんは「甘いもの」と言いました。 二人で 自転車に乗って こぎながらまた話をしました。

 

「 Twitter で相談をしてくる人がいて」

 

「うん」

 

「 『今働いているんだけど、 資格を取りたいと思って働きながら勉強をしているんだけど やる気が出てこない、 どうしたら やる気が出てくるのか』という相談なんだ」

 

「うん」

 

「 言葉遣いも丁寧だし 、自分の話ばかりをしてくるんじゃなくて こちらの話を聞こうとする、 そういう人。僕もそんな感じだから」

 

「 精神性が高いよね。 だから人の意見を 素直に聞いちゃう、そして公正に 自分を見ようとしちゃう。 そういうところは あるんだろうね。ネガティブも吸収しちゃうというか」

 

金ちゃんが 少し ギクッとしたように感じました。

 

店に入って 私は生ハムとアボカドのガレット、 金ちゃんは、いちごとショコラのクレープを頼みました。

金ちゃんは私に「ショコラって何?」と聞きました 。今まで「ショコラ」と名の付いた物は食べてきてると思うのに 、今度は私がビクッとしました。

以前ベーコンエッグを作って 出したときに、金ちゃんは「 ところで卵はどこにあるの 」と聞いた、そのときの事を思い出します。

私はモヤモヤしたものを抱えながら、 ここはスルーしようと思いました。

 

人には できることもあればできないこともある 、「それが何か」って ことですよね。

葉祥明美術館に行ったとき、置いてあった本の中にこんなことが書いてありました。

 

「人は自分が優れていると思いたいがために 優劣をつけたり 、競い合ったり 、相手をはずかしめたりする 。それは自信のなさの表れ。

 人の価値を決めるのは 「人柄」 だけなんだ。

 だから あなたをはずかしめる、おとしめるようなことを言う人に対して 「それが何か」と言ってやればいい。

そういう人は自分の中に不満や何かを持っていて、それを解消するために言っているんだ。問題はあなたにあるのではない。相手にあるんだ」。

 

平日の昼間だったのに、その美術館には多くの人が途切れることなく訪れていました。若い人が多かったのは印象的でした。

 

金ちゃんはこう言いました。

 

 「DaiGOoさんは すごく精神的ないい話をしてくれるけれど 少し遠い、 僕はもっと 身近な ことが 言える」

 

金ちゃんは今大変な時なのに、 不平不満、ぐち、泣きごとに とらわれず 生きている。

そして人の役に立とうとしています。〈これは、かっこいいな〉と思いました。

 

「僕は今日本で1番辛い 受験生なんだと思う 。これを乗り越えたら 楽しいことが待っている 、そう思って 頑張っている」

 

私は成長した金ちゃんをまぶしく思って見ていました。

〈もう、大丈夫だ〉心からそう思って金ちゃんを見ると、金ちゃんはテレパシーでその声を聞いたようでした。

時々、金ちゃんが人の心の声を聞いているのを知っています。

私も時々聞こえますから、分かります。

「日本一かっこいい受験生の金ちゃん」。そう思うのも悪くないな。

金ちゃんがこうして立派に生きてくれて、私は幸せ者です。



最近こんなことがありました 。私の10年来の友人なんですが、 私が5 kg やせて髪を切ったの見て 、「小学生の時の金ちゃんに似ている、かわいい」 と言ってちょっかいを出し始めたのです。

何か手を 出したくなるような 、足りないところを見つけて面白がっているのです。

私も色々なことでストレス があって、 心に余裕がありません。

それを知っているのにお構いなしです。

私は、自分を守るべき バリア が薄くなっているので、ささいなことでもダメージを受けます。

私が弱っているからよけいにつけこんでくるのだ、そんなふうにも思えてきます。

 

私はどうやって止めさせようか3日間考えました。

感情的になればそれをまた面白がるのはわかっています。

ケンカしようか、無視しようか、やり返そうか、 何も言わずにそっと離れようか。

しかし、私はこう伝えることにしました。

 

「 私がかわいいのだと思うけど 、ちょっかいを出さないで欲しい 。楽しいからやってるのだろうけど、やられてるほうは嫌なものです。 

それをもし子供にやっているのだとしたら、そうとう 自尊心を傷つけているから 、伝えておこうと思いました。

あなたならわかってくれると思うけど。

次にどんなことを言い出すのかと思うと嫌になっています。気をつけてほしい。」

 

すると「 気が付かなかった、これからは気をつけます。」とすぐに返信がきました。

 

ここから、私は何を学ぶのか考えていました。

そして、私もきっとこういうこと(足りないことや欠点を指摘したり、面白がったりすること)をしていたんだな、と気づきました。

 

私は、過去の出来事を思い出します。

その頃10代でイライラしていました。ある店の店員さんに向かって、こう言いました「あなたって、態度悪いよね」。

30代のとき横断歩道を無視するように止めた車にこう怒鳴っていました「あんたが下がればいいんでしょ」。

周りにいた人の反応は、私が怖いという様子でした。私はといえば、「正しいことを言って何が悪いの」と悪びれる様子はありませんでした。

 

思い起こすと、私の母親も同じことをしていました。

母親を好きでしたが、こういった態度に私は傷ついていたのです。

父親のことは好きではありませんでした。

私はいつも悲しくて、イライラしていました。しかし、その原因が親から受けているものだとは分かりませんでした。

 

おそらく、友人も母親に同じようなことをされて育ったのだと思います。

自分たちは、嫌な思いをさせられてきたのに、人に、子供にやっているのです。

悪気はないのですが、そういうものだと思っているのです。

心の底にあるイライラを解消してたのかもしれません。

 

怒鳴るのは分かりやすいですが、ねちっといやな思いを相手にさせることも、同じです。



「因果」、というのがあるのを聞きました。

物事には必ず原因と結果がある。

自分に起こる全ての出来事には、原因があって、それは自分の過去の行いや思いだ。

 

それは今世やったたのではなければ、前世やっている。

足を踏んだら、足を踏まれる。

そしてその事に不平不満を言う。

それを因果がめぐると言う。

足を踏まれたら、これは自分がやったことなんだ。とただ刈り取る。

それを因果の成就と言う。

場合によっては、泣き寝入りをしないとか、逃げるとかという成長の段階もある。(間違っていたらすみません、私の解釈です)。

 

ですから、私を苦しめる様々なことに、この感情を持たないように気をつけています。

 

新たな不幸の種をまかないためにです。

 

つぎつぎと湧いてくるこの思いを、私はなんとか払いのける努力を日々続けています。




【地獄言葉】  斎藤一人

 

恐れている 

ついてない 

不平不満 

グチ・泣きごと

悪口・文句 

心配ごと

許せない





正しい行いとはどんなものなのでしょうか。

私はどこに向かっていけばいいのでしょうか。

 

最近こんな話を聞いています。

 

人は誰しも ハスの花のように汚い泥の中(ねたみやそねみ、など)から にょきにょきと出てきて、 花を咲かせることができる。

しかし人は泥の中では、どっちに進んでいいのかわからない。

 

愛を持って人に接し (人の気持ちを明るく、軽くさせる)、「正しいことより、楽しいほうを選んだらいいよ」と教えたりできる。穏やかな人柄。

そんな人に、「あの人は私だったらイライラしちゃうのに、なんて穏やかなんだろう」と、憧れたりする。

 

それが人生の花、人間の太陽〈南無妙法蓮華経〉、そういう太陽のような人がいれば、人はそこに向かって伸びていく。

といったことを斎藤一人さんはYoutubeで言っていました。

あくまで私の解釈かもしれませんが(汗)。

そんな人が近くにいたら、素敵でしょうね。

もしかしたら、いるのかもそれません、私が気づいていないだけかもしれません。



私は20代のころにバイト先で見た人を思い出しています。割烹料理屋で、配膳をしていました。

ある時、お客さんで上司が若い部下を叱責する場面がありました。その若い人は上司が去ったあとの気まずい空気のなか、そこにいた私に「いろいろあるんだよ」とすずしげに言いました。

人に気をつかう余裕がその人柄を表していました。

 

またある時、今度は違う仕事ですが上役がある男の人に注意をしていました。聞いているとやっかみじゃないのか、と思えてきます。

聞いていても気分が悪くなります。

しかしその人は、「注意されたことはノートに全部書いている」と言いました。そしてその上役の悪口は決して言いませんでした。

若いのに髪が薄くなっていましたが、私の友達はその人の大ファンでした。

その人が成功の階段を登っていくのに時間はかかりませんでした。

 

またある時、いつも笑顔の女性がいました。違う上役が怒鳴っていました「お前がそんなことすると、俺が間違ってるように見えるだろ。こうやるんだよっ」

そんな言い方しなくてもいいじゃない、私はムッとして見ていました。

しかし、その女性は笑顔で「ありがとうございます」と言いました。

あるとき仕事で一緒になる機会がありました。そのとき、その女性が全力を出しているのが分かりました。

その女性が成功の階段を登っていくのを私は見ていました。

 

私の知る限り嫌がらせをしていた上役の1人は、その後とても残念な人生をおくっています。

私がさざ波で足元をすくわれて転んでいるのに、その人たちはどんどん荒波を乗り越えていきました。

 

その人たちは悪口や不平不満、泣き言など【地獄言葉】を言いませんでした。

その嫌な上役に対して突っかかることもなく【因果の成就】、ただ自分に必要なことを受け取っていました。

そして自分が【ハスの花】であることを自覚しているようにも見えました。