『クラウドファンディング入門』( 丸山隆平、 2018)
以下一部抜粋要約。
中小企業の資金繰りは大企業に比べて厳しい。 中小企業の資金調達は借入金 (間接金融)に依存しているからだ。
中小企業は株式や 社債の発行などにより 市場から直接、資金を調達する手段 (直接金融)が利用しにくいことも理由として挙げられる。
クラウドファンディングでは これまで困難であった個人の投資へのハードルを下げる。これにより、
既存の金融機関の融資が消極的であった 中小企業や、小規模事業者 、起業家に対する融資を 補完する働きがある。
従来の 資金調達
従来の金融機関からの借入や 社債の発行 、ベンチャーキャピタルからの出資などの 資金調達と比較してみると、
企画した事業内容が魅力があったり、新規性に富み、将来性があっても、 中小企業の場合、 事業の内容の評価が困難と判断されたり、
また、 起業の場合にはそもそも 経営実績がないことから、希望通りの資金調達ができないケースも多い。
- クラウドファンディングとは
クラウドファンディングは インターネットを活用して 不特定多数の人から 資金を調達することだ 。
2.クラウドファンディングのプレイヤー
①事業への投資家、支援者
②クラウドファンディング運営者・事業者
③事業の起案者・資金の借り手
ーーーの3者で構成される
この3者間はインターネットでつながれる。
まず、③ 事業の起案者・資金の借り手がプロジェクトの内容を②のクラウドファンディング運営者・事業者のプラットフォーム
(インターネットを活用した専門の仕組み )に登録する。プロジェクトに賛同する
① 事業への投資家、支援者は
インターネットで得た情報を基に、 プロジェクトやサービスに資金を提供(投資)する。
出資後はプロジェクトの進展状況の情報を受けつつ 、見返りとして サービスや商品を受け取ったり 、現金の配当を得る。
クラウドファンディングの5類型
クラウドファンディングの種類には大きく分けて
①資金の提供者が資金提供に対する対価(リワード)を得られるものと、
②対価を得られないものーーーに2分できる。
クラウドファンディングには明確な定義がない 。具体的な資金調達方法にもそれぞれ特徴がある 。
また「資金調達プラットフォーム 」(資金調達サイト)を用意するクラウドファンディング事業者に対する 法規制にも違いがある。
〈クラウドファンディングの類型〉
- 寄付型
- 商品・サービス購入型
- 貸付型
- 事業投資型
- 株式投資型
日本クラウドファンディング協会
日本クラウドファンディング協会は、 クラウドファンディングを運用していく上での 、基本的な指針やマニュアルを定義づけ、
その発展を より安全、安心なものにしていくことを目的として、 2014年3月にクラウドファンディングの 事業者が集い設立された。
クラウドファンディングの草分け、米・インディーゴーゴ CEO が語る
2008年に 米国で事業を開始した 米・インディゴーゴ(カリフォルニア州)のスラバ・ルービン CEO は
「クラウドファンディングの着想を得たのは2006年だが、その頃、自分を含む3人の共同創業者は それぞれの分野で 資金調達に不満を感じていた 」
と日経新聞(2018年7月21日付け)でインタビューに答えている。
「 資金調達に際して 銀行やローン会社などゲートキーパー(門番)が制約となっていたからだ。
イーベイ( eBay )により誰でも競売を使えるように 、資金調達も民主化できないかと考えたのがきっかけだ」。
同 CEO はこのようにクラウドファンディングを“資金調達の民主化”と表現している 。
これは大いに注目されることだ 。
インディーゴーゴは映画やゲーム制作などの 「クリエイティブ 」、「起業」、「社会貢献」を3つの柱に 、25の分野で資金調達しているという。