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日本が破綻?

『経済は 「お金の流れ」で よくわかる』 (岩本沙弓、 2013)

 

当時の日本経済は低迷を続け 、リーマンショックがあり、 東日本震災があり、 日本の破綻が まことしやかに噂されていました。

 

海外ヘッジファンドの創業者、カイル・バス氏の 発言を紹介した 記事のタイトルはこうです。

 

〈 日本国債バブル 「18ヶ月以内に崩壊する」 〉米サブプライム危機を予見した男、 日本売り公言

 

( 2012年1月29日 、日本経済新聞)



国債というのは 国の借金のことです。 日本は GDP 比で 2倍を超えています。 これは世界一です。

 

国債が売られ 金利が急上昇し、 利払いができなくなれば、

デフォルト (債務不履行)になります。

 

カイル・ バス氏は日本はそうなるだろうと公言したわけです。



著者は第2章で「 日本がデフォルトしない これだけの理由」を詳しく説明しています。

 

(※)は、私の説明です。(※)内の数字は、2019年 四半期末 のものです。




〈以下一部抜粋・要約〉

 

問題は誰に借金をしているか ということ

 

日本は自国内で 貸し借りの9割以上を 賄っています

ここ数十年で デフォルトした国には 共通項があります 。

それは必ず外貨建ての国債を発行していることです。

(※  日本国債は全て円建てです)。

 

政府の借金は 本当に 1000兆円なのか ?ーー公表資料の見方

(※ここで筆者は 政府債務の 残高合計 の 内訳を説明しています)。

 

非常に大まかな話ではありますが、 政府の借金のうち、可及的速やかに返済できるか どうかを考える必要があるのは 、

特例国債(※ 赤字国債)の 425兆円(※ 614兆円)あまりということになります。



政府の借金は 国の借金ではないという事実



よく、日本政府には 1000兆円(※ 1103兆円)の借金があるけれど、 個人の金融資産が 1400兆円(※ 1908兆円)あるから カバーできるはずという指摘をされる方がいます 。

 

これは無責任な物言いではなく 根拠がある話なのです。

 

日銀が 四半期に一度発表する 資金循環統計の中に含まれる 金融資産・ 負債残高表で、 日本国の 全ての経済主体の 資産と負債の様子を知ることができます。

 

こうした資産と 負債を差し引きしたものが日本全体としてどうなっているかというと、 

 

2012年3月末の現時点で 270兆円のプラスになっているという状況です。

 

(※  2018年末 の対外純資産は  341兆円です。 日本は28年連続で 世界最大の 債権国となりました)。

 

国際収支で日本を把握する

 

経常収支全体で見れば、所得収支の黒字が 貿易収支のマイナスをカバーして もなお余剰となっています。

 

 こうした経常収支の黒字継続は 海外から見れば 日本の経済力の 基礎部分の強さであると判断します。

 

日本は投資先として安全なのかどうか、

 その最も分かりやすい 判断材料として 参照されているのが 長期金利です。

 ここで10年物国債の金利を眺めてみましょう。

 長期金利が高いということは、 それだけ破産するリスクが高いということになり、 逆に金利が低いということは、 破綻のリスクが少ないというふうに国際金融の現場では見ています。

 

本当に日本が デフォルトしそうならば まず 世界中の投資家が 指標としている長期金利が動くはずです 。

0.8%どころではなくて、 30%から50%へと 急激に上昇するような 状況になるなら、

 日本国債は 本当に破綻間際なのでしょうが、 長期金利がようやく動きが出てきたといっても 世界的に見れば 極めて低水準となっています。(※今現在、 長期金利は 0.012%です)。



変動金利の国債発行は 全体の10%以下にすぎないという事実

 

ところで「国の借金1000兆円に対する金利が 、いまは1%すれすれだから何とかなっているが、 これが2%になったら 金利負担で政府は大変なことになる」 財政破綻論者がよくこのような レトリックを弄して 何も知らない人たちを脅すわけですが、 一言でいうならば これもおかしな話です。

発行されている国債の残高は 昨年3月時点で617兆円もあります。

 これは財務省に問い合わせた数字です。

 

 そのうち変動金利の国債は 52兆円なので 全体の10%以下に過ぎません。



質問

アベノミクスが行き過ぎて、 いわゆるオーバーシュートした場合、 インフレに火がついて止まらなくなり、 日本がハイパーインフレに襲われるといった シナリオを描く専門家がいます。

 この真意の程はいかがお考えですか。

 

岩本

日本には ハイパーインフレの 可能性があると示唆される 経済評論家の方がいます。

 しかし、 インフレと 少し前に ジンバブエが襲われたような ハイパーインフレは 全く次元が違うので 私は否定的です。

 

ハイパーインフレとなるには 2つの要素が必要となる、 というのが国際金融の 現場での常識です 。

1つはお札の刷りすぎがあること、 2つには 国民生活に必要なモノが 危機的に不足することです。

 特に 物資枯渇という状況下で起きるものである、

 という非常に重要な要素が 昨今の 日本のハイパーインフレ論には 欠落しています。

 

ハイパーインフレでなく、 単なるインフレの可能性については、 現時点では不確定要素が多すぎて、 ピンポイントでは予測しかねます。

 ただ、どの程度の物価上昇を インフレとするかについても 、経済状況が好転してくると、 その定義も大きく変わってきます。

 たとえば今、 長期国債利回りが 3%になったら 、メディアは 「国債が大暴落した」と 大騒ぎするでしょう。

 しかし 、その3%は 自然の金利上昇の範囲でもあります。

 




私(チキハ)の意見です。

いま、コロナで 世界的な大混乱が 起こっています 。

 このような 話がまた出てくるかもしれません。

 

私はこの本によって、 モヤモヤとしたことが明らかに なることがたくさん ありました 。

日本だけでなく他の国 を見たときにも 役に立つのだろうと思いました。

 

 

 



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