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ほんの少しずつ、ゆたかになってゆきましょう

通貨はどうなる?

『通貨を考える』( 中北徹、 2012)

通貨の 価値はその国の 信用にもとづいています。

アメリカは 大量のドルを 刷っています。 そしてほかの国は、アメリカの国債を買っています。

大丈夫なんだろうか、と思います。

基軸通貨 であるから 他の国とは違うようですが。

 

〈以下一部抜粋・要約〉



米ドルが信認を低下させ、 一方で東アジア地域の 経済活力が高まるという事実を受け止めて、 クロスボーダーの決済という観点から、 いま世界が局面する課題を整理し、 各国の対応も紹介して 、いくつか戦略的な提案を試みる。



国際決済 からみた 基軸通貨 とは?

 

基軸通貨国が 享受する“ 通貨発行益” については 第2章ですでに述べた。

 ここでは 国際決済 との関連で、 米ドルが 果たしている重要な 2つの機能について 言及しなければならない。

 すなわち「 媒介通貨」 及び 「保有通貨」 としての役割である。

 以下、それぞれ詳しく言及する。

 

媒介通貨としての米ドル

 

媒介通貨とは 基軸通貨の 重要な側面のひとつであって、 多くの通貨間の決済が、 任意の2つの通貨間での 直接決済ではなく、 双方とも 一旦基軸通貨である ドルに交換し、 その後 、こうしたドルとドルが対応される形で すみやかに交換されて、 最終的に決済が 完了するということ、 つまり、2段階の取引を経て 決済が実行されることである。

 ここで注意を要することは そのような制度や提携が 特別にあるわけではない。

 

ドルを中心に 放射状に 、全世界の通貨との交換が保証される 、クロスボーダーの 決済網が広がっている様子を 描くとイメージしやすい。

 

経済安全保障から見た国際決済

 

基軸通貨として 重要な機能の源泉である 「媒介通貨」の役割について 言及してきた 。

ここで 付言が必要なのは、 米ドルを通じる国際決済の仕組みから外されて、 決済サービスが受けられなくなると、 その国の経済活動の機能は 事実上麻痺し、 首根っこを押さえられて、 ほとんど全面崩壊に等しい状況に陥ってしまう 恐れがあることだ。

 

媒介通貨の強み 源泉は 規模の利益 」ネットワーク効果)である

 

ではなぜ米ドルのみが、 他の通貨にはない優位性である 「媒介通貨」の機能を発揮できるのであろうか。

 ドルが全ての通貨との交換の仕組みを備えていて、 しかも市場の厚みが増していけば 通貨を交換するのにかかる 取引コストは 取引額が増大すればするほど、ますます低下するからである 。

このため 、歴史的に 先にそうした媒介通貨としての 地位を築いたドルは 他の通貨と比べて 圧倒的に優位の位置にあり、 しかもいったん築かれると 、その地位には強い慣性が 作用すると考えられる。

 

基軸通貨のもうひとつの側面 ーー準備通貨・介入通貨

 

米ドルにユニークなもうひとつの特性が 、政府中央銀行など 公的部門から見たときの重要な機能である、 準備通貨・介入通貨としての側面である。

 各国は 自国通貨の価値を 担保するために、 ある通貨を基準にして固定したり、 あるいは 一定の範囲に変動幅の安定化を図る必要がある 。

それが基軸通貨と呼ばれる 国際通貨の機能であり、 基準通貨の価値を 前提に通貨当局は、 自国通貨の 為替レートの安定化、 対外的な購買力維持の目的から、 外国為替市場で 介入を行わなければならないことがある。

 

本章のまとめ

 

金融活動が行われる限り、 お金の受け渡してある「決済」は欠かせない活動である。

 

国際決済といえども 、最終的には 使われる通貨の 国内決済システムを通じて 手続きが完了する。

 

アメリカ経済や産業の競争力が衰えても、 米ドルの基軸通貨としての地位は 簡単には低下・消滅しない。

 

21世紀の国際通貨システムとは

 

中長期を展望し、 新しい国際通貨システムを考えた場合 、現状主要国が 導入した 変動相場制を出発点に 、大きく2つのレジームを想定できる。

 ひとつは、固定相場制、または、 世界単一通貨への移行 。

もうひとつが、基軸通貨そのものが 米ドルから他の基軸通貨へ 、あるいは、いくつかの地域通貨へ交替することである 。

 

世界統一通貨のレジーム

 

完全な単一通貨が実現することは世界が一つの国に統一されることである。 それが実現した暁には、 経済の世界では金融政策もまた単一化し統合されている。





私(チキハ)の感想です。

ドルを刷りまくるのは構造的な問題で、修正することが難しそうだと思いました。 

暗号通貨の話は書かれていませんが、変化はもっと早く起こるかもしれません。

 

中央銀行6行と 国際決済銀行が 

(アメリカと中国は、入っていません)デジタル通貨の、ワーキンググループをつくりました。

そしてこのような発表をしています。

「 中央銀行デジタル通貨 の

クロスボーダー 相互運用性を含めて 経済面、機能面、技術面な設計の選択肢 の評価を するとともに、先端的な技術について知見を共有する  」(2020年1月)。

 

2019年6月、アメリカのFacebookによって開発されたブロックチェーンベースの暗号通貨リブラは、2020年に発行すると発表されました。

 

 

通貨を考える (ちくま新書)

通貨を考える (ちくま新書)

  • 作者:中北 徹
  • 発売日: 2012/06/01
  • メディア: 新書