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ほんの少しずつ、ゆたかになってゆきましょう

リブラ

『ドル・人民元・リブラ』( 中條誠一、2019)

 

今年に入り、アメリカのFRB(中央銀行みたいなもの)や、日銀が 無制限の国債購入を表明しています。

 

これは 禁止された行為です。

日本銀行のホームページにこのように書いてあります。

 

「中央銀行が 一旦国債の引き受けによって 政府への資金供与を始めると、 その国の政府の財政節度を失わせ、 ひいては 中央銀行通貨の 増発に歯止めがかからなくなり、 悪性のインフレーションを引き起こす恐れが あるからです。

 

そうなると、 その国の通貨や 経済運営そのものに対する 国内外からの信頼も 失われてしまいます 。

 

これは長い歴史から得られた貴重な経験であり 、我が国だけでなく 先進各国で 中央銀行による 国債引き受けが 制度的に禁止されているのも このためです」。

 

しかし今回はリーマンを上回る 危機である との見方から 特例としているようです。

 

「但し、特別の事由がある場合において 国会の議決を得た金額の内容内では この限りでない」。

 

日本は過去 、戦費を調達するために 大量の国債を発行し、日銀が 引き受けていましたが 、金利の上昇によりこれ以上国債を発行できないところまで追い詰められました。

そして、預金封鎖などの措置によって 国民の預金が返済へとあてられました。そのときにはインフレを経験しています。

 

今回のコロナによって各国はお金を刷るしかない、いうところのようです。この過去の経験をもってしてもそうならざるを得ない状況、ということでしょうか。

 

近年、キプロスなどで国の財政が危うくなった時にビットコインに逃れた人もいたようですが、

ビットコインの投機的な値動きなどをみると、よほどのテクニシャンでなければ資産を守るのは難しかったのではないかなと思います。

 

私たちのような資産を持たない庶民にしても、少しでも防衛をしたいところです。ビットコインはだめだ、ではリブラは?

 

〈以下一部抜粋・要約〉



政府がデジタル通貨を発行すれば

 

政府が、個々人のパソコンやスマホの中にあって 、直接インターネット上でやり取りできる デジタル通貨を発行するということですが 、

それは従来のお金と同じ価値であるということが重要になります。

 ここでは日本を例にとって、 発行されたお金の名前を仮に 「デジタル円」ということにしてお話ししましょう。

 

政府が直接個々人に デジタル円を発行するということになれば、

 人々はそれで遠方との お金の受け払いも直接でき 、銀行による口座振替や 電信為替などを使う必要がなくなります 。

しかもデジタル円は 政府の管理する ウォレット( 財布)に預けておくことになり 、誰も銀行に 貯金しなくなってしまうかもしれません 。

そうなれば、 銀行は存在意義を失い、 大きな打撃を受けるでしょう。

 

しかしその場合は、 人々が持つデジタル円やそのやり取りを 、

政府が責任をもって管理しなければなりませんが 、それは不可能と思われます。

 ビットコインの場合は 民間に委ねられていた 個々の取引の承認を、

 政府が全て行い、管理していくことは難しいからです。

 したがって、 実際は銀行を介して発行し 、その管理は銀行が担うことになるかもしれません 。

その場合は、 銀行は一定の役割を果たし続けることになるでしょう。

 

リブラには準備資産の裏付けがある

 

これまでにビットコインは「 夢の通貨」とはなり得ず、 「暗号資産」という呼び名が相応しいが、 それを契機に 政府の発行するお金がデジタル化 キャッシュレス化するだろうというお話をしました。

 

 そして実際に 各国でデジタル通貨の検討が進められている中で、フェイスブックが リブラを 2020年前半に発行する計画であるというニュースが流れ、 皆さんも驚かれたのではないでしょうか。

ビットコインとは違って「 暗号資産」というよりも 「暗号通貨」としてお金になるかもしれない リブラの話を 続けることにさせていただきます。

 

ビットコインとはどう違うかお話しすれば わかりやすいかと思います 。

まず一つは、それを発行し管理する「リブラ協会」という主体がリブラにはあります。

 一生懸命パズルを解く計算をした人が、お金を発掘するようにして手にするビットコインとは違います。

 しかも そのリブラ協会には フェイスブック の他にも、

 すでに 世界の大企業が参加する意向を表明しており、

 最終的に NPO などを含む 100団体を見込んでいるようです。

 

なんといっても一番大きな違いは お金にとって最も重要な価値の 安定性を保つ工夫がされていることです 。

ビットコインには 本源的な価値の裏付けがないと言いましたが 、

リブラはその発行にあたって 準備資産を裏付けにすることで 価値の安定を確保することにしました。

 

協会公認の取引所を設立するそうですが 、そこでリブラを買いたいと思う人が支払ったドルや円は 、

「リブラリザーブ」と呼ばれるところに 払い込まれて 、それを見返りにリブラが発行されることになっています。

 

そのリザーブは 複数の通貨 だけでなく 証券などで運用されるそうです 。

 

ということは 、出回っているリブラには 常に資産が準備されていて、 価値が保証されているということになります。

 

こうしたお金の発行の仕方は 一般的に広く行われています 。

すでにお話ししたお金の供給方法の第一段階で 各国の政府・中央銀行がお金( ベースマネーなどと言われる元になるお金)を発行する時には 、実はその裏側で 必ず資産を保有しています。

 

例えば、 今 異次元 の金融緩和ということで、 日本銀行は大量に円を供給していますが、

 その際には 市場にある国債などの証券を購入して、 それを資産として保有しているのです。

 

国際通貨にもなり得るが

 

リブラは、 本書で取り上げた ドルやユーロなどの国際通貨の中に、

 どこの国・ 地域のお金でもないものが加わり、

 大きな役割を果たすのかもしれないということで 注目されているのです。

 

確かにリブラには そういう期待を抱かせるものがあります 。

その最大の理由は次のようなことにあります 。

今日の世界は変動相場制ですから、 アメリカのように自分の国のお金が使えない限り、 海外との取引には 為替リスクが伴います。

 そうした中では、 比較的安定性が高いのは「 通貨バスケット」あるいは 「バスケット通貨」と呼ばれるお金なのです。

 リブラはその一つと言えます。

 

このように、バスケット通貨ということで、 リブラは変動相場制の世界では 比較的安定した国際取引ができますが、それだけではありません 。

国境を越えた外国の人同士でも、 コンピューター上で直接お金を受け払いできます。

 

お金とは何かということをもう一度思い起こしてみてください。

 もちろん、ビットコインのような激変はしませんが 、リブラも物の価値を測るものさしとすると 、メモリが伸縮することに変わりはないのです 。

 

そうすると 、政府の発行するお金で物の値段が表示されている中で 、その時によって物の値段が変わりうる リブラが大々的に普及するでしょうか。



お金の国家管理に対する挑戦

 

ビットコインとは違って、 リブラはお金として普及する可能性を秘めています。 しかし 、その普及を手放しに喜ぶわけにはいきません。

 なぜならば 、それはこれまでお金は国家によって発行され、 管理されてきましたが 、それに対する挑戦と言えるからです。

 

三つの意味でそれを揺るがす問題があると思います。

 

まず一つは お金を発行することで得られる利益 を民間が持って良いのかという問題です 。

先ほどリブラは 各国政府 ・中央銀行が 資産を裏付けにお金を発行しているのと同じように、

 準備資産を裏付けにして 発行されるというお話をしました 。

こうした方法ですと 、ほとんど利子を払う必要がないお金を 発行して得た資産は 、運用益を生むことから利益を享受できます。

 

二つ目の問題は 、世の中に出回るお金の量をコントロールできなくなる危険性をはらんでいるということです。

 

各国の中央銀行の 最大の役割は 物価の安定 、裏を返せばお金の価値の安定にあります 。

そのために 、その時の景気の状況に応じて、お金の発行量を調節するという金融政策を行っています。

 

リブラが発行されると 世の中に出回るお金の量はどうなるでしょうか 。

リブラを買いたいという人の預金が リブラ協会に振り替えられるという形で発行されるでしょう。

 

受け取ったお金は 市中の 銀行のリブラ預金となります。

それはつまり、世の中に出回ったままになります。

また受け取ったお金で 国債などの 証券を買った場合には 、

それを売った人のお金になって 世の中を回り続けます。

 

リブラを欲しいと思う人が多い時には リブラも含めて 世の中に出回るお金の量が増えますし 、

リブラを買い取ってもらいたいという人が多い時には減ってしまうのです。

 

これでは 、政府・中央銀行の 金融政策が行えないとか効かないということになりかねません。

 

安全性は確保できるか

 

 もう一つは、 これまでの金融システムの中で、

重要な役割を担ってきた銀行が中抜きにされることで 生じる危険も 無視できないということです。

 

これまでのお金はほとんどが預金ですので それを扱う銀行は金融システムの要となってきました。

 

政府中央銀行がお金を管理する上で、 銀行はその 一翼を担い、 重要な役割を果たしてきているのです。

 

ビットコインで見られる犯罪がらみの取引、 マネーロンダリング 、規則の割れなどに使われないか、

 リブラを利用する人々の個人情報が流出しないか、 不正利用によって損害を被った場合の保証はどうなるのかなど、 多くの不安が残されたままなのです。

 

お金は誰が発行し、 それでいかにきちんと経済を運営していくかと言う「 通貨主権」に変更を迫る、

 より根源的な問題を もっと正面から 時間をかけて議論しなければなりません。

 

ビットコインの登場を機に、 新しい機能を持ったお金が作れるようになったのですから 、

国ごと 、さらには国際的な観点から お金や金融の仕組みを どのように支えていくかをきちんと見極めたうえで、

 リブラをどう位置付けるか 決めていくべきだと思います。

 

 

私(チキハ)の感想です。

 

このような記事がありました。

20年4月。ブルームバーグより。

「各国の金融監督当局は 中央銀行の力を弱めることになりかねないとして リブラを計画警戒していた。

 運営団体のリブラ協会は、 そうした懸念に対応する形で 当初の計画を変更。

 各国 ・地域通貨の デジタル版のように動く 個別通貨連動型の複数のリブラを発行する計画だとした」。

 

バスケット型の 単一通貨は 、発行されないようですね。

 

価値が著しく下がることが分かっている日本円を握りしめている。 しかし今では、多くの他の国の通貨にしても同じようなもの。

 

国の政策とは関係のない通貨の行方を見ていきたいと思いました。