『紙の約束』( 2012、 フィリップ・コガン 、訳、松本 剛史)
軸通貨であるドルは大量に刷られています。それは、こんな歴史の流れがあるからです。
ドルは金(ゴールド)を裏付けにしていたとき、それによって発行数に制限がありました。
しかし市場経済の膨張が多くの需要を生み出し、窮屈になりました。
そして金の裏付けを放棄します。
そこから実体経済とは離れるようになります。コンピュータの中で資本が空間と時間を越えて移動できるようになり環境は大きく変わります。
そして、紙幣は際限なく刷られると表現されるようになり現在に至っています。
この本では貨幣は債務となる、と書かれています。貨幣は国債となって主にアメリカの輸出黒字国である国、中国に貯め込まれています。
お金は時代と共に形を変えています。これからどう変わってゆくのでしょう。
〈以下一部抜粋・要約〉
適正な量の貨幣を作り出すことは、 科学ではなく名人芸の部類だ。
金と銀はそこに秩序をもたらすが、 その供給は極めて不安定である。
歴史上の様々な時期に、 金と銀は 供給不足に陥っている。
例えば金がなくても、 人間には取引をしたいという自然の欲求があり、 従って貨幣やそれに類するものを作り出して持ちたいという欲求が自然に生まれる。
金と銀の供給が足りなければ、他のものを使う。
社会の経済的ニーズに合わない通貨のルールを政府が押し付けてくれば、
法律を回避する術を見つけ出す。
自国の通貨が無価値になれば、 外国の通貨を使い始める。
歴史的に見て、 通貨の不足と 過剰の綱引きは 、それぞれ異なるけれども 多大に結びついた数種類の貨幣が生まれる結果になる 。
ごく大雑把に言えば三つに分けられるだろう 。
貴金属やその他の科に関連付けられた通貨 。
ジョン・ローのシステムに見られるような、 政府の命令で作られる紙幣。
そして銀行システムが生み出す信用(クレジット)だ。
私(チキハ)の感想です。
アメリカは金を裏付けにした通貨を発行するのではないか、との憶測が巷にあります。
いま金銀の価格はとても高くなっています。
昔から金は不思議な魅力があって、それを人は欲するのです。一方、本来何の価値のない紙を信用して使ってきました。
さて、三菱UFJ銀行がデジタル通貨を2020年度内に発行するようです。
フェイスブックのリブラなど、いろいろな通貨が出回りそうです。人はどの通貨を使いたいとおもうのでしょう。