ユタカ2イキルオテツダイ

ほんの少しずつ、ゆたかになってゆきましょう

【ごく短小説】僕らのブルーハーツ

それは異様な光景だった。

 僕は体育館の隅でその様子を眺めている 。

ステージの上では校長が ブルーハーツの「リンダリンダ」を熱唱している。

 その次へ。

 その次へ 行くはずだったのだろう。

 だが、 あまりにも

 純粋すぎた。

 

4

 

そこまで読むと僕は残りの ページを読まずに本を閉じた。緑と青の入り混じった表紙に銀の太めのゴシックで『僕らのブルーハーツ』と書いてあった。

 なんか違うな、と思った。

 

明日は撮影でもしに行こう。

 あいつらもヒマだろう。僕は駅の階段を上りながら想像した。

 

日が落ちる河原で、「イッセーのセ」で高くジャンプするのだ。

3人がひとつの画面におさまるまで何度も何度も繰り返して。

手を高く上げて、 ボタンを留めていない長袖のシャツがたなびいて、 ぶかぶかのズボンは いいひだを作る。

夕日が 逆光になっていて いい写真が撮れる。

風が顔をなでていく、それだけでサイコーな気分。

あいつはきっと「タイトルは?」と聞くんだろう。

そうだな「僕らのブルーハーツ」。

ブルーハーツなんて知らない。

だけどいいのさ、 歌ってるのは こういうことだろう。