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市場原理主義的新自由主義ってなに

『金融危機は再びやってくる』( 伊藤 正直、 2012) 

国際金融システムが 機能不全に陥っている限り、 危機は世界中を襲うーー

1970年代後半より 市場を動かす思想や概念が変わりました。

自由をかかげ、規範をなくしました。それは、経済優先主義の暴走をまねきました。

それを規制することが必要です。

〈以下一部抜粋・要約〉

 

2008年に発表された IMF (国際通貨基金)の1調査によれば 1970年から 2007年までの 38年間に 208カ国で通貨危機が 、124カ国で銀行危機が 、63カ国で国家債務危機が発生しています 。

金融危機は先進国 、新興工業国 、開発途上国を問わず 、アジア、ヨーロッパ 、南北アメリカ、アフリカを問わず起こっていたのです 。

これに対し 、第二次対戦後1970年以前の時期には、 国際金融危機や 大規模な 一国金融危機はほとんど発生していません。

 第二次対戦後に限れば 、金融危機は1970年以降の現象だったのです。

 

新自由主義的改革をどう見るか

 

新自由主義は、一般的には 、1970年代後半になって登場したと言われています 。

 

政策体系は 、それまでのケインズ主義的な 総需要管理政策を全面的に否定するものでした。

市場の規律付けとアトム化された 企業や個人の自由を最も重視する 自由主義、 市場原理主義型の新自由主義が ここで登場したのである。

 

「アトム化」とは、巨大化した機能集団の官僚制機構のなかで、人間が一つの歯車と化して主体性を喪失し、孤立した状態にあることをいう。 現代社会において、各個人がおかれている状況を表現することばとして「アトム化」あるいは「原子化」という用語がよく使われている。

 

人間疎外 - Wikipedia

 

 

 これを支えたのがハイエク、フリードマン、ルーカスなどの戦後シカゴ学派の経済理論でした。

 

そもそも、市場原理主義的新自由主義は 、19世紀中葉の古典的自由主義における 、ロック、ペンサム、スミスという安定的世界ーー政治哲学・ 経済思想・ 社会システムが相互に整合性を持って体系化されている安定した世界ーー を持っていません。

 

20世紀中葉における、 ケインズ・ フォード・ べバリッジの世界も持っていません。

 1970年代に、 反福祉国家、 反ケインズ的総需要管理政策、 経済学の反革命を掲げて 登場した否定的反対物です。

近代資本主義が持っていた価値概念の体系性が失われていく中で、

 自由・平等 ・友愛・民主主義といった諸規範が トレードオフの関係になった時、 「アトム化された経済主体」という概念を使いながら、 経済主体の自由を最優先する形で 制作実践を行うものとしてしか規定できないのです。

 体系的な規範による歯止めがない以上、 市場原理主義的新自由主義が暴走するのはある意味で当然と言わなくてはなりません。

 

金融危機は制御しうるか

どのような形で安定的な国際金融システムを再構築するかが不可欠な課題となります。

この場合、重要なことは、市場原理主義的新自由主義にどう向き合うかです 。

これを標榜する巨大金融機関、 巨大企業のもたらす モラル崩壊と無法化は、今や 、黙視できない度合いに達しているように思われます 。

市場経済を守りつつ 、この厄災を防止するためには、 国際金融システムや国際機関を 、きちんとした国際公共財として 機能するようにすることが大切です。

 

 国際金融システムの機能において、 何らかの形の基軸通貨が不可欠であるとすれば 、それを直ちに実現することは 極めて困難であるかもしれません。

 しかし、 市場原理主義的新自由主義の暴走を抑えること、 検討されている金融規制改革に 古典的自由主義が持っていた健全性 、すなわち「 公共社会の力」による 「正義という特性」の行使と言う 健全性を埋め込んでいくことは可能なはずです。

 

私(キキハ)の感想です。

国際金融規制改革は行われているようです。詳しくはまだ勉強していないのでわかりません。すみません。

しかし基軸通貨についての新しい動きはまだ見られないようです。

また今後は、新しい思想や概念も出てくるのではないかな、期待したいなと思いました。

金融危機は再びやってくる――世界経済のメカニズム (岩波ブックレット)

金融危機は再びやってくる――世界経済のメカニズム (岩波ブックレット)

  • 作者:伊藤 正直
  • 発売日: 2012/11/07
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)