『国際金融論入門』( 佐々木百合 、2017 )
ここに出てくるヘッジファンドとは、ジョージ・ソロスのことです。その後、日本の国債売りを仕掛けたり、米国の株を空売りしたりといったニュースがあります。
彼らがどのようなやり方で利益を得るのかを知ることは、防衛につながりそうだなと思いました。
<以下一部抜粋・要約>
通貨危機問題
通貨危機とは ある通貨の価値が暴落することを指す。
それがなぜ危機かというと、 通貨の価値が下がりはじめると その通貨を持ちたがらない人や企業が 増えて、 さらに通貨価値が下がり、 その国や企業の 資金調達が難しくなるからである。
海外からその国に投資している人は、 投資した株や債券の価値が下落するので損失を被るし、 損失を避けるためにその資産を手放そうとするだろう。
さらに国内で資産を 蓄えていた人も 、自国の資産を海外に逃避させるかもしれない。
通貨危機は、1990年代に複数発生した 。
まず1992年~1993年にはポンド危機が発生した。
当時、イギリスは BRM( 欧州為替相場メカニズム) を採用しており、その変動幅を 参加国の互いの通貨の ±2.25%以内にしていた。
ヘッジファンドは、 ポンドに売り攻勢をかければ 、いずれポンドが 下限の-2.25%になり、 イギリスがポンドを買い支えるために 外貨準備を使って 自国通貨を買っても外貨準備には限りがあり、買い支えできなくなると見込んでいた。
そこでヘッジファンドは周りを巻き込みながらポンド売りを仕掛け、今度は下限に達した。
そしてとうとうイギリスは買い支えるのをやめて、ポンドは暴落した 。
ヘッジファンドは、空売りをかけることで、 暴落したポンドを購入して その差額を利益として出ることができたのだ。
これは通貨変動の幅を固定していることを利用した投機的行動が引き起こした通貨危機であった。
その後、 1994年メキシコ危機、 1997年東アジア危機 、1998年ロシア危機、 1999年ブラジル危機と相次いで通貨危機が発生したが、 みなそれぞれ特徴が異なるものの、これらの通貨危機を経験した国は外貨を大きく導入していたという共通点がある。
私(チキハ)の感想です。
通貨危機とは、国のかじ取りに大きな問題があるのではなく、主に海外の投資家の資本によって引き起こされるということが分かりました。
タイなどでは資本が過剰に流入しバブルになり、引き上げられることによって暴落するといった流れもありました。
そして、それを力づくで引き起こす事が出来るほど大きな資金を持っている人達がいるということに驚きました。
ジョージ・ソロス率いるヘッジファンドは10億〜20億ドル程度の利益を得たといわれる。 翌年の1993年には欧州各国に通貨危機が飛び火し、ERMは大幅な再編を迫られることとなった。(ウィキペディア)