ユタカ2イキルオテツダイ

ほんの少しずつ、ゆたかになってゆきましょう

未来の新しい地球社会へのヒント

『イスラムマネーがわかると経済の動きが読めてくる !』(畑中美樹、 2010) 

これからはアジアの時代だということを聞きます。

イスラムの人たちは、中東に住むと思っていたのですが、

イスラム教徒の6割はアジア・太平洋地域に住んでいるということでした。

イスラムにつて知ることは今後を考えるうえで大切な事かなと思いました。

「イスラム金融」では、イスラムの教えを遵守することが基本にあります。イスラム教では、利子のほか、 豚肉、酒類、賭けごと、ポルノなどが禁じられており 、これ等を取り扱う企業や個人との金融取引は禁止されています。

 

〈以下一部抜粋・要約〉

 

米国で起きた同時多発テロ事件を契機に、一躍メジャーな金融へ!

 

このマイナーだったイスラム金融を、一躍世界が注目するメジャー金融の座に押し上げる役割を果たしたのが、 2001年9月11日に米国で発生した、 4機の航空機を使った 「同時多発テロ事件 (9.11テロ事件)」です。

 この同時多発テロを契機にして、 欧米諸国でのイスラム社会に対する警戒感の方高まりが 、イスラム諸国の人々の イスラム回帰の風潮を呼んだのです。

 

世界の4人に1人はイスラム教徒?

 

厳密な人数はわかりませんが、世界的な調査機関 「宗教・公的生活 ビュー・フォーラム」 が世界各国地域の 国勢調査結果などをもとに 、イスラム教徒人口の分布を調べた報告書(2009年)によると、 世界のイスラム教徒数は約15億9000万人にのぼります。

 実に全世界の4人に1人がイスラム教徒ということです。

 しかも驚くことに世界でイスラム教徒が最も多いのは 、アジア・太平洋地域なのです。

 

私(チキハ)の感想です。

私たちは今の生活に息苦しさのようなものを感じています。

新しい形がそれを解消するのであれば移行していきたいと思いますよ。

イスラム金融の取り組みに、面白いレポートがありましたので以下に載せておきます。

 

「イスラーム金融は何に対峙しようとしているのか」

―伝統・近代・ポスト資本主義―

長岡慎介

 

イスラーム金融の現状に批判的な人々は,ポスト資本主義を見すえたイスラーム金融のあり方を模索し始めている。

そこでは,これまでのイスラーム金融が手がけてきた,前近代のイスラーム世界の遺産(伝統)を,現代世界(近代資本主義)の需要に単に対応できるように再構築するのではなく,未来の新しい地球社会(ポスト資本主義)の経済システムの創出に寄与しうるイスラーム金融の実践のあり方のヒントを前近代の伝統から学び取ろうという姿勢が垣間見られる。

 

そのような新潮流の中で再び注目を集め始めているのが「ワクフ」と呼ばれ

るイスラーム独自の伝統的経済制度である。

ワクフとは,何らかの収益を生む私財の所有者が,そこから得られる収益をある特定の慈善目的(例えば,モスクや学校の運営など)に永久に充てるため,私財の所有権を放棄する財産寄進制度である[林 2002: 1076-1077]。

例えば,建物を所有している者が,そこにテナントとして入っている商店からの賃貸料や自らが建物を利用して興した事業からの収益を,近隣のモスクや学校,病院の運営に充てることを条件に,その建物を寄進する。

そこでは,賃貸料や収益が増えるほど,モスク,学校,病院の運営が充実することになり,市場経済と社会福祉がうまい具合に両立するのである。

前近代のイスラーム世界では,ワクフの設定がさかんに行われ,都市の発展や社会的セーフティネットの構築に大きな役割を果たした。

近代に入って,ワクフ制度自体が廃止されたり,国有化による非効率的運営によって収益が低下したりすることで,その存在意義が失われかけていた。

のような中で,シンガポールの公的イスラーム組織であるシンガポール・イスラーム評議会 (Majlis Ugama Islam Singspura, MUIS) は,老朽化したワクフ物件を改築したり,一箇所に集約したりすることで,ワクフ物件を再生させ,収益を向上させるプロジェクトに乗り出している。

そして,そのワクフ再生プロジェクトの資金調達にイスラーム金融が利用されているのである17)。

写真17の事例では,商店の入った老朽化したワクフ物件を取り壊し,新たに住居付きマンションを兼ね備えた建物を作ることで物件の収益性を高めるプロジェクトが進行中である(2016年1月現在)。

シンガポールでは,このようなプロジェクトが複数進行中(一部はすでに完了)である。(経済研究所年報・第29号、2016)