『考えるシート』(山田ズーニー、2008)
私たちは親とか友達ではない他人に対して、どのようにコミニケーションを取るのかということを学ばずに大人になると思います。
自分の意見を言いたいととき、テンプレートがあるとありがたいです。
そこに当てはめていけば大きな失礼もないから、言いたい内容にまで届かずに門前払いをくらうということも避けられそうです。
この本は謝罪、自己紹介やプレゼンテーション、会議の進め方など他人とのコミニケーションが必要な場面に役立ちます。
ここではステージを3つに分けています。
A相手とつながる。B自分とつながる。C他者、外社会とつながる。
Bについて考えさせられることが多くありました。
自分というのが一番わからないとよく言われます。
時間をとって細かく観察して、なんて作業はあまりしません。
あなたは将来どんな自分になっていたいですか。ビジョンを描いてくださいって質問よくありますよね。
そういうとき憧れの人と自分をだぶらせるようなことをしていませんか。
極端に言うとお姫様とか世界一周をバイクでしたいとか。
私はそんなことを妄想してしまいます。
そしてビジョンを描いているのにちっともそこに近づかないなぁなんて。
妄想と現実の断崖を埋める作業が始まります。
<以下一部抜粋・要約>
自分とつながる
「思う自分」と「現実の自分」ズレがある。自分に問うことで、自分がわかってくる。
自己紹介をする
自分探し≠自己PR≠他人の評価
私たちは社会に出る前ほとんどアウトプットが求められません。
自己PRどころか自分はどんな人間か表現してみたことも考えたこともない人がほとんどです。
そんな状態で就職などでいきなり「自己紹介」をやらされるわけです。
だから「自分探し」と「自己PR」を一気にやってしまう。
本来、「自分とはどんな人間なのだろうか」と分析することと、「自分のいい面をいかに人に伝えるか」と言うPRは問いが別々です。
自分のための紹介を作る
現実のシーンでは自己紹介は一つ作っておしまいではありません。
出す相手によって書き分けます。
相手の求めている「問い」が違うからです。
ですから、就職のためとか、なんのためとかじゃなくて、良い面も悪い面も含めた、自分の全体像を自分でつかんでおくことが肝心です。
そして、他人にいいの悪いの言われる前に、まずはそんな自分を自分はどう思うのか、自己評価をしておけば、他人に否定されてもぺしゃんこにはならない。
ここでは、どんな方向から自己紹介が求められても、慌てないで書き分けるための自己紹介を作っていきましょう。
ポイントは2つあります。
①自分の主旋律を浮かび上がらせる
(*主旋律ってなんですか?主題や基調となる考え。)
過去を振り返ってみるとどうでしょうか。
過去から今に通じる自分が「線」として浮かんできます。
さらに、未来の自分を思い描いてみるとどうでしょうか。
意外な自分の意思を発見することもあります。
自分の過去、現在、未来と移動しながら問いかけ、その線上に浮かんでくる「自分の主旋律」のようなものをとらえてみましょう。
②人や社会との関係から自分の存在を浮かび上がらせる
「個性」も「自分の才能」も人とのつながりの中で発見していくほうが、つかみやすいと思います。
そこで、人との関係を思い浮かべながら、そこに浮かび上がる自分の存在をとらえてみましょう。
【*主旋律を引き出すインタビュー】
この人は過去→現在までどのように生きてきて、いま何を想い、現在→未来へ向けてどうしたいと言う意思を持っているのか?
- 過去から現在までをふり返って、あなたが、一番生き生きとしているのはどんなときですか?
- あなたが、いま、生きていくうえで、大切に思っていることを教えてください。
【*「あなたのテーマ」についてインタビュー】
(*テーマってなんですか?行動や創作などの基調となる考え。主題。)
「個人的にこのテーマが切実で考えずにはおれない」とか、あるいは「ライフワークとしてずっとこういうテーマに関わってきた」とか。
できるだけ、あなたという人間の真ん中に来るようなテーマがいいです。
- 「マイ・テーマ」をめぐって今の世の中を見たとき何がいちばん問題だと思いますか?
- 「マイ・テーマ」に関して、理想の未来をイメージしてみてください。5年後、10年後、理想が実現できるとしたらどんな社会にしたいですか?
私(チキハ)の感想です。
美術館で見た中学生の絵を思い出します。
クラス全員が同じ構図、描き方で自分の体育館履きを描いているのですが、全員が素晴らしい絵を描いていたんです。
とても驚きました。
同じ構図、同じ描き方の中で個性が現れる。
履きつぶした汚いシワだらけの靴もあり、新品のような白い靴もあります。
自分の靴と向き合っていることが伝わってきます。
今回、時間をとって自分と向き合い、全体像をつかむ作業ができたことはとてもよかったです。
問いを立てる、という方法を学べたので観察を深めていきたいと思いました。
自分の中にも見るべきモノがあると思いました。