『ヨーロッパで勝つ!ビジネス成功術』(塚谷泰生、2018)
ヨーロッパで売れるはずの日本の商品やサービスはたくさんあるのに、なぜ売れないのでしょうか。
日本食レストランで成功しているのは中国人やユダヤ人です。
それは、マーケティングをせずに自分たちの価値観を持ち込んでいるからです。
文化の違いを学べばよいのです。
<以下一部抜粋・要約>
日本の存在感が気薄になっている
ヨーロッパでは、中国やアジア諸国の台頭が著しい反面、日本の影は薄くなっています。
ビジネス文化の壁を取り払うと成功できる
工業製品はもちろん、ソフトのコンテンツも、日本は世界で常にトップクラスなのに、なぜ日本企業はヨーロッパで存在感が低下してしまったのでしょうか。
はっきり言えば、日本中のビジネス文化そのものに原因があるといえます。
2019年発効のEPA(経済連携協定)では最終的には多くの分野で関税がゼロまたはゼロ近くになり、貿易の障壁はなくなります。
関税によって競争力を削がれることなく、日本国内で販売するのと同じ感覚でヨーロッパに製品や商品を輸出できるということです。
この追い風を利用しない手はありません。
学校では意見をぶつけ合う訓練をさせる
ヨーロッパでは日本と真逆です。日本では集団の秩序を守るために個人の自己主張は抑えられますが、ヨーロッパでは個人は自己主張をすることで多様な考えを尊重しようとしています。
なぜ日本人は口約束でも守ろうとするのか
ヨーロッパ人は日本人がなぜ「約束」を守ろうとするのか、とても理解できないでいます。
これは、約束に対する考えの違いから来ています。
日本では、ビジネスに限らず、約束は守らなければならないものです。
約束を守らないと、それ以降は「嘘つき」だの「信頼できない人」だのと烙印を押され、まるで取り合ってもらえないこともあります。
子供の頃から、約束をすると最後に「指切りげんまん、ウソついたら針千本飲ーます。指切った」と念押しして大きくなるのですから、日本人の中には「約束は一種の契約」に他ならないとするDNAがあります。
ところが、ヨーロッパ人、いや日本人以外といったほうがいいかもしれませんが、約束という言葉は実に軽いものです。
本格的な交渉は「ノー」から始まる
日本人どうして「ノー」と言うと「はい、おしまい」の意味ですが、ヨーロッパのビジネス用語では、「ノー」の意味は日本人のそれとは全く違うことに気が付きました。
たとえ強い調子で「ノー」といわれても、話し合いがその一言で終わるのではなく、「違う提案は無いのか」と言う程度の、ネゴシエーション用語の一つなのです。
文化が違えば「話しても分からない」
ヨーロッパのビジネスに「話せばわかる」を持ち込んでも全く通用しません。
これは断言できます。
私の経験では、文化が違い、社会のルールがかけ離れている相手とは「話しても分からない」と思っています。
ビジネスでヨーロッパ人と打ち合わせや話し合いをするときには、日本人同士のときの2倍以上の時間をかけて、細部にわたって話すことが、とても重要な仕事の一つになります。
何故かと言うと、相手はあなたと違う常識の世界で、あなたの説明を聞いているからです。
週一のパートタイムでも正社員になる
オランダには日本のようなアルバイトと言う雇用形態がなかったのです。
オランダではたとえ週一日の勤務で、フルタイム働くわけでないとしても、労働法で従業員は正社員と決められています。
正社員ですから、年金や健康保険などの社会保険は日本と同じように、会社と従業員がそれぞれ半分ずつ負担します。
アルバイトという雇用形態があれば、必要のないはずの社会保険まで負担することになります。
その従業員と時間をかけて仕事の役割を理解させ、給料についても率直に話し合うことが必要不可欠でした。
組織で働く日本人には、あまり経験のしたことのない個人の価値を賃金に落とし込む交渉ですが、粘り強く話し合いを重ねて落としどころを見つけます。
ヨーロッパで売れそうな商品はたくさんある
日本の商品でヨーロッパで売れそうなものには、健康サプリ、自然食品、自然殺菌剤、特集食品機械、天然衛生用品などがあります。
ヨーロッパは昔から衛生観念が高く、食品衛生は厳しく管理されています。
また街中を歩くとオーガニックのスーパーが必ずあります。
食品添加物はもちろん農薬、飼料、肥料まで気をつかっていて、日本人以上に神経質で、自然や天然のものが好きなのです。
「約束は守られる」は日本だけで通用すること
ヨーロッパでは、約束は努力目標なので、必ずしも守られなくても良いのだと言うことを、前に書きました。
約束を文書にしたのが契約書ですから、契約書を交わしたからといって、その通りに履行されるとは限りません。
背景にあるのは「人間はミスをする」ということ
ヨーロッパ人には「人間はミスをするものだ」と言う考えが根底にあります。
だから、約束は守られないことがあっても仕方がないと考えるのです。
「死んでも約束を守れ」という日本人とは対極にある考えです。
日本に憧れるヨーロッパ人はたくさんいる
日本人でヨーロッパに憧れている人がたくさんいるように、日本に憧れているヨーロッパ人もたくさんいます。
最近とみに感じるのは、日本文化や日本人に憧れを持つヨーロッパ人が増えてきているということです。
盆栽、鯉、日本庭園、日本伝統工芸、和太鼓、コスプレ(日本の漫画やアニメ、ゲームのキャラクターの恰好をして、その人物になりきる)。
日本オタクは日本とヨーロッパの両方に詳しい
日本(文化)にどっぷりとはまり込んでいる人たちの中には、日本の鉄道や自動車にやたら詳しい人もいますし、今や日本人でも忘れかけている「金継」などの技術を習得している人もいます。
日本の映画やアニメ、音楽、日本食などが大好きな人はヨーロッパの小さな田舎町にもいます。
現地の言葉ができるからという理由だけで日本人を雇うよりも、こうした日本のオタクの現地人を採用する方が戦力になります。
私(チキハ)の感想です。
アルバイトという雇用形態がなく、週一でも何時間でも正社員であるというのには驚きました。
日本では、会社側が社会保険料を負担するのは、おおよそ正社員の4分の3以上の労働が(こーゆー話は疲れるけどがんばって)条件です。
22年には拡大されます。
私には日本人でもよくわからない人がいます。
プライベートで時間を守らないのが当たり前の人です。
本人曰く「なんで友達同士で時間守らなきゃいけないのよ」です。
私の貴重な時間を返してくれ。5分あれば出来ることがあるのだ。
こちらは約束を守るためにギリギリに時間をやりくりして来ているのである(今はボーっとしていたいだけだが、以前はいろいろ頑張っていた)。
頭の血がわきあがるのである。当然、文句を言う。
しかし、ヨーロッパ(日本以外)では、その方が多数派、というよりも、常識なんですね。
「なんでイライラしてんのよ!」と呆れる彼女が正しい。
ヨーロッパで仕事をするとは、そういうことですね。
日本人はその窮屈でクソ真面目な特性ゆえのエピソードが書いてありました。
ヨーロッパでは、国境をまたぐのに、IDとパスポートを見せますが、日本のパスポートは強力な威力を見せるようです。
身元確認などのために、奥の部屋に呼ばれないで済むということです。
変人の孤高ですね。
しかし、今の日本人はネジを固く閉め過ぎだと感じました。
私は、人はミスをするもの、とするヨーロッパで暮らすことになったら、遅刻ばかりの彼女も、ミスばかりの自分も許せると思いはっとしたからです。
これからは、新しいかたちで、余裕のある生活が出来るようになるという人もいます。
日本の商品や文化を広めるのによいタイミングですね。
*大きく四つある系統のうち、人と距離をおくタイプのゲルマン系の親は、娘(多分、息子にも)に言います。
ラテン系の男には注意するように!と。気をつけて下さいね。