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中国ビジネスはネーミングで決まる【非政治化社会の訪れ】

『中国ビジネスはネーミングで決まる』(莫邦富、2008)

普段なかなか深掘りしない中国の漢字です。

しかしもっと知りたいという欲求もあります。

上海生まれで日本語学科卒の著者の話はとても面白かったです。

「中国ビジネスに関する企業のブランド戦略、特にそのネーミング作戦に対して、自分なりの意見と提案、または中国ビジネス現場で気づいた問題点等について、1冊の本にまとめようと決心した」

とあります。

日本人は漢字を使っている強みもありながら、それを発揮できていないようです。

西欧の方がより中国人消費者の心に訴えかけるネーミングをつけていて、その理解は深いです。

 

<以下一部抜粋・要約>

 

美しい中国語ネーミングとは

「三得利」と「馬自達」

中国でうまく消費者の心をつかんで、しこたま稼いでいる日本企業がある。

上海市周辺のビール市場で最盛期で六割くらいのシェアを獲得しているといわれるサントリーだ。

もちろん商品開発力と営業力が良かったからだと思われるが、同社のネーミングも実にうまかった。

「三得利」という字を当てたのだ。

中国人消費者は一目でこのブランド名を覚えてしまう。

「三者ともに利益を得られる」という意味に読み取れるからだ。

その三者とは「消費者、販売者、製造者」だと理解できる。

しかも、中国語ネーミングの発音はほぼ、日本語のブランド名そのままだ。

自動車メーカーにも、ネーミングの良い会社がある。

最初、海南省の企業と手を組み、後に南京に自らの生産拠点を持った「馬自達」だ。

つまり、マツダである。

このネーミングは、自動車はいわば「現代の馬」で、それがおのずと目的地に達する、と連想が広がる。

「mazda」はもともと西アジアの神の名で、創業者の姓にもちなんでいる。

そうした由来にこだわらず、中国市場でどう受け止められるかを優先して決めたネーミングだろうと思われる。

マツダ車「ファミリア」の中国語名「福美来」も悪くない。

中国語では、美しいは「良い」という意味もある。

「美しい事」はつまり「良い事」だ。

この車を購入すれば福と美事がともに訪れる、と読める。

縁起を重んじる中国人消費者の心に迫るネーミングだ。

 

ノキアが中国で支持されるわけ

1990年代の後半だっただろうか、中国の主要都市部では、携帯電話の広告が街の1番目立つところを占領していた。

あるとき経済特別区である広東省深圳市を訪れた私は、道路の両脇に立つノキアの広告に目を奪われた。

そこに書かれているキャッチコピーに心惹かれたのだ。

「科技、以人為本」。

科学技術は人を以って本(もと)とする、という意味だ。

「以人為本」という表現は約2500年前の春秋時代の斉国宰相であった管仲が言った言葉「夫覇王之所始也、以人為本」(人をもとにしたからこそ、はじめて王になることができた)が最初であるとされている。

しかし、当時は中国でもこの言葉を知っている人は少なかった。

 

中華モチーフの台頭

2007年早春、十数年ぶりに竜門石窟で知られる洛陽を訪れた。

夕食後、市の中心にある、新しく整備された王城広場を散歩がてら訪ねてみた。

照明灯の柱に「論語」「詩経」など、「四書五経」から取った言葉が飾られているのを見て、新鮮に見えた。

一回りして、政治スローガンをまったく見かけなかったことに気づき、驚きを覚えた。

これは非政治化社会の訪れ、または伝統回帰だと見ていいだろう、と思った。

 

私(チキハ)の感想です。

中国共産党に迫害を受けた「法輪功」(1990年)という気功修練団体があります。

この団体は発足してからすぐに会員数が急激に伸ばし、共産党員を辞めた人たちまでもたくさん入会しました。

そのことを脅威に思った江沢民は、1999年頃から迫害を始めました。

それは非人道的なものでした。

2021年11月に有名女子テニスプレイヤーの告発が、世界を回りました。

それによって江沢民の鞄持ちといわれる、元副総理の高張麗に関する情報が出ています。

法輪功迫害は江沢民の指示で行ったという証拠も出ています。

この事件はエリートの反乱ととらえる人もいて、今までには無かった動きのようです。

過去には20万人以上の学習者やその家族が、江沢民を告訴しています。

文化大革命(1966〜1977)での死者数は数十万人や2000万人以上などといわれています。

こちらのブログによると、1997年に発行された書物によれば共産主義体制によって殺害された死者数は8000万〜1億人。

https://ameblo.jp/asd12345-12345/entry-12314738368.html

当時文革の思想は素晴らしい、と若者などに支持されていたのです。

2007年に嗅覚鋭い作家がこの本に書いたように、非政治化社会の訪れ、または伝統回帰の流れは、現在の中国に流れているのではないかと思いました。

グローバリゼーションの衰退と、民族や伝統の回帰は世界的な流れなのではないかと思いました。

ウィキペディアによればグローバリゼーションとは、「社会的あるいは経済的な関連が、旧来の国家や地域などの境界を越えて、地球規模に拡大してさまざまな変化を引き起こす現象である」です。

社会主義だと誰かがいっていました。

数年後には、いま行われていることの事実が人々に知れ渡るようになるのだろうと思いました。

 

中国の美しい漢字への感性は心地よくしみていきます。