『ウクライナ・ゲート』(塩原俊彦、2014)
この本は2014年に書かれています。
当時、選挙で当選した大統領は行方をくらまし、ウクライナ政府は武装勢力によって、転覆されました。
誰が、何の目的で行ったのでしょうか。
当時のマスコミ「ワシントン・ポスト、ニューヨーク・タイムズ、NHK、朝日新聞」は、ウクライナの武装蜂起の理由や背景についてほとんど語りませんでした。
<以下1部抜粋・要約>
ウクライナ危機はなぜ引き起こされ、今後、どうなっていくのか。
それは、21世紀の世界秩序を考える上で、極めて重要な問題であると言えるだろう。
日本でウクライナ危機が話題になったのは、2014年2月から3月にかけてのことであった。
首都キエフで武力闘争が激化、当時の大統領であったヴィクトル・ヤヌコビッチが行方をくらまし、やがて暫定政権が樹立される一方、ロシアがクリミア半島部分を併合するという事態に至る。
この結果、クリミア併合(編入でも良いが、ここでは併合を用いたい)に焦点が当てられ、ロシアが第二次大戦後の国家秩序を侵害したとしてロシア批判が巻き起こった。
半面、ウクライナに武装蜂起が起きた理由や背景について語られることはほとんどなかった。
ウクライナでの出来事に対する、こうした中途半端なアプローチがウクライナ危機の本質を見誤らせ、武力闘争を扇動していた米国の帝国主義的本性や、その暴走を看過した欧州連合(EU)諸国の帝国主義に全く目を背ける結果につながっている。
ここでいう帝国主義とは、1国内での商品交換経済が支配的となり、その市場経済の優位を広げることでさらなる利益を得ようと、主権国家が他の主権国家を劣位におこうとする運動を意味している。
近年の帝国主義は以前の征服や略奪を中心とするやり方とは異なり、「世界の民主化」といった掛け声を使ってその支配を広げようとしているために、分かりにくくなっている。
だからこそ、この口当たりの良いスローガンを利用して、「ワシントン・ポスト」、「ニューヨーク・タイムズ」といった新聞や「エコノミスト」誌は帝国主義の実態を隠蔽しつつ、帝国主義の代弁者としてふるまっている。
日本で言えば、「朝日新聞」や「NHK」といったメディアも、帝国主義の隠蔽に意図的にか、あるいは、無意識に加担している。
その事実をウクライナ危機が図らずも明るみに出してくれたのである。
武装勢力によるロシア系住民の殺戮を恐れたロシア政府がロシア系住民の多く住むクリミアを併合をすると、巨大メディアは第二次大戦期の秩序を崩壊させたという理由を持ち出して、武力勢力からなる暫定政権を擁護し、対ロ批判を強めるのである。
そうすることで、米国が始めた帝国主義的策謀を糊塗し、それに追従したEUの帝国主義までをも隠蔽しようとしたことになる。
ウクライナ危機の本質は、本書のタイトル『ウクライナ・ゲート』に凝縮されている。
若い読者の中には、このタイトルが「ウォーターゲート事件」をもじったものであると、ぴんとこない人もいるかもしれない。
ウォーターゲート事件は、リチャード・ニクソン米大統領を弾劾裁判、そして辞任へと追い込んだスキャンダルだ。
1972年、当時、野党だった民主党本部があったウォーターゲート・ビルに盗聴器を仕掛けようとしたことから始まった「ウォーターゲート事件」を追求した新聞社、ワシントン・ポストは今回、バラク・オバマ大統領の手先となって、まがりなりにも民主的選挙で選ばれて大統領に就任していたヤヌコビッチ政権が打倒された事実に蓋をして知らん顔を決め込んでいる。
本書では、ウクライナ危機の本質がオバマによってなされたスキャンダルであることをわかってもらうために、あえて『ウクライナ・ゲート』というタイトルにしたわけである。
ウクライナ危機が米国政府内に残存する「ネオコン」と呼ばれる人々、つまり新保守主義者という世界の自由化や民主化を唱道する人々に主導されて起こされたことを最初に教えてくれたのは、米国のジャーナリスト、ロバート・バリーである。
彼は、2014年2月23日にアップロードした記事の中で、ウクライナの政権打倒劇の背後にネオコングループがいることを鋭く指摘していた。
この視点に立てば、ネオコンが引き起こしたイラク戦争当時、フランスのジャック・シラク大統領とドイツのゲアハルト・シュレーダー首相は米国主導の武力行使に反対していたのに、今回、なぜ独仏は少なくとも当初、唯々諾々と米国政府に従って、武力で政権転覆した政権を承諾し、擁護したのかーーという疑問がわく。
他方で、ネオコンが絡んでいる以上、米国政府の狙いが軍事面とエネルギー面の両面に関わっているものと推定できる。
後述するように、ネオコンはユダヤ系の支援を受けており、自身がユダヤ人であることも多い。
ゆえに、ネオコンは1部のユダヤ系が関わっているウラン、石油、天然ガス、ダイヤモンドなどの資源の支配に強い関心を持っている。
同時に、武器製造、あるいは、民間軍事会社を通じた「戦争ビジネス」にも深くコミットしている。
第1章 誰がウクライナ危機を招いたのか
米国務省にいる「ネオコン」の残党
ウクライナでの騒動が米国政府内にいる「ネオコン」と呼ばれる人々の主導によって引き起こされたことを説明する。
ウクライナ危機はヤヌコビッチという大統領だった人物が欧州連合(EU)加盟に向けた前提となる連合協定の締結を断念したことを出発点とみなす人が多い。
11月24日には、主として、過激なナショナリストグループである全ウクライナ連合「自由」の支持者を中心とする抗議勢力が内閣府ビルへの突入や政府の車両交通の遮断のために警察隊と衝突事件を起こした。
これが、ヤヌコビッチの最終的な断念の後、11月30日には、いわゆる「マイダン自衛」と呼ばれる部隊の形成開始につながったのである。
「マイダン自衛」というのは、いわば不法に組織された軍事組織であり、小隊、大隊長といった組織編制を持ち、2014年2月までにその数は1万2,000人にのぼったとみられている。
他方、「自由」はれっきとした政党であり、一院制のウクライナにあって、最高会議の議員を有している。
一説には、1991年10月にウクライナ社会国民党として創設された。
単一の民族に基づく共同体国家を主張し、個人の権利に対する国家の集団的権利の優位をうたい、白色人種優位の人種差別主義的スローガンを掲げていた。
このように見てくると、ヤヌコビッチのEUへの接近断念が反政府運動に油を注いだように見えてくる。
しかし、忘れてならないのは、こうした運動を支援し、扇動する動きが水面下で進んでいたという事実である。
「ネオコン」の残党
ネオコンは新保守主義ないし新保守主義者を指している。
東京財団の研究者、渡部恒雄のわかりやすい説明も捨てがたい。
ネオコンはイラク戦争を主導した勢力としてとらえることが可能だが、「世界の民主化というリベラルな理念を考え方の中心に置き、それを達成するためには力の行使をいとわない、というパワー信奉のリアリスト」という側面を持つという。
そしてもう一つ、忘れてならないのは、「ネオコンにはユダヤ系の知識人が多く、現実にイスラエル政府とのつながりを持つものも多かった」点だという。
今回の米国政府の扇動によるウクライナでの暴力革命の事実に蓋をして報道している巨大マスメディアの背後に、ユダヤ系の強靭なネットワークの存在を強く感じるのはこのためである。
私(チキハ)の感想です。
私は中東問題やヨーロッパ、米国とロシアの関係等について詳しくは知りません(なんも知らんヤン)。
2022年3月現在のウクライナについての多くの報道は「ロシア大統領プーチン悪党」一色ですが、一部の変な人たちが、違った意見を持っていることを知っています。
ですから、図書館で「ウクライナ」と検索して出てきた本を数冊借りています。
今回は、2014年のウクライナ危機についての本でした。
このような本をまた読んでいきたいと思っています。
一部の変な人の意見
「戦争家の墓場」マドモアゼル・愛
「ウクライナ危機はネオコンがつくったビジネス」及川幸久
2022.1.30 【ネオコン】ウクライナ危機はネオコンが作ったビジネス❗️不人気のバイデンはウクライナを利用して支持率回復狙い❗️【及川幸久−BREAKING−】 - YouTube