『日本人だけが知らない戦争論』(苫米地英人、2015)
歴史的ヒーローの裏には、いつも彼らがいた。
民衆を苦しめる権力者に立ち向かうヒーローたち。
悪政に立ち向かい勝利を勝ち取った、数々の革命や、維新。
私たちは歴史の表しか知らない。
裏で資金提供していた人たちがいる。
彼らの考えはヒーローたちは違う。
裏切られ続けるストーリー。
これは本当の話なの?
1694年に世界初の中央銀行ができる。
その目的とは。
<以下一部抜粋・要約>
クロムウェルはなぜ戦争を起こしたか
「私は、自分が何のために戦っているかを知り、自分が知るところのものを愛する粗末な朽葉色の服を着た隊長を、大事と思う。
いわゆる戦士と称するだけで、それ以上の何物でもない人よりも」
1640年に絶対王政の打倒に立ち上がり、イングランド革命を指導したオリバー・クロムウェルは、このような言葉を残したと伝え伝えられています。
名誉革命によって、イングランドでは憲法「権利の章典」が制定され、王位に対する議会の優位を決定し、議会政治の基礎を築きました。
なぜクロムウェルは国王に反旗を翻したのか。
それは、すべての実権を握る国王から、国民の権利を取り戻すことでした。
1628年、イングランド国王チャールズ1世は、「課税には議会の承認を得ることを求める」という請願を提出した議会と対立しました。
そして、翌年には議会を解散し、指導者たちを投獄、専制政治を敷きました。
そのチャールズ1世が、あるとき急に議会を招集しました。
チャールズ1世は、使い果たした戦費の穴を埋めるために、議会に増税を承認させようとしたのです。
国王と議会は再び対立し、そこで立ち上がったのがクロムウェルでした。
彼は議会軍を組織し、国王軍に立ち向かうことになります。
クロムウェルによるチャールズ1世の公開処刑
議会軍に劣勢を撥ね退けるきっかけをつくったのは、組織した鉄騎隊でした。
これは、信仰心の強いピューリタンを中心に編成した騎兵隊のニックネーム。
彼らは、チャールズ1世が唱える王権神授説(王や皇帝が神からその権力を与えられたという考え)には根拠がないと考え、「王は聖書の教えに帰れ」と主張していました。
そういう聖書原理主義の信徒たちだけを集めて、部隊が編成されたわけです。
彼らが命知らずの凄まじい戦闘を繰り広げたことによって、国王軍は肝を冷やし、クロムウェルは失地を挽回していくわけです。
この成功に気をよくした彼は、議会軍をニューモデル軍と呼ばれる全く新しい軍隊に改編します。
ニューモデル軍とは、ピューリタニズムを精神的な支柱とし、組織に伝統的な社会階層のヒエラルキーを持ち込むことを否定した革命的な編成による軍隊のことです。
この新型の軍隊は、国王軍を次第に追い詰めていきます。
クロムウェルの軍隊は、やがて投降を余儀なくされたチャールズ1世の捕獲に成功します。
そして、国王裁判にかけ、ついに1649年、チャールズ1世を公開処刑にふすのです。
謎の暴動集団が突如現れてロンドンを荒らす
じつはクロムウェルは、最初から革命を起こすつもりで、そのチャンスを虎視眈々とうかがっていたフシがあります。
国王に反逆するわけですから、しくじれば自分の命はないし、罪がどこに及ぶかも分かりません。
負けるわけにはいかない戦いですから、彼は密かに周到な準備を整えていました。
その一端を示すのが、当時のロンドンを荒らした得体の知れない民兵の存在です。
彼らは労働者として、ロンドンのシティーにいつの間にか潜り込んでいました。
そして、クロムウェルがチャールズ1世打倒の狼煙を上げると同時に、突如シティーから飛び出し、暴動を繰り広げました。
彼らはみな、短剣や棍棒を所持し、手馴れた様子で街を荒らし、鎮圧に来た国防軍と交戦する、屈強のならず者でした。
それにしても、3万人もの傭兵を何年にもわたって使うためには、膨大な金を必要とします。
いったいその金は、どこから来たのか。
答えは簡単です。
ヨーロッパの大銀行家が資金提供したのです。
彼らは、何のために、そうまでしてクロムウェルを動かしたのか。
この問題に対する答えこそが、世界で数々の戦争が行われてきた理由です。
350年続いたユダヤ人追放令
ヨーロッパでは13世紀ごろから、ユダヤ人に対する迫害が起こります。
その発端は、カトリック教会代表が集った第4ラテラン会議でした。
開催されたのは、1215年のことです。
このとき、ユダヤ人に対する4つの重要な事項が決定されました。
1つは、ユダヤ人に対して、一目でそれとわかる身なりを義務付けること。
次にユダヤ人の通商活動を制限すること。
また、ユダヤ人がキリスト教徒を使用人として雇うことを禁止すること。
最後に、ユダヤ教徒がキリスト教徒の女性を家庭や組織に雇い入れることを禁止すること。
この4つです。
なぜこんな政策が必要だったのか。
当時のヨーロッパ経済界でユダヤ人が極めて傑出していたからです。
以来350年間、イングランドはユダヤ人の移住を認めませんでした。
大銀行家がクロムウェルに資金提供した狙い
彼らの願いは、あくまでも自分たちが通貨発行権を掌握し、その巨大利権を決して手放さないためのあらゆる経済・政治的手法を行使することです。
国際金融資本が目論んだイングランド革命の真の目的
では、彼らがイングランド革命に寄せた、本当の狙いは何だったのか。
イングランドの名誉革命は、オランダ総督ウィリアム3世によってもたらされました。
ウィリアム3世の出自はドイツ中西部の王家であるオラニエ=ナッサウ家。
これは、現在も続いているオランダ王家です。
そして、ウィレム3世(イングランドではウィリアム3世)がイングランド王位に就いて実現したことといえば、1694年のイングランド銀行の設立です。
ご存知の通り、イギリスの中央銀行です。
イングランド銀行は私企業であり、資本金はイングランド王位が20%、残り80%を複数の個人銀行家が押さえました。
彼らがイングランドで手に入れたかったものは、まさにこれでした。
イングランド銀行設立で彼らがすっぽりと手中に収めたもの
イングランド銀行設立の目的は、政府が発行する国債を一元的に引き受けることです。
「引き受ける」といっても中央銀行がする事は、単に紙幣を印刷するだけです。
紙幣発行権を掌握するとは、そういうことです。
これは現在の日銀も全く同じです。
つまり、戦争の拡大とともに膨らむ戦費を、通貨を印刷するだけで金利付きで政府に貸し付けることです。
銀行は、このようにしてイングランドの通貨発行権と信用創造権を手に入れました。
このように絵解きをしてみると、ピューリタン革命から名誉革命に続く一連のイングランド内戦は、国王対ヨーロッパの大銀行家の戦いだったということができます。
彼らが資金援助を行ったクロムウェルは、ヨーロッパの大銀行家の単なる駒の1つに過ぎませんでした。
戊辰戦争とヨーロッパ銀行家の怪しげな関係
さて、ここまで紹介した以上は、もう一つの身近な例を多少なりとも付け加えないわけにはいかないでしょう。
それは、日本に明治維新を導いた長州戦争並びに戊辰戦争です。
じつは、1864年から始まる長州戦争から1868年からの戊辰戦争の流れも、クロムウェルのイングランド内戦をひな形にして周到に計画されたのではないかと疑うだけの十分な材料があります。
その1つは、資金源。
薩州や長州で倒幕運動が活発化し、戊辰戦争に至るまでの膨大な戦費は、イギリスの銀行家が提供していたとみられます。
一方、幕府は幕府で、フランスの銀行家からそれを受けていたと考えられます。
坂本龍馬の新政府綱領八策に見られる民主的な国家統治の視点は、イングランドやフランスの革命においても、改革の要諦とされた内容です。
これは、龍馬に、おそらくグラバーたちがレクチャーした知識をもとにしたものでしょう。
議会政治を実現し、王から通貨発行権をもぎ取らなければ、いくら中央銀行の設立にこぎつけても、ヨーロッパの大銀行家が貸した戦費を回収し、さらに巨額の利益を独占する事はできないからです。
私(チキハ)の感想です。
面白いですよね。
異なる目的で行動する登場人物、いくつかのストーリーが並行しています。
経済に優れたために迫害され流浪の民となったユダヤ人は、ものに価値をおかない。
紙幣は彼らの操る道具だと考えることが出来ますね。
映画化しないかな。
不謹慎かもしれませんが。
さて、この本の中に気になる箇所があります。
現在のウクライナに通じるものです。
「ニューワールドオーダーと聞くと、一体どんな秩序なのかと構える人もいるでしょうが、彼らが目指しているのは実は単純なことです。
一言でいえば、世界を1つの政府によって統治し、経済を1つの中央銀行によって運営する。
つまりは、世界統一です。
実際、考えようによっては、世界はまだまだ多極的です。
ウクライナで起こった政変も、アメリカとEUの念入りな下準備によって起こされました。
プーチン大統領は、このことを百も承知ですから、これが戦争の火種にならないはずはありません」
この本は2015年に書かれています。
みなさん、私たち、渦中にいるようですよ。
苫米地(ベッチー)氏が私たちにアドバイスを送っています。
「経済苦や貧困に苦しむ人は、必ずお金にとらわれます。
戦争の時代には民を救う唯一の方法は、古今東西、お金に興味を持たないことしかありません。
もちろんそれは、想像するほど難しいことではないし、淋しいことでもありません。
むしろ本物の豊かさを手に入れられるでしょう。
方法は、簡単です。
疑うこと。
恐れないこと。
執着しないこと」
民=右往左往する私たちってことですよね。
今は戦争中というわけですね。
皆さま、気をつけましょう。
苫米地英人
Dr.苫米地 「認知戦」を理解してより良い世界を構築せよ!#ウクライナ #ロシア - YouTube