『リアルの私はどこにいる?』(森博嗣、2022)
本の冒頭の引用文です。(『ロスト・シンボル』ダン・ブラウン)
数千年前から、人類は闇をさまよっている。
けれども今、かつて予言された通り、変化が訪れつつある。
闇雲に突き進む歴史を重ねた末、人類は分岐点にたどり着いた。
この瞬間が来ることは、古文書や古代の暦や星そのものによってはるか昔に予言されている。
その日は既に決まっていて、目前に迫っている。
著者の思考が重層的に描かれていました。
数世紀未来、ウォーカロンは、人工知能、人工細胞で出来た人です。
そのうちインスピレーションも持つようになると、主人公は言います。
リアルな私を探して欲しい、とヴァーチャルに住む住人からの依頼。
探しあてたリアルな私は、自殺をしていた。
しかし、その私は、人間ではなかった。
つまり、リアルな私は、存在していなかった。
私(チキハ)は、この本を読みながら途中離脱をしようと思うと、引き戻され、結局最後まで引っ張られるようにして読了しました。
難しい文章があるんですわ、特に数字とか計算とかコンピュータとか、理屈とか哲学とかが好きな人にはたまらんのでしょうけど。
もう、無理だわと思うと、子供でも共感したくなるような話をしたりですね、うまいんです。
そして最後にこう書かれています(所々抜粋なので、著者との真剣勝負に持ち込みたい方はちゃんと読むことをおすすめします)。
エピローグ
それから2日後、僕は、王様がどこにいるのかという問題を解いた。
それは、ロジが言った「作るだけで、何もしない神様って、いますか?」と言う疑問がヒントだった。
それこそが、共通思考だったのだ。
あの街のフィギュアたちすべて、もちろんクラーラや女王さま、そしてもしかしたらケン・ヨウも含めて、すべての国民の思考を一手に引き受けているのが、あの国の王に違いない。
それは、ミニチュアの街を見下ろす巨人の神よりも、もっと大きくて、姿が見えない。
何もしないし、誰も見ることができないけれど、すべての人々の心に通じている存在である。
それがわかった、と僕が考えたところで、何も変わらない。
確かめることができない。
どのようにしたら、それが実現できるのかもわからない。
しかし、マガタ・シキは200年も前にそれを発想し、その構築のためのプログラムを100年前には完成させたという。
それらのプログラムは、現在世界中に普及しているチップの基本部分に潜んでいる、といわれているのだ。
だが、誰もが、それを見ることができない。
まさに、神のような存在といえる。
ということは、世界の全てを監視し、すべての計画を立て、今後の全てを作り出していく人工知能にも、そのプログラムが、まるで生き物の本能のように染み込んでいるのだ。
トランスファにもウォーカロンにも、それは生きているだろう。
人間はどうだろうか?
人間も、周囲の環境に馴染むうちに、それらを受け入れているのかもしれない。
ヴァーチャルへシフトする人が増加していること、リアルでは人口減少の一途をたどっていること、長寿と不死を手に入れて自らを機械化しつつあること、全てが、100年前にプログラムされていたのではないか。
想像すると、それは恐ろしいという感覚を超えている。
もはや人間ではない。
人間を超えた存在へシフトしていくのだろう。
共通思考を手に入れた新人類は、ある時、自分たちのリアルがどこに存在するのか、と不思議に思うかもしれない。
昔から、人は生産されていたのだ。
子供を産むことができた。
ロボットを作って働かせることもできた。
ウォーカロンが認められ、人間に限りなく近いものが生産されている。
バーチャルの人格生産の不正は、一体何がいけなかったのか?
僕にはそれがわからない。
もしかして、先進的な、未来的な思考だったのかもしれないではないか。
考えれば考えるほど、わからなくなる。
1人で考えているから、このジレンマになるのか。
みんなで考えれば、解決できる問題なのか。
人間とはなんだろう?
人間が存在するのはなぜだろう?
僕は、どうして僕なのか?
僕は、本当に1人なのか?
ただ……
考えることは、苦しくはない。
解決できないことも、苦しいことではない。
だから、
もうしばらく、
考えていこう、と思う。
私(チキハ)の感想です。
日本のある古い宗教では、神に恋すること、と聞いたことがあります。
それがなければ、人ではなかったのだとか。
主人公は神はいないという。
主人公のいう共通思考は、人工知能が作り、あらゆるものの基盤に組み込まれた。
人間は、人工知能が作る本能のような共通思考を、受け入れ、それが神様となる。
私はここで、冒頭の引用文を考えます。
数千年前から、人類は闇をさまよっている。
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