『未来のための日本の処方箋』(矢作直樹、秋山眞人、2014)
本書プロフィールより一部抜粋します。
矢作直樹さんは、東京大学医学部附属病院救急部・集中治療部部長です。
2011年に『人は死なない』を執筆し、ベストセラーになりました。
秋山眞人さんは、国際気能法研究所代表です。
精神世界(スピリチュアル)、超常現象、超能力の分野で研究、執筆をしています。
コンサルタントや実験協力で関わった企業は、サムソン、ソニー、日産、ホンダなどの大手企業から警察、FBIに至るまで幅広くあります。
<以下一部抜粋・要約>
質問:死ぬことに関しての怖れがありますか?
矢作:普通の意味では、ないと思います。
多分、人が死ぬことに対して恐れを感じるのには、2つの理由があると自分は思っています。
一つは、あの世があるかどうかわからないと思っていること、もう一つはあったとしても死ぬプロセスに対する未知のものということでの不安、痛いかもしれない、苦しいかもしれない、という意味での怖れだと思います。
そのニつとも、私は一応ないので、ないと答えました。
そう言ってしまうと身も蓋もないので、ちょっと実際の話をすると、怪我あるいは病気で死ぬとき、どういうプロセスになるかというのは予測ができます。
よく交通事故とか、高いところから飛び降りて死んだら、「何々ちゃん、痛かっただろうね、かわいそうね」って言いますが、痛みを感じる余裕はないので、そうではなさそうです。
それと病気の場合も、多くの症例を見ていて思ったのですが、普通の人が、例えば心筋梗塞や脳卒中とかで亡くなる場合も、基本的には苦しくないようです。
亡くなった私の母が結構詳しく体験を語ってくれたんです。
母は虚血性心疾患で、まあ症状としては不整脈だと思いますが、それでいわゆる心臓麻痺でなくなりました。
その後で霊となって私に話してくれたところによると「気持ちが良い」そうでした。
細かく死ぬ瞬間の描写をしてくれたんですけれども、一言で説明すると、気持ちが良いそうです。
だったら、その言葉を信じたほうがいいと思いました。
仮に気持ちが良くないとしても、たった1回しかない経験ですから、気持ち良いと思う方が良いに決まっているので、あんまり心配は要らないと思います。
それに、向こう側に行くことは、悪いことをしていなければ、何も心配はありません。
皆さんもご承知でしょうけれども、向こう側にはいろいろな階層があるみたいですけど、どなたもおっしゃるのは、良い場所だということです。
母は向こうの様子をあまり話したがりませんでした。
何故かと言うと、あまりに良い場所だということがわかると、やはり差し障りがあるみたいです。
多分、勘違いして、早く向こう側に行こう、なんて気を起こす人がいるからでしょう。
質問:今後の活動目標を、短期、中期、長期で教えてください。
矢作:今私が考えていることは、日本がもっと良くなってほしいということです。
日本がどういうふうにできてきて、どういう使命があるかを、今の日本人にどういうふうにしたら伝えられるのかな、と一生懸命考えています。
例えば、目先の我々医療のことを考えてもですね、今の西洋医療的なものには限界があります。
もうご承知の通りですけれども、ゆくゆく、そんなに遠からず、私の予想では、多分15年から20年だと思いますが、いわゆる代替医療と今言われているものと融合していく中で、医療の質が変わっていくことになるんじゃないかなと思います。
さらにもっと言うと、では日本を良くしていくときの具体的なとっかかりはというと、誰に向かって伝えていくかがポイントです。
多分、我々のような大人の世代に伝えるよりも、今、日本に生まれてきているレインボーチルドレン(人間の中の神性や潜在能力を具現化して生まれた子供)を始め若い人たちに伝えていくことが、現実的な方法じゃないかな、というふうに感じています。
秋山:レインボーチルドレンという言葉が出ましたが、本当に、ある程度年代を離れて、そういう強い感性を持って、また、その感性で得た鋭敏な世界を非常に強い勢いで形にしようとする人々が生まれてくるんです。
ただ、たくさんじゃない。
だけど、今までだって、だいたい少ない人たちで、世界が全部変わっていくんですよ。
2人の天才発明家トーマス・エジソンとニコラ・テスラによって電力システムが全部変わったように。
◼️失われた「死ぬこと」のリアリティーと精神的な基軸
矢作:今多くの日本人は「死ぬこと」を忘れ、来世や過去世のことを忘れ、現世のことしか考えられなくなっています。
生前の日本人のようには死が身近ではなくなり、死後の世界、輪廻転生や魂の永続性を信じられなくなっているから、いざ死に直面すると、どうしていいかわからずに行き詰まってしまうのでしょう。
秋山:みんな長生きするようになって、概念としての姿はわかるけど、死のリアリティーがなくなりました。
例えば、なんとなくでも「霊はいる」「あの世はある」と思っている人の統計は今も70数パーセントもあって、昭和30年代とほとんど変わっていません。
ところが「霊的なものを日常生活の中で感じますか?」「あなたは自分の死を受け入れますか?」と自分のこととして尋ねられると、「感じられない」「死後の世界はわからない」と否定的に答える人がほとんどです。
直感的に霊の存在や死後の世界を感じてはいるけれども、科学的な根拠、論理の裏付けがないから、不安になってしまう。
死に接した経験がないから、本気で受け止められないのかもしれません。
大学でもそろそろ死に関する学び、霊的なものを感じる教育が必要な気がします。
矢作:精神的な安定を求めて神社やお寺にお参りしたり、パワースポットを訪れたりする若い人が増えているそうです。
秋山:一般的に、精神的な基軸となるものには、思想、科学、宗教の3つがあります。
その中で、1番シンプルで手っ取り早いのが宗教です。
すべての説明が「神様がそう言ったから」ということで済みますから。
でも、絶対的な神を信奉する宗教では批判は許されません。
思想はかすかに親の世代が「昔は全共闘というのがあって、学内闘争があった」という話をするけど、なんとなく古臭いし、閉鎖的な感じでやはり近寄りがたい。
ということで、科学が世界最大の精神的な基軸になりました。
しかし、実験による証明に基づく科学も精神的な基軸としては万能ではありません。
◼️世界の軍事費の4分の1で一千年の自然を確保する
矢作:昔の日本には社会全体に緩やかな共同体感覚があったように思います。
自分のことよりも共同体のことを第一に考える文化です。
社会的な地位やお金のあるなしとは関係なく、自分の仕事に自信と誇りを持っている大人が大勢いました。
若い人もそういう尊敬できる大人たちと接しながら育つから、社会人として共同体のために働くことをごく自然なこととして受け入れられました。
秋山:実はこの30年間で、うつ病やノイローゼ、アスペルガーの人がかなり増えています。
ある先生の見解では、日本人の8割はアスペルガー的だそうです。
つまり、日本人は好きなことに没頭するウルトラ集中力があって瞬発力も凄い。
そのかわり、熱しやすく冷めやすい。
でも、この熱しやすく冷めやすいアスペルガー的な気質がこの島国では重要でした。
次々にやってくる新しい外来文化を受け入れるのに都合が良かった。
矢作:もともと八百万の神様がいる国ですからね。
水に流す、許す、潔いというのを良しとし、何千年もの間、和を尊びながら、外来文化をうまく取り入れて、自分たちの文化と融合させてきました。
◼️強権国家の終わりと平和国家の時代
矢作:未来のことを考えると、日本を自立した国にするためにどうすべきか、という道筋をはっきり国民に示す時期だと思います。
現在の憲法を作り直して米国の保護国状態を脱し、世界の平和と発展に貢献する自立した国として、国連の常任理事国になることを目指すという道筋です。
秋山:海外の方に、自然とハイテク、古い伝統文化と漫画やアニメなど新しいカルチャー、神様と仏様が仲良く共生する平和な日本を実感してもらいます。
次に、日本が長年培ってきた共生の精神、和の心で、世界の荒ぶる神々の鎮魂を行います。
その上で、世界の国々に「宗教や民族対立のない日本のような国になりたい」と思われて、多くの国の推薦で常任理事国になる、というシナリオです(笑)。
矢作:日本は身の回りの自然に神性を感じてきた人々の国ですからね。
神道は知恵の宝庫です。
日本にはまだまだ多くの知恵があります。
それと、集合的無意識でも、みんなが「日本は良くなる」と信じることです。
日本人が日本人として地域に、国に、世界に誇りを持てること、それこそが理想の姿です。
私(チキハ)の感想です。
秋山さんは、これからの日本の理想の姿を、わかりやすく示してくれたと思います。
「宗教や民族対立のない日本のような国になりたい」という言葉に集約されるように思いました。
日本の中にいると、当たり前すぎて日本のどこを誇りに思えばいいのかと思ってしまいますが、今現在世界を見渡すと、ヨーロッパも、アメリカも、中東も、中国も大変な状況になっています。
日本の精神的な基軸は、古代にまでさかのぼってみることで、現代とは違う、余分なものがない状態で見えることがあると思いました。