ユタカ2イキルオテツダイ

ほんの少しずつ、ゆたかになってゆきましょう

こころを開ける相手

 

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その人は、私の心をこじ開けようとしていた。

その人たちにとって、性の交流は軽かった。

嘘をつくのも平気だった。

私はと言えば、そのルールは合わなかった。

だから、そのことをはっきり言えばよかったのだ。

「お付き合いする相手以外との性の交流を持つルールは私には合わない」と。

そう言わせたかったのだと、分かっていた。

不思議なことに、その人は私の色に染まりたいという願望があった。

不思議、というのには理由がある。

私は、自分自身に優れたものを見いだせなかった。

丁寧に話をすれば、違ったカタチになったのかもしれない。

その人の経験や生き方を尊重することが出来たかもしれない。

当時の私は、そこまで成熟していなかった。

それから時間は流れた。

リーダーは、向いていない。

人の生き方を変えるようなことには消極的で、逃げたくなる。

「他の誰かとお付き合いをすればいい」

そうすればその人もまた、自分を変える苦しみに向き合わずに済むだろう。

私が自身の切望を、説明ができず、閉ざされた相手は混乱してしまう。

私は、鬱みたいに何もやる気がなくなってしまった。

一人で穴倉の中でしゃがんでいるような孤独を感じていた。

また一人だ、と泣きじゃくっていた。

寂しくなったので、目をつぶって心の中で黒龍と金龍を呼ぶとそれはすぐに現れた。

いつもすぐに駆けつけてくれる。

首のあたりの皮は美しく輝いている。

私は、手で撫でているうちに落ち着いてくる。

その時「いつも一緒にいるよ」という言葉が伝わってきた。

多分、龍ではない。

いつも私のブログを読んでくれている人だ。

「いつまでも一緒にいるよ」ではなかったかと繰り返し思う。

私は安心して、幸せに包まれた。

自分のどこに優れたものを見出せばいいのか。

何を拠り所にして、対話をすればいいのか。

相手を理解できること、相手を尊重すること、苦しみと喜びの共感は、母親が子供にするものだ。

私にはこの共感と同情が出来るのだろう、と思った。

私は、苦しみや喜びを分かち合いたいと思っている。

夢を見た。

「ひさしぶりだねー」と水色のふにゃふにゃした宇宙人が言う。

私は、心から安心して何もかもを分かり合えると感じた。

生きるためにまとった鎧は必要なかった。