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プレップ経済倫理学

『プレップ経済倫理学』(柘植尚則、2014)

〈以下一部抜粋・要約〉

はじめに

経済について、倫理という視点から考えるのが「経済倫理学」です。

倫理とは、人間が社会の一員として守るべきルールのことです。

そのルールは、善や悪、正や不正、人間の生き方や社会のあり方を示すものです。

 


福祉

--福祉とは

日本の「福祉」は、もともと、「幸福」という意味の言葉でした。

現在では、福祉は、次のように定義されています。

すなわち、福祉とは、人々の生活を安定させ、充足させることであり、特に、社会的に弱い立場にある人々や恵まれない人々に対して、支援や援助を行うことです。

 


--福祉の政策

福祉国家とは

福祉国家とは、一般に、国民生活や市場に対して積極的に介入し、政治によって経済を統制することによって、貧困などの社会問題を是正しようとする国家のことです。

 


再分配のあり方

福祉の政策をめぐって、特に論争の的となっているのは、資源の「再分配」のあり方です。

資源とは必要とされる財やサービスの事ですが、福祉国家は「租税」制度と「社会保障」制度を通じて、資源の再分配を行います。

「租税」の正当性についても、古くから活発な議論が交わされてきました。

租税政策の正当性は、租税が公正であるかどうかではなく、租税政策を行う社会が公正かどうかにかかっている。

次に「社会保障」における分配のあり方に話を移します。

福祉の分野では、分配に関して、「貢献(功績)原則」と「必要原則」という2つの原理があります。

貢献原則とは、人々に資源を分配するときには、それぞれの人に分配される量は、その人が成した貢献に応じて決定されるべきである、という考え方です。

それに対して、必要原則に従うと、多くの必要を持つ人がそうでない人よりも多くのものを得ることになります。

公平性という観点からすると、貢献原則の方が望ましいように思えます。

しかし、貢献原則には、原理的な問題もあります。

貢献は「能力」「努力」「運」の3つにもとづいていますが、そのうち、運は明らかに個人を超えたものであり、能力も個人の意志を超えたものです。

それゆえ、運や才能にもとづく貢献に応じて、分配を求めることには、大きな疑問があります。

さらに、個人のものといえるのは努力だけですが、努力も環境に左右されるので、個人だけのものとは言い切れません。

したがって、貢献原則を絶対視することは、かえって公平性を損なうことになります。

 


--これからの福祉

ワークフェア

「ワーク(仕事)」と「ウェルフェア(福祉)」の合成語であり、「勤労福祉」とも訳されています。ワークフェアとは、元来の意味では、公的扶助の受給者に対して、労働することを義務づける、という考え方です。

それは、労働の対価として給付を行うことで、受給者の精神的な自立を促し、労働を通じて技能を身に付けさせることで、受給者の経済的な自立を促すものです。

ベーシック・インカム

福祉の新しい試みとしては、「ベーシック・インカム」もあります。それは「基礎所得」と訳されています。

ベーシック・インカムとは、社会のすべての市民に対して、一定額の所得を無条件に給付する、という考え方です。

 


私(チキハ)の感想です。

これからの社会は、コンピューターやAIなどの発展により、人々の労働は少なくなっていくと言われています。

人以外の労力により上がった生産高を人に還元するということになれば、福祉の資源が増えていくと予想できます。

再分配のときに、どのような考えが公正になるのでしょうか。

福祉についてあまりよく考えてこなかったのですが、運、才能、そして努力までもが、個人を超えたものだとするのは、私にとって新しい視点でした。