ユタカ2イキルオテツダイ

ほんの少しずつ、ゆたかになってゆきましょう

ストーリーマッサージ

空想なのだと思う。

目をつむって、顔をマッサージしていた。

指先が、黒い煙のようなものを感じた。

それは、こめかみやもみあげのあたりにあった。

指を移動させると、生え際に感じるようだった。

耳の後ろもそうだった。

これは何か良くないものがあるのだろうと念入りにほぐした。

これは面白いと思い、体のマッサージも同様に意識してみた。

すると、心臓のあたりに西洋の王がいた。

右の胸には貴族がいた。

意外だった。

全く意外だった。

自分に愚かな虚栄心があるのかとも思った。

今は深く考えないようにして、次に移った。

左の脇腹や腹に濁った緑色のようなものを感じた。

貧相な人だった。

左の臀部には、褐色の肌の陽気な若い女性がいた。

意外だった。

左の腰に痛みがあるので、悪いものが見えると思っていた。

左の足の甲から指先にかけて無気力の見捨てられたような人々がいた。

底辺の貧しい人たちだった。

くすんだ緑色をしていた。

ここは、傷んでいる箇所だったが、思いのほか悪いのかもしれなかった。

念入りにもみほぐした。

空想とは自分が故意に作るものだろうか、それともどこかから湧いてくるのだろうか。

何かをきっかけに連想したりするのだろうか。

数日後、思い出したのでまたやってみた。

この空想はどこからくるのだろうか。

何かを知覚しているのだろうか。

だとしたら、何を知覚しているのだろうか。

気になっていた左の脇腹をマッサージしながら目を閉じた。

ライオンの頭部をした騎士がいた。

青い肌の女性を見ていた。

黒いカラスが四羽、空から檻を運んできた。

女性は檻に入れられて、連れ去られた。

その女性は安宿のテーブルに食事を運ぶ仕事をしている。

ある部屋の中に入ると、そこには病気の老婆がベッドに横たわっている。

女性は介抱している。

老婆は息絶える寸前だ。

白い鳥が、小さな檻を運んでくる。

中には、羽の生えた白い馬がいる。

人々が部屋の中に入り込んで、老婆の最期を看取る。

女性はベッドの下に檻を隠す。

洗濯物の下に紛れ込ませて、部屋の外に連れ出す。

洗濯部屋に来ると、洗濯物の下から青白い光が出ている。

羽の生えた白い馬が光っているのだ。

そこで、私は空想を止めた。

疲れてしまった。

初めのころと違い、いくらか自分の意志が加わっているように思った。

物語のようになったのは、意識的なのかもしれなかった。

もうやめようと思ったが、一番気になっていた体の箇所、左腰の仙骨のあたりをさすった。

前回はここに、牢屋につながれた女性がいるように思った。

神経の奥深いところに原因があるように感じていた。

今回は、指を這わせ意識を集中させた。

するとそこに、褐色の肌の若い女性が笑っていた。

私は、違うと思い、その意味を知りたいと思った。

だが、その陽気な女性は顔をしかめるくらいで、初めに感じていた牢屋につながれた女性の面影はなかった。

私はそこで手を放して、集中を解いた。

痛みの原因があるとしたら、激しい怒りの感情だろうと思った。

それから、なぜ初回と、二回目では違うのかと思った。

痛みには、幾重にも理由が重なっていることがあるだろうと思った。

初回に意識した深い痛みの原因は、意識されたので消えたのだろうか。

体の痛みや状態を映像のように見せているのかと初めは思っていた。

体の状態は、身体だけではなく、心理的なものも大きく影響することはよく知られていることだ。

他には、痛みには過去生のトラウマの影響とか、霊にとりつかれているとか、先祖がなにかしたとか、様々なことが言われている。

だから、そういうことまでも映像で見せているのかと思ったが、それが物語になると分かりにくい。

私の映像はファンタジー色が強いと思う。

なんなのだろう。

そういう映像を見た、物語を読んだ、絵を見た、聞いた、ただそれを連想しているだけなのだろうか。

様々な国には似たような伝説があると聞く。

そういったものから考えると、先祖や神話や寓話が入り混じってもおかしくはない。

こんな物語になるのは、私の精神構造にその趣向があるからかもしれない。

そして私個人より集団意識と混濁しているかもしれない。

最近、ユングにはまっているせいだ。

もしかすると私は、無意識に物語を通じて癒しや治癒を行っているのかもしれない。

今、ふとそう思った。

私は普段、他人を見るとき、この人は今こういう状態で、この先こうなりそうだから、どうしたらいいのだろうかと考える、という余計なエネルギーを使っている。

最近はそれを自分に向けるというトレーニングをしているのだ。

それが、こういった形で出てきているのかもしれなかった。

だとしたら、体の(心理の)状態が良い方向に変わっていくはずだが、そんなにうまくいくだろうか。

このままいくと私は不死身になってしまう。

なんか、以前こんなことを思っていたことがあったような。

見事にその期待は裏切られたのだが。

ふと思った。

あのころから比べたら、今のほうがはるかに健康だ。

多少の効果はあるのだろうか。

もしそうなら、これを読んでいる読者に伝えたい。

こめかみともみあげと耳の周りの生え際をもんでみて下さい。

ここは頭を使う人は凝っていると思う。

シャンプーするときにでもやってみてください。

あとは、あごの骨周りと小鼻の付け根は、凝っていてマッサージするとすっきりします。

そのあとは、体中をマッサージしながら、癒してみてください。

こんなこと言っていいのか?