ユタカ2イキルオテツダイ

ほんの少しずつ、ゆたかになってゆきましょう

外側にいた

わたしは、外側にいた。

 

あなたの光に触れたくて、手を伸ばした。

でも、滑った。

 

わたしが愛していたのは、
あなたの強さだった。

 

人を束ねる力。
迷わず決める、その速さ。

でも、触れたかったのは、
その奥にある寂しさだった。

 

あなたは、
報われないと思っている人だった。

 

どれだけ人に囲まれていても、
どれだけ認められても、
それでは足りないと、
顔が語っていた。

 

その思いを、
わたしは救いたかった。

 

手を伸ばしても、拒まれ、
触れそうになると、くるりと滑った。

 

あなたは、核を決して渡さなかった。
笑いながら、何もなかったような顔をしていた。

 

あなたは、わたしに一度だけ、聞いた。

「あなたは、どうしたいの?」

 

わたしは、あなたを救うことで、
自分が愛されるのだと思っていた。

 

でも、わたしもまた、
触れられたくなかった。
自分の不在を。

 

くるりと手を滑らせたのは、
あなたが戦いをやめなかったからではない。
わたしもやめていなかった。

 

わたしは、もともと戦う側の人間だった。
守るために強くなることを、
疑わなかった。

 

弱さを見せるより、
立っているほうを選んできた。
それが、生き延びる方法だった。
それが、正しいことだと教えられてきた。

 

もしかすると、
それはわたしの本質ではなく、
時代の要請だったのかもしれない。

 

強くあれ。
自立せよ。
倒れるな。

j

そうやって育ったわたしが、
戦いの中にいるあなたを
抱きしめようとしていた。
鎧を着たまま。

 

それでは、触れられるはずがなかった。
あなたを救えなかった。

 

まだ私は、男性が怖い。
わたしが怖れていたのは、
あなたではなかったのかもしれない。

 

あなたの中にある、
決める者の気配だった。
評価する目。
上に立つ声。

 

わたしは、その視線を知っている。
逆らえば、切り捨てられる。
甘えれば、軽んじられる。

 

だから、強くなった。

強いままで、
あなたの寂しさを救おうとした。

 

でも本当は、
救いたかったのは、
あのとき救えなかった
わたし自身だったのかもしれない。

 

わたしは、まだ支配の気配に固まる。

 

でも、すべての男性が怖いわけではない。
強さの中に上下をつくらない人のそばでは、
わたしはふっと力を抜ける。

 

まだ少し警戒はしている。
でも、その警戒は、
守るためのものだと
わたしは知っている。

 

わたしも、まだ震えている。