ユタカ2イキルオテツダイ

ほんの少しずつ、ゆたかになってゆきましょう

掴めない光

夜。
こたつに入って、ひとりでテレビを見ている。

 

天井の灯りは消えている。
こたつの明かりだけが、
丸く、床に落ちている。

 

その輪の外は、暗い。

 

テレビの中で、誰かが大きな声で笑う。
拍手も、軽い。

 

部屋は、しんとしている。

 

光が揺れて、壁をかすめる。
触れたようで、触れていない。

 

こたつの中で、
わたしは自分の手を握っている。

 

少し、強く。

 

テーブルの上に、絵の本がある。
お父さんが買ってきたもの。

 

わたしの絵を、
ほめたことはない。

 

本は閉じたまま、
そこにある。

 

こたつの中はあたたかい。
部屋は、ひやりとしている。

 

テレビの笑い声が、遠のく。

わたしは、暗い壁を見る。

 

目が慣れてくる。

まっ黒ではない。

 

そのとき、
小さな光がある。

 

ほんとうに、小さい。

 

蛍みたいだ。

 

動かない。

追わない。
つかまえない。

 

ただ、そこにいる。

 

部屋は変わらない。
テレビはまだ笑っている。

 

光は、小さい。

 

わたしも、ここにいる。