『スモールマート革命』(マイケル・シューマン、2013)
<以下一部抜粋・要約>
ウォルマートからスモールマートへ
スモールマート革命
アメリカおよび世界中で受け入れられつつある資本主義的な代替案がある。
それは地元オーナーシップ・輸入代替主義である。
地元オーナーシップとは、事業の実施、最適な管理が、地理的に範囲の明確な地域内にある、という意味である。
そして輸入代替主義(LOIS)とは、商品やサービスを地元で生産する方が、費用効率が高い場合は、必ずそうすべきだ、というものだ。
スモールマート国家
もしも、スモールマート革命がLOISビジネスの種を撒き、育て、広げることに成功したら、あなたの生活はどのように変わるだろうか?
経済
はじめに気づくのは、大変多くの近所の人たちが個人経営の事業を行っていて、そしてその多くは自宅でしているということだ。
ほとんど誰もが、地元の企業で働いているので、通勤時間が短くなり、家族と過ごす時間が多くなっている。
すべての企業は、物理的に地元の所有者と深く結びついており、強力な噴出油井のように富を生み出している。
購買
あなたは、苦労して稼いだお金のほとんどを、他に負けない価格のついた地元産の高品質な品物とサービスに使うので、そのお金が地元の中で何度も循環している。
あなたは、近所の農家が育てた果物や野菜、鶏肉を買い、小さなマーケットか生協で買い物をし、地元の人が所有するレストランで食事をする。
車を運転することが減り、地元で作ったバイオ燃料か水素ガスで燃料タンクを満たす。
あなたは持ち家があるか、地元の家主から借家をするか、地元の銀行で住宅ローンを借りている。
あなたの家は地元で入手できる材木で建てられていて、地元で生産した家具を置き、地元産のナイフ・フォーク類、皿、鉢植えなどといった家庭用品で満たされている。
投資
あなたの預金の1部は、地元の銀行か信用組合に預けてあるが、あなたが確信できる唯一の活用法は、このお金を地元で貸すか再投資することだ。
もしも余分なお金を持っているようならば、興味を持っているご近所のビジネスに投資するかもしれない。
あるいは、地元の証券取引所に上場している多数の地元企業の中からどこかの株を買うかもしれない。
起業家精神
自分で事業をしたいと思っている人にとって、これは米国の歴史上、最も胸躍る瞬間だろう。
人々の購買習慣が、前述のように変化したことにより、様々な分野で、地元で生産されたものや地元で提供されるサービスが入り込む余地が開けてきた。
政策決定
ありがたいことに、外部から誘致された企業に対して、地元の何百万ドルものお金を無駄遣いする時代は終わった。
事業開発のために使われていたわずかなお金は、今やスモールマート革命の様々な構成要素、例えば起業家、精神の育成や地場の株式市場などを支援することにレーザー光線のように焦点を当てている。
地域社会
スモールマート革命が動き始めたのは、数年前に、地域社会の主要メンバーが1年間にわたる「構想」の作業に参加することを決めたときだった。
彼らは、地域経済からの金銭の不要な「漏出」を指摘し、これらの漏れ穴をふさぐ可能性のある有望な地場のビジネスチャンスを確認し、消費者や投資家や起業家や政策決定者をそれらの事業を支援するために動員した。
世界
スモール革命は、あなたの身近で始まったが、あなたのコミュニティーや世界中、何千もの、同じようなコミュニティーでは、自分たちの幸せは、各国の各コミュニティーがこれに参加することにかかわっているということに、徐々に気づき始めた。
この革命の手段は、世界的な貿易自体を増加させるのではなく、世界的な自立を増加させることであると、あなたは気づいた。
革命的な貧困削減
本書で何度も指摘した点を繰り返すことになるが、「スモールマート革命は、商品やサービスにさらにお金を使うことではない」ということを改めて強調したい。
スモールマート革命とは、消費者にとっては、慎重に買い物をするということであり、価格と同様に質を重視するということであり、輸送や時間のコストにより敏感になるということであり、そして地元以外の商品を買うことによる地元コミュニティーへの影響を適切に計算することである。
また、競争力のある地元の銀行に預金をし、地元に融資を行うことで、利子や支払いの流れを地元から流出させるのではなく、地元の富を生み出す方向に変えることでもある。
さらに、投資家にとっては、私たちの退職金の運用のために、地元の企業の株を購入したり、地元の年金や投資信託を通したお金の流れを作ることである。
もし貧しい人々を本気で救いたいと思うのであれば、貧しい国々、貧しいコミュニティー、そしてそこに住む貧しい人々が、私たちと同様に自立できるように助けることが最も適当な方法である。
マハトマ・ガンジーは、イギリスに勝利する方法は、布地や塩のような基本的な産品を通して自立を実現することであると主張した。
彼は、インドがイギリスの工場を誘致し、ロンドンへの輸出を拡大するというような提案は決して行わなかった。
私(チキハ)の感想です。
地元の事業を活性化させることが、こんなに私たちの暮らしを豊かにするとは思いませんでした。
大きなショッピングモールや大型スーパーは見ていて楽しいです。
しかし、その大型店を誘致することで、失うものが大きいことにはあまり目を向けてきませんでした。
著者の「安いスニーカー」は、キーワードになっています。
ウォルマートに、安いスニーカーを買いに行くと、必要のない品物を買ってしまうところから話ははじまります。
そして最後は、背中の手術になった後の、医師の言うことです。
「そのスニカー、やめた方がいいですね」
デザインが粗野なために、土踏まずのアーチが支えられない、というのです。
そして著者は、こう言いいます。
地元で作るスニーカーは見つからないだろうけど、地元の店舗で探そうと思う。
私も、そのようなところから、始めてみようと思っています。