短編小説
「それで僕は何をやればいいんです?」いつもは俺と言ってるけどこういう時は僕と言うことにしている。彼女は、目の奥の方で頭脳が 回転している。頭のいい人の目だ。「 失礼ですが」彼女は やや低めの声で 言った。 「 何をしたいんですか」 3秒ほど迷った…
2人は同じような紺色のスーツを着ている。細身でやや背は高い。 Aは 突然言い出した。 「お前のせいで俺の人生は台無しだ」 Bは反射的にこう応えた。 「それはいったい何を意味しているんだい」 「お前がチクったせいで 、あの女 俺から離れて行ったんじゃ…
彼はローカル誌の記者をやっている。 時々、封書が届くことがある 。痴話喧嘩のてんまつや、小さな事件のタレコミだ。 彼はまたそんなことだろうと思って 封を開けた 。クラシカルな 字体だった 。 しかし、その内容は 衝撃的なものだった。 初めまして。 私…
「クソッたれ、やってらんねーよ」 紅茶みたいな色をした 星にスピードを上げて近づいた。 もう方向転換をする余地がなかった。 同じ大きさの星は いくつもあって、 それは色とりどりだった。 もう少し スローだったら 緑や 青の星を選べたのに。 よりによっ…
それは異様な光景だった。 僕は体育館の隅でその様子を眺めている 。 ステージの上では校長が ブルーハーツの「リンダリンダ」を熱唱している。 その次へ。 その次へ 行くはずだったのだろう。 だが、 あまりにも 純粋すぎた。 4 そこまで読むと僕は残りの …
「前回は3月でしたね」 と 美容師は言った 。 「3ヶ月も経ちますか」 ボサボサの頭を 申し訳なく思いながらわたしは言った。 「 1年3ヶ月ですよ」 わたしは言葉を失った。 そんなことがあるのかと思った。 毎日仕事に追われていた。 いつのまにか夫が生活費…