『クラウドファンディング入門』(丸山隆平、2018)
「本書は「フィンテック」の中の一大分野である「クラウドファンディング」について企業数で日本全体の99%を超える中小企業経営者の方々を対象に解説したものである」とあります。
銀行など金融機関の審査に通りにくいものなどでは、直接投資家から資金を調達出来るこのシステムは画期的だと思いました。
初心者である私が見る点は、安全であるか、リターンはあるかということです。
興味のある点だけを抜粋しました。
<以下一部抜粋・要約>
クラウドファンディングの国内市場
クラウドファンディングの国内市場については矢野経済研究所が2017年4月〜6月にかけて調査を行い、公表している。
2016年度の市場規模を累計的に見ると、購入型が約62億円、寄付型が約5億円、投資型が約3億円、貸付型が約672億円、株式型が約0.4億円であった。
最も規模が大きい類型は貸付型で、全体の90.3%を占め、市場拡大に大きく貢献している。
類型クラウドファンディングのリスク
貸付型
出資者が継続的に個人や企業に貸付を行う場合は貸金業登録が必要となるため、個別の借り入れに対応できないという縛りがある。
資金調達者が業績不振に陥り、借入金の返済が滞った場合に、出資者が分配金を受け取ることができなくなることがある。
出資者はサイト運営事業者や企業に対して出資金の返金を求めることができないため、資金調達サイトに掲載されている企業の状況や、リスクについて充分把握する必要がある。
事業投資型
出資者は出資後、直接事業に関与できない。
5〜6年の中期の投資期間のものが多い。
また資金調達者が業績不振に陥った場合、分配金を受け取ることができない。
出資者は資金調達事業者やサイト運営者に対して出資金の返金を求めることもできない。
事前に事業内容やリスクについて十分に認識する必要がある。
株式型
従来はベンチャーキャピタルなどが主体となって行ってきた専門性の高いベンチャー投資を直接個人が行うため、リスクは大きい。
非上場株式であるため、流動性も低く、返済の期日もない。
投資に対するリスク
次に考えるべきは投資に対するリスクだ。
小口投資で気軽に投資できる点は魅力だが、万一出資に対する見返りが予想通り受け取れなくても、特段の救済措置は無い。
このため、出資者はそれぞれの資金調達手段が持つリスクをしっかりと把握した上で、自己責任で出資するという原則を忘れてはならない。
クラウドファンディングの詐欺への対策
寄付型や購入型が多い
資金を募集する起案者による詐欺は、資金を提供しても「商品が届かない」「届いた商品が使い物にならない」など、「寄付型」や「購入型」に多く見られる詐欺だ。
起案者による詐欺への対策としては以下がある。
起案者が信用できるのか「起案者情報」を確認する
自分の目で信頼できる起案者かどうか、「起案者情報」を確認する。
起案者情報はどのプロジェクトにも掲載されている。
実行可能なプロジェクトかどうか見極める
出資する前にそのプロジェクトが実現可能かを見極める。
プロジェクト掲載時に審査があるかどうか確認する。
起案者のプロジェクト掲載時に「審査」がしっかりと行われているか確認する。
運営サービス会社による詐欺への対策
次に運営サービス会社による詐欺への対策には、破綻時の資金返却についてリスク開示や分別管理が行われているか確認することがあげられる。
現在、クラウドファンディングのサービスも種類が多いため、すべてのサービスを自分で判断するという手間がかかる。
その場合は比較サイトやクラウドファンディングのまとめサイトなどを利用するのは有効な手段だ。
ソーシャルレンディング(貸付型クラウドファンディング)比較サイト・クラウドポート
クラウドボート(東京都渋谷区)は貸付型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)の事業者の各ファンドを一括で検索することができる専門メディアを運営している。
ここでは各ソーシャルレンディングの利回りや期間、担保の有無など、投資家の好みに合わせた最適なファンドを見つけることができる。
藤田雄一郎代表は2015年5月15日付の「金融タイムス」で筆者のインタビューに答えてソーシャルレンディングについて次のように語っている。
ーソーシャルレンディングは当初、貸倒がひどかったと聞くが?
当初は個人向け融資が多く、貸倒率が高くなってしまったため、途中から法人向けに方向転換してパフォーマンスが安定した。
ー資金を借りる人の資金用途、借り入れ期間、金額はどのようか?
資金使途は不動産購入、太陽光など再生可能エネルギー開発資金、事業運用資金、つなぎ融資等が多い。
借り入れ期間は半年〜1年程度。
金額は3000万円から1億円程度が多い。
ーソーシャルレンディングの成長が期待されている理由は何か?
高い利回りと、低い貸倒発生件数だ。
当社のWeb掲載企業18社(当時)の平均利回りは2017年2月時点で8.15%、過去の3年間で貸倒発生件数はゼロという結果が出ている。
投資対象としてのクラウドファンディング
利回りを重視
投資対象としてクラウドファンディングを見た場合、対象となるのは、主に貸付型、事業投資型、株式型ーーの3つだ。
どのクラウドファンディングを選択するかは対価の大きさ、つまり利回りの高さが問題になる。
何を重視して選ぶか?
貸付型クラウドファンディング投資を始めるには事業者を選び口座を開設する必要がある。
各投資家はどのような点を重視して投資しているのだろうか?
次に紹介するのは投資家・中田健介氏が14人の投資家を対象にしたアンケート調査の結果だ。
Q1:事業者を選ぶ際に何を重視するか?
代表者・経営陣の経歴を重視するという回答がトップに来ているのは、一般のビジネスと同様で、次に利回りを重視するという回答になっている。
Q2:ファンドを選択する際に何を重視するか?
投資期間が長すぎるファンドは、資金が拘束される期間が長く、リスクも高いと考えられることから、敬遠される傾向にある。
投資テーマについてはどうか?
国内不動産、国内事業性資金、エネルギー、海外不動産、海外事業性資金ーーの順だった。
不動産投資型クラウドファンディング
不動産投資は立地や物件選び、資金繰りなどかなりのノウハウと資金が必要だ。
その点で不動産特化型クラウドファンディングは、数万円からの少額投資が可能で、発売直後に売り切れになるほど、人気が高まっている。
主な不動産投資型クラウドファンディング
主な不動産投資型クラウドファンディングには
オーナーズブック(Owners book)
クラウドリアルテイ(Crowd Realty)
タテルファンディング(TATERU FUNDING)
がある。
いずれも成長著しい事業者であり、マスコミでも多く取り上げられている。
私(チキハ)の感想です。
私は資金を調達する側ではなく、投資する側で見ていました。
どちらにしても、収益の上がる事業の見極めは、学ばなくてはいけないと思いました。
巻末には、主なクラウドファンディングの運営会社・サイトが載っています。
興味のある人は覗いてみたらいかがでしょうか。