『金融は人類に何をもたらしたか』(フランクリン・アレン/グレン・ヤーゴ、2014 藤野直明 監訳、空閑裕美子 訳)
この本のキーワードを簡単に説明しておきます(出どころは、色々)。
金融とは
金銭のやりとりを指すこと
イノベーションとは
物事の「新機軸」「新結合」「新しい切り口」「新しい捉え方」「新しい活用法」(を創造する行為)のこと
資本とは
土地や労働と並ぶ生産要素のひとつ
民主化(民主主義)とは
国民に主権がある政治体制、転じて、ものごとを行う本人に主権があること
皆さん金融ってどんなものだと思いますか。普段あまり考えることってありませんよね。
古代から人々は金融によって、生活などを発展させてきました。
それは科学と似ています。
今までになかった使い方を生み出して人々の暮らしを飛躍的に豊かなものにしてきました。
しかし今では私たちの実生活とかけ離れ、大きな災害(人災)をもたらしていると感じます。
それは科学の進歩によって環境などが壊されたたことと似ています。
この本では金融の歴史から始まり、未来に向けた抱負などが書かれています。
初め政策担当者などに向けて書かれたこともあってとても専門的です。
それを初心者が読めるようにわかりやすく書かれています(初心者のレベルが)。
詳しく知りたい方は本書をご覧くださいね(すご腕か)。
<以下一部抜粋・要約>
資本の民主化は経済成長を促進する
米国では、20世紀最初の70年間、雇用、利益、マーケットシェアを確実に支配していたのは各業界の最大手企業であった。
この権力の集中が、数多くの産業で寡占状態を引き起こし、健全な競争を阻害した。
しかし、1974年の信用収縮と市場崩壊から、数々の金融イノベーションが出現した。
これらの金融イノベーションは、本書に整理された多くの実践と原則を取り入れ、起業家たちに新しい資本供給チャネルを開き、新しい事業、新しい技術、新しい産業を着実に成長へと導いた。
この結果、高度な技術が主導する知識型経済が台頭した。
資本アクセスの拡大は、このように新産業の台頭などの構造変化を引き起こす効果がある。
新興企業が必要な資金を得て成長し、既存の企業に挑戦することによる健全な競争とイノベーションによって、米国経済は活力と多様性を得た。
資金に貸し手が、マイノリティーの排斥を止め、都心のスラムに対する融資や保険契約の差し止めをやめたとき、米国の民主主義はさらに強くなった。
同様に、開発途上国は、グローバル経済で参加することによって貧困を解消し始めるはずである。
<監訳者解説から以下一部抜粋・要約>
経済学と金融工学
本書でも、類書と同じく経済学における資本構成の理論として、モディリアニ・ミラーの理論(MM理論)を基礎とした議論が展開されている。
MM理論は、「経済学が前提とする完全な市場の下では、資本構成は企業収益に影響しないこと」、つまり「完全な市場を前提とすると金融イノベーションには価値がないこと」を明らかにした。
「逆に、MM理論の前提条件が現実には満たされていないからこそ、現実の市場を補完するために金融イノベーションが不可欠だ」という理論である。
金融イノベーションの位置づけ
筆者にとって、本書の「金融イノベーション論の経済学における位置づけ」の説明は、物理学とのアナロジーで考えると非常にわかりやすかった。
理系の方には常識である摂動論の考え方である。
つまり、現実の第一近似としてMM理論があり、「金融イノベーションはその摂動(第一近似からの乖離)を議論している」という考え方である。
私(チキハ)の感想です。
もう、いいですよね。
雰囲気伝わりましたよね。
アタシは脳みそが筋肉痛です。とりあえず、ボールは拾ったので、あとは宜しくお願いします。
と言うわけにもいかないので、少し話しますが。
金融イノベーションが、人類を進歩させる手段であることがわかりました。
銀行に口座を持たない開発途上国の人たちがスマホで決済をしている話など聞いたことがあります。
これからも、金融イノベーションは、続いて行きます。