ユタカ2イキルオテツダイ

ほんの少しずつ、ゆたかになってゆきましょう

わたしはウグイス

わたしはウグイス

夜明けを待って彼女の元へ

みすぼらしい団地の

木立の枝にとまって

私の歌は

誰もまねできない

空気は澄み、音は響く

わたしが息を吸い込むと

胸は誇らしくふくらみ身体に息がめぐる

わたしは震えるよう

その全身から全霊でもって

歌をうたう

一度目

彼女はベランダに出て

二度目

わたしを探す

三度目

彼女は全身でわたしの歌を聴いて

空気の壁に音でつながる二人

この時のためだけにわたしはウグイスになる