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ほんの少しずつ、ゆたかになってゆきましょう

ワシントンの知日派ばかりに頼りすぎていないか

『[詳解] イスラム金融 』(前田匡史、2008)

ほぼ、自分の興味だけを持って生きてきた 私 にとって 、ここに書かれているような事は考えたこともありませんでした。

著者は 現職、「国際協力銀行」 とあったので 検索してみました。

 

株式会社 国際協力銀行は 日本政府が 全株式を保有する 政策金融機関です。

ミッション

  • 日本にとって重要な資源の 海外における取得及び促進
  • 日本の産業の国際競争力 の維持及び向上
  • 地球温暖化の防止等の地球環境の保全を目的とする海外における事業の 促進
  • 国際金融秩序の混乱の防止またはその被害への対処 

著者の原点となった2つの メッセージを 載せたいと思います。

〈以下一部要約・抜粋〉

 

「君はすでに ワシントンで 共和・民主両党の政策決定者や 連邦議会の有力議員 、スタッフたち、シンクタンクの専門家の多くの知己を得、 ワシントンの意思決定メカニズムに精通している 。

君は、 日本がワシントンにおける 知日派に どれほど頼っているのかも判っているはずだ。

確かに小泉首相と ブッシュ大統領の信頼関係はかつてないほど 強固であり、 日本の貢献は湾岸戦争の時とは比較にならないほど良くなった 。

しかし 、日本は米国だけを見て政策決定してはならない。

 アジアにおいて 、台頭する中国とどのような関係を築いていくのか、 ASEAN の国々に対して 、どのようなリーダーシップを果たしていくのか 。

それらの視点がなければ、 真の意味で 日米関係は成熟した関係にならない 。

アジアの安定のために 、何ができるか。

 アジア全体を 鳥瞰した広い視野が大事だ。

日本は偉大な国だが 、視野が狭く 内向きの議論になりがちだ った。

日本はワシントンばかりを見すぎていないか 。

そしてワシントンの知日派ばかりに頼りすぎていないか 。

東京に戻ったら 、このことをよく考えて活躍してほしい」。

 

「 小泉総理とブッシュ大統領の関係は極めてよく 、アフガニスタン戦争やイラク戦争において、 日本が行った国際貢献を高く評価する 。

日米関係はかつてないほど強固になった。

 しかし、日本が米国の同盟国として 、アジアにおいて今後どのような役割を果たしていくのかは未知数だ。

北東アジアでは 拮抗する二つの地域大陸が 両立したことは歴史上なかった 。

日清戦争までは中国が 、日清戦争以降は第二次世界対戦をはさんで日本が覇権国家であったと言えるだろう 。

しかし 、今や中国と日本という拮抗するに大国が 北東アジアに出現した 。

これは北東アジアの歴史上初めてのことである 。

これから、日本が北東アジアにおける米国のパートナーとして、 どのような積極的な役割を演じることができるのかが問われている。

その際に日本が目を向けなければならない地域は 北東アジアや極東という狭い地域に限られるべきではない。

 カスピ海の原油を国際市場に安定供給するための BTC パイプラインプロジェクトは 日本と米国の国益が一致する 戦略的プロジェクトの典型例だ。

 このような戦略的プロジェクトを極東の枠を超えて 日米で協力して進めてもらいたい 。

それから、自分は OSCE型の多国間の枠組みには必ずしも賛成ではない。

 小国が 多数参加する欧州の状況と 北東アジアの状況は同一には論じられない 。

北東アジアの場合は 、日米同盟を基軸にして 安定化の枠組みを模索していくべきである 。

その際に、 日本はアジア全体を鳥瞰して、 どのような指導的な役割を果たしていけるかを模索してもらいたい」。

 

私(チキハ)の感想です。

現在、とくにアメリカの政治などで 行われた悪事のばくろがあって、素直になりにくいですが、

私たちが意識として取り込める内容は書かれていたと 思いました。

台湾や韓国、北朝鮮、中国の情報は 入ってきますが、その他アジアなどの 情報が入ってくることはほとんどありませんし、興味も薄いです。

その国々の多くは、「中国は嫌だけれどもアメリカのほうがもっと嫌 」と思っていると聞きます。

日本はその国々とアメリカとの間に入ることができる。

中国の脅威にさらされている小国といわれるアジアの国にとっても、日本は大きい存在であるようです。

世界は私が思っていたより泥臭いようです。

そんな中で国際協力銀行のミッションと、それにたずさわって真面目に仕事をしている日本人がいるのだろうと思いました。

詳解イスラム金融―世界を動かすダイナミズム

詳解イスラム金融―世界を動かすダイナミズム

  • 作者:前田 匡史
  • 発売日: 2008/03/01
  • メディア: 単行本