ユタカ2イキルオテツダイ

ほんの少しずつ、ゆたかになってゆきましょう

平等・非効率の社会になる

『資本主義は嫌いですか』( 竹森俊平、2008)

アメリカと中国の貿易戦争は勝者なし、と聞きますね。

国際資本取引について、世界がより「自給自足」に近づくべき、とあります。

 

「国際資本取引」で検索すると以下がはじめに出てきました。

 

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

国際間の経済的取引のうち,有価証券の売買,資本の貸借その他債権・債務に関係する取引をさす。 ... 日本が一大資本大国・資本輸出国となるにつれて,日本からの資本の流れが世界の金融市場に影響を及ぼすようになり,資本取引の動向が注目されるにいたっている。

 

はからずも、日本の金持ちのほどが分かってしまい、何を書きたいのか分からなくなってしましました。

食料の自給率は低い日本ですが、資本の自給率は高そうです。

(*は私です)。

<以下一部抜粋・要約>

 

成長率引き下げがすべての問題を解決するか

明確に表明したことはないが、 おそらく彼は二つのことを頭に描いている。

一つは アメリカの巨大な経常収支赤字や 、中国の巨大な経常収支黒字に 象徴される国際貸借関係、 つまり「グローバル・インバランス」 が今後は縮小に向かわざるを得ないということである。

これはもちろん、 海外からの資本輸入に依存しているアメリカが、 資本輸入への依存に歯止めをかけるというだけではなく、

 海外からの資本輸出を 成長戦略の 梃子としている中国が、 資本輸出に歯止めをかけるということを意味する。

つまりこれは、 国際資本取引について、 世界経済がより「自給自足」に近づくべきだという考え方である。

 

これまで、ほとんどの国際経済学者は、 資本市場の一層の開放や、 国際資本取引の拡大を、

 競争を促し 経済を効率化するための 望ましい改革として推奨する傾向があったが、 今や彼のような第1級の 国際経済学者にして、

 それとは異なった立場を選ぶようになったのは、

 この分野に 重大な思想的変化が 起こっていることをうかがわせる。

 

しかし、内需依存型の経済運営ということの他に 、

ロゴフは「グローバル・インバランス」を解消する方法として、

 もう一つの「落としどころ」を考えていると筆者には思える。

 つまり 世界経済全体の成長率を、 現在よりも引き下げることである。

 簡単なようだが、実はこれによって、 現在世界が抱えている「矛盾」のほとんどが一気に解決する。

 

世界経済 、とくに新興国の経済成長率を引き下げることは、「 新興国において投資対象が不足する」という、カバレロの提起した問題の解決にも効果がある。

 なぜなら 投資対象が不足するということは、「投資対象への需要」が投「資対象の供給」を上回っている状態を示すに他ならないのだが、

 後で詳しく見るように 、新興国における「投資対象への需要」を 増加させる要因は、何よりも経済成長である。

 経済成長の成果を全部消費するのを嫌って 、新興国はその成果を「投資対象」に転換しようとするのである 。

(※ 新興国は稼いだお金を使わないで投資する)。

それゆえ、 新興国の経済成長に見合って 「投資対象への需要」が 「投資対象の供給」を上回って増加する 。

(※欲しがる人が多くて売るものが足りない状況)。

不均衡を解消しようとするなら そのための最も確実な手段は 新興国の成長率を低下させることになる 。

それによって投資対象への需要の伸びが抑制され 投資対象の供給とのバランスが回復するからである。

 

新興国に投資対象を作るべきだが

 

ロゴフが2003年の論文で「予言」したとおり 、アメリカの住宅バブルは崩壊した 。

それとともにアメリカの家計は消費に急ブレーキをかけ、債務の縮小に動いてる。

 アメリカ経済全体の対外債務も、 今後は縮小に向かわずにはいないだろう。

 その過程で 、当然のことながら 、アメリカ経済は失速し、成長率の低下を経験する。

 しかし、この時 、成長率の低下を経験するのは 、おそらくアメリカだけではない 。

問題は、アメリカ経済の失速を受けて、 アジアの新興国や 、ロシアのような石油産出国が どのような対応をとるかである。

 アメリカの消費に支えられたが中心の経済成長が もはや望めない以上 、これらの国はもし経済成長の持続を望むならば、

 内需を刺激して 、内需中心の経済成長に路線を転換しなければならない。

 

もちろん 、それも一つの選択肢である。 しかし 、もし何らかの理由で内需中心の経済成長への路線転換が難しいというなら、 その時は新興国も石油産出国も、 成長率の低下を覚悟しなければならない。

 そうなった時は 、アメリカと新興国の需要によって成長してきた日本も 成長率の低下を経験するし 、

ヨーロッパだって一人だけ成長を維持することは難しいだろう。

 したがって、経済成長率はグローバルに低下する 。

しかも、1年や2年の成長率低下ではなくて、より長期にわたるものだろう。

 

私(チキハ)の感想です。

私達の生活も自給自足に近くなると言っている人がいました。

それを聞いた時は突拍子もない話だと思っていたのですが。

この分野における 解放、拡大、競争や効率の思想の変化、と書いてあります。

その流れからすると、閉鎖、縮小、平等、非効率になります。

そうなるなら、

自給自足もあるのかも知れないな、と思うようになりました。