『これからを稼ごう』(堀江貴文、2018)
中央集権型ではなくて分散で、国家ではなくてパーソナルな、ブロックチェーンの概念が、経済を、通貨を変えていく。
本書は、そのことを伝えています。
本書の中で紹介していた経済学者のハイエクの言葉「国家ではない主体が発行する通貨が流通する方が、通貨はお互いに安定する」。
著者は、この論を支持すると書いています。
<以下一部抜粋・要約>
トークンエコノミーの中で
シェアリング2.0時代
一般的には2008年からスタートした「Airbnb」が、シェアリングエコノミーの嚆矢とされている。
シェアリングエコノミーとは、個人が保有する遊休資産(スキルなど無形のものも含む)の貸し出しを仲介するサービスだ。
貸主は有給資産の活用によって収入を得られ、借主は自分で不動産等を所有することなく、誰かの遊休資産を利用できる。
遊んでいる資産を不特定多数の人たちが分け合って使い、資産主と利用者の双方に利益があるシステムだ。
シェアリングエコノミー=共有経済と言われる所以だ。
シェアリングエコノミーは、分散している状態でネットワーク化した社会でのビジネスの成功例の典型だ。
国から独立した経済圏
そんなシェアリングエコノミーをさらに発展させたのが、トークンエコノミーである。
サービスを提供したい側が、貨幣の代わりにトークンを発行し、それをユーザが購入することによってトークンに価値が生まれる=上がる。
この価値のついたトークンを通貨に見立て、取引を行うことで、トークンエコノミーが成り立つ。
トークンエコノミーと、既存のビジネスモデルの大きな違いは、経済圏がネットワーク内で完結していることだ。
これまでのビジネスモデルでは、国家が円やドルなどの法定通貨を発行して、企業や個人はその通貨でプレイヤーとして、ビジネスや生活を行ってきた。
この枠組みの中では通貨発行者と、生産者と消費者は厳密に区別されている。
一方、トークンエコノミーでは、国家ではなく特定のネットワーク内で流通する独自の通貨を、生産者が発行する。
そこで発行されたトークンをもとに、国から独立した経済圏を作り出せる。
経済圏内の通貨となるトークンも、独自のルールで流通させる。
そのルールは企業や個人や組織が自発的に考えて、自由に設定できる。
国家が担当してきた経済運営の縮小版を、トークンを用いて手軽にできるのが、トークンエコノミーの大まかな構造だ。
手離れの良いお金が経済を回す
日本発のビジネスで、今、最もシェアリングエコノミーやトークンエコノミーに近いところにあるのが、第4章でも言及したメルカリだろう。
メルカリが爆発的に流行った背景には、「インスタ映え」の影響が大きい。
お金のある人はZOZOTOWNで洋服を買って、インスタに写真を上げた後、メルカリに流すという行動に出る。
お金がない人は、メルカリに流れた服を買って、やっぱりインスタに上げて、再びメルカリに流す。
これは、結果的にシェア経済ということだ。
投資と消費の差がなくなり、凄まじい勢いでリセールマーケットが拡大していく。
そして、メルカリは個人が「不用品」を売ることで、「ポイント」を得ることができる。
手に入れたポイントは、日本円にも交換できるが、そのままでもメルカリ内に売られている、膨大なものと交換できる。
ここがとても重要で、このポイントとは、もともといらないものを売ってできた「あぶく銭」なのだ。
自分にとってこれまで価値がないと思っていたものに価値がついた。
これがキャッシュに変換して使えるということは、ユーザにとって「手離れが良いお金」を生み出したということになる。
現在、英語圏のオンライン決済インフラを握るのはペイパルだが、なぜペイパルが伸びたのかといえば、世界最大のオークションサイトであるeBayに2002年に買収されたからだ。
なぜ日本でペイパルが流行らなかったかといえば、eBayが流行らなかったからだ。
本来ならばペイパル的なモバイル決済サービスは、ヤフージャパンがやるべきだっただろう。
今ならばメルカリだ。
1番うまくいく可能性がある。
膨大なユーザを抱えた、日本円以外の経済圏が、すでにそこに回っているのだ。
カジュアルな通貨発行
トークンは一般市場に流通させることも可能なので、今まで価値のつきにくかった曖昧なアイディアやプランも、トークンにして価値をつけることもできる。
評価経済社会の基盤の考え方を応用した、パーソナルな経済圏の構築実験。
それがトークンエコノミーだ。
トークンエコノミーでは、カジュアルに「通貨」が発行できる。
先に述べたように通貨というか、株券、トレーディングカードに近いものだ。
頭に描いた夢の通りに、使い道や運用方法を創出できる経済圏は、もうテクノロジーの力で実現できる。
お金を得て君は何をするか
辛いことはAIに躊躇なくまかせ、自分の時間を生きよう。
そういう人は、お金ではない「評価」を高められる。
それがひいては、「信用」となるのだ。
社会は今、急速に「評価経済社会」に舵を切っている。
お金にできない評価を多く集めた人が残っていく。
お金より、信用稼ぎだ。
とにかく、信用の概念をみんなで共有できれば、別に通貨に頼る必要がないよね?ということを、僕は伝えたい。
今のところ仮想通貨やトークンエコノミーが、信用の共有の実践に便利だということだ。
お金持ちになんて、ならなくていい。
世の人たちにとって、「堀江貴文は信用できるね、何か価値があるよね」と思ってもらえたら充分。
私(チキハ)の感想です。
メルカリを使ったことないんですよね。
それは、人の使ったものに対してのリスクを考えるからです。
目利きでないし、面倒を避けたい気持ちがあります。
それは、使わない者の先入観でしょうか。
シェアリングエコノミーに抵抗ない人たちは、お互いにマナーを守る、ということと、システムが上手く出来ている、ということで、利用するのでしょうね。
古い人たちより、新しい人たちの方が色々な面でマナーがいい、と思います。
それに、ものに対する執着や、所有欲も薄いのでしょうね。
ものがあふれた日本の中で育ったのですから、分かる気がします。
トークンエコノミーでは、その経済圏内で、使える通貨を、発行出来ます。
資本主義では評価されなかったものや、ことを、お金に変えることができます。
さて、なにをお金に変えましょう。
は、はい?
その一番ムツカシイところを考えて、責を取るということを、受け入れていけるようになれば、その先には、お金の無い世界が、あるのかもしれませんね。