『いまさら聞けないビットコインとブロックチェーン』(大塚雄介、2017)
<以下一部抜粋・要約>
センターマーケットがないナスダック方式
取引所と名前がついていますが、ビットコインには、「東京証券取引所」「ニューヨーク証券取引所」のようなリアルなセンターマーケットはありません。
証券会社にあたる「ビットコイン取引所」同士のネットワークを通じて、ビットコイン価格がリアルタイムで決まっていきます。
ただ、実際には、ビットコイン売買の8.9割を握るとされる中国市場の影響が圧倒的です。
中国最大、ということは世界最大のビットコイン取引所である「Huobi 」や「OKコイン」などにおける人民元とビットコインの取引レートの推移を先行指標として、国内のビットコイン価格が決まっていきます。
ビットコイン価格はどうやって決まるの?
各国の規制やルール作りの影響
ビットコインは特定の国のコントロールを受けないグローバルな通貨ですが、世界中で流通するためには、当然のことながら、各国のルールが適用されます。
ビットコインを通貨として認めるか、税金はどうするのか、取引に何らかの制限を設けるかなど、ビットコインの取り扱いは国ごとに違うので、新しいローカルルールが発表されると、ビットコイン価格は影響を受けます。
開発者コミュニティーの動向
ビットコインを支えるブロックチェーン技術はまだ発展途上で、試行錯誤を続けている最中なので、システム上の欠陥が見つかれば、技術的なブレイクスルーも見つかります。
決して「枯れた技術」ではないので、新たな技術上の課題が見つかったり、それに対する解決策が決まったりすると、マーケットは敏感に反応します。
ビットコインの関係者がおよそ四半期に1度のペースで集まるビットコイン・カンファレンスでは、運営上のルール作りや、テクノロジーの動向について議論が交わされていますが、そうしたニュースも価格の変動要因になりえます。
あるいは、2つの流派に分かれて技術的な論争が起きたときに、有名な取引所が「こちらを支持する」と態度を表明すると、それによって価格が動くというケースもあります。
ビットコイン開発の中心にいるコア・デベロッパーと呼ばれる人たちの中には、ビットコインのマイニングも流通も中国に偏っている現状に警鐘を鳴らし、「ビットコインはもう終わった」などとブログに書く人もいます。
影響力のある人の発言なだけに、それによってビットコイン価格が急落したこともありました。
ビットコインに関しては、どこかの国の中央銀行総裁の発言よりも、開発者のアナウンス効果の方が大きいかもしれません。
取引所がハッキングされる
もう一つは、事件・事故の影響です。
有事の仮想通貨買い
続いて、いわゆるマクロ経済の影響です。
2013年のキプロスや、2015年のギリシャのように、国の財政が破綻し、デフォルトの危機が現実化すると、現地通貨の価格が暴落するので、自分の資産を守りたい人たちがビットコインを買いに走ったりするのです。
オリンピックイヤーに訪れる半減期
半分になるのは、ビットコインの承認作業に対する報酬です。
すでに説明したように、ビットコインは、10分ごとに繰り広げられる「承認レース(マイニング戦争)」ですべての取引が承認されることで信用を担保しています。
レースの勝者だけが報酬を独り占めにできるので、レースに参加するマイナーたちは承認レースにのめり込むのです。
その報酬が、2016年7月に、従来の「25 BTC」から半分の「12.5 BTC」に減らされました。
何故かというと、コンピューターの処理能力は年々向上するので、複雑な計算を解くマイニングにかかるコストは、それに応じて減っていくと考えられるからです。
このように、ビットコイン価格の変動には、様々な要因が絡み合っています。
ビットコインを使うメリットは?
送金手段として
ビットコインの得意分野は、海外送金。
日本から銀行経由で外国に送金すると、いちいち確認が必要なので手間も時間もかかるうえ、手数料もかなり取られます。
間にビットコインをかませるだけで、手数料が劇的に安くなります。
ビットコインで買い物ができるって本当なの?
ビットコインの支払いは、「ウォレット」と呼ばれる専用アプリを通じておこないます。
お店でビットコインアドレスのQRコードを発行してもらい、それをスマホで読み取って利用代金を送金すればokです。
財布を持たず、現金やカード類が手元になくても、スマホさえ持っていれば、その場で支払いが完了します。
仮想通貨にはどんな種類があるの?
ビットコインとその他の仮想通貨の関係
デジタルの世界は「照射総取り」の法則が働いて、シェアトップのサービスしか生き残れないとされてきましたが、ブロックチェーンについては用途別の仮想通貨が横並びに普及して、全体をつなぐのがビットコインという感じになるかもしれません。
ブロックチェーンはまだ成長段階の技術
ブロックチェーン技術も試行錯誤を重ねている段階ですが、まだまだ生まれて間もないので、どうしても自分たちでは気づかなかったことが起きたりします。
いくら開発者が天才だからといっても、テストしきれていない部分があるのは当然で、そこは年月が解決してくれるでしょう。
フィンテックって一体何なの?
ここまでビットコインを始めとするブロックチェーンについて、様々な角度から説明をしてきました。
国という枠組みを超えたラディカルな民主主義を実現するブロックチェーンに対する世間の注目度は高く、フィンテックの中で1大潮流をなしていくことは間違いないでしょう。
私(チキハ)の感想です。
デジタルマネーが、主流になっていくのは間違いないようですが、ブロックチェーンは、まだまだ「枯れた技術」になっていない分、通貨として持つにはリスクは高そうだと思います。
多くの仮想通貨が出てきていますが、普及しているのは、ビットコインだけです。
人工的に作った通貨は、人々がその通貨を使うかどうかは、予測できないようです。
2023年現在、世界で取引できる暗号通貨は15000種類です。
こちらは2022年の記事です。
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