『メタバースがGAFA帝国の世界支配を破壊する』(深田萌絵、2022
)
<以下一部部抜粋・要約>
中央集権から非中央集権へ
いまGAFAに支配されているインターネットを自由にしよう、Web3.0で自由にしようというエンジニアが立ち上がりつつあり、複雑な戦いが始まろうとしている。
中央集権型となると、ブロックチェーン技術に依存するが、ブロックチェーンの処理には、大量の半導体が必要となる。
そして、半導体製造を支配しているのは浙江財閥である。
Web3.0とメタバース
ここで見逃してはいけないのが、米保守派が求めるWeb3.0と中国の習近平派やリベラルが推し進めるWeb3.0が同床異夢である点だ。
中国主導のメタバースが始まればGAFAですら民主主義的に感じる時代に突入する。
複数存在するインターネットの入り口を1つに集約することに中国が成功すれば、もう中国がGAFAを優遇する理由はなくなる。
中国が直接ユーザデータを収集して、ネットにつながるすべての人を監視することができる。
GAFAの次はメタバースの時代
既存のインターネットは、単純な「双方向」型のコミュニケーションだが、「相互作用可能」なコミュニケーションへと変わっていく。
アマゾンショッピングモールへアバターで買い物に行き、欲しいものは他のアバターのレビューを聴きながら買い物をすることになる。
そして、メタバースが台頭する1番のエンジンは、仮想空間内での決済に用いられるデジタル通貨と、それを獲得するための「ビジネス」ができるということだ。
メタバースに参加し、仮想空間内でアーティストとして暗号資産であるNFTを販売し、デジタル通貨を獲得していくことが可能となる。
そのデジタル通貨は、メタバースユーザ数が増えるに従って価値が高まっていく。そうすると、早期にメタバース空間内でゼロから生み出すデジタル資産を販売して、デジタル通貨を稼げば、メタバース拡大とともに、通貨価値が上がるので、一大資産を築くチャンスがある。
メタバース内でデジタル通貨を稼ぎ、メタバース内のアマゾンやグッチで買い物をすれば、現実世界の自宅に商品が届く。
それだけでなく、貯金したデジタル通貨の価値が上昇すれば、普通の主婦やOLでも、すきま時間にメタバースで億の資産を築くことができる。
残された課題
メタバース実現に向けての課題は、3次元映像技術である。
その最大の壁は、ホログラム技術である。
次に重要なのがブロックチェーンだ。
一番技術的に未熟な分野は、ビジュアライゼーション分野の3次元化、3次元表現映像技術だ。
もう一つは通信である。
そういう点を考えると、イーロン・マスクが指摘する通りであり、まだまだ技術が追いついていない。
この技術課題に対するソリューションを持つ人間が、メタバースを支配すると言われている。
GAFAとエネルギー問題
仮に、メタバースというIT革命のトレンドに乗る技術を持っているのがGAFAではなく、別の企業であればどうなるか。
そうすればGAFAは崩れることになる可能性が高い。
私(チキハ)の感想です。
あとがきに「言論の自由は、技術の闘い」とあります。
熱い思いが語られています。
私たちはいま、インターネットの便利さや面白さを受け取っています。
メタバースになったらそうとう面白いな、というのが印象です。
息子が、ネット内で知り合った人とアプリコンテストに出てる(リアルで会ったことはない)のを聞いていると羨ましくなります。
小学生のときからゲーム内で知らない人たちとチャットに親しんでいましたけど、彼はメタバースにもすんなり適応しそうです。
GAFAの独占や、メタバースを推し進めている勢力の異なった二つの思想は、私たち一般の人には見えにくい一面です。
著者は、技術者に起業家精神の必要性を語ります。
そして、社会主義的な思想に利用しようとする勢力に気づいた人たちが、戦いが繰り広げているのを知ると、楽しいばかりではいけないと思います。
メタバースのそういった側面を、注意して見て行きたいと思います。