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世界を動かした「偽書」の歴史

『世界を動かした「偽書」の歴史』(中川右介、2018)

あまりにもスケールが大きすぎ、日本中心すぎの「古史古伝」には、思わずニヤニヤしてしまいます。

<以下1部抜粋・要約>

 

偽書の宝庫「古史古伝」

普通の日本史の教科書では、縄文時代・弥生時代から始まり、邪馬台国の話があって、ヤマト朝廷への成立へ……と話は流れていく。

ヤマト朝廷よりも、もっと前に、日本には現在よりもすごい科学文明が発達しており、世界を支配していたのだという。

そういう超古代の日本史が記録されている文章がたくさんあり、「古史古伝」という1つのジャンルを築いている。

もちろん、フェイク・ヒストリーだが、フィクションとしての歴史小説とはスケールが違う。

同じ話をもとにしながらも、様々な文書が日本各地でいくつも発見されている。

正しい歴史書とされるのは、『日本書紀』と『古事記』しかないので、もしかしたら超古代を描く偽書の方が真実を語っているのでは、と思えてしまうほどだ。

特徴は、日本の歴史が最高という自尊心である。

だから、他の地域の古代文明よりも、前から日本には文明が栄えていたことになる。

現在の皇室との距離も微妙で、そこがその時代の権力者にとって弾圧される理由にもなる。

 

竹内文献

偽書の中でも最もスケールが大きいのが、『竹内文献』。

何しろ、日本人に限らず、全人類は天皇の子孫だというのだから、すさまじい。

さらに、宮中を巻き込む現実の大事件にも発展した人騒がせ度でも、ずば抜けている。

『竹内文献』は竹内巨麿が公開したことからこう呼ばれる。

超古代、歴代の天皇は天の浮き舟に乗って全世界をまわりながら世界を統治していたなど、日本なくして人類史はあり得なかったという壮大なスケールの歴史である。

竹内巨麿はヤマト王権初期に大臣として天皇を補佐していた竹内宿禰の子孫と称している。

その竹内宿禰の孫の平群真鳥が、雄略天皇の勅命で、天皇家に伝わっていた神代文字で書かれた文献を漢字仮名交じり文に訳したものが、竹内家によって護られてきたという。

 

知られざる人類の歴史

竹内文献が明かす、知られざる人類の歴史によると、神武天皇に始まり現在に至る天皇家は「神倭朝」と呼ばれ、そのはるか前から天皇家は続いていたらしい。

最初に「天神7代」の時代があり、その次が、「上古25代」で、この上古初代天皇が在位していたのは、紀元前3175億年だという。

ビッグバンは138億年前とされているのでそれよりも前から、天皇家は存在したのだ。

上古2代目の天皇の時代16人の妹弟たちが全世界に散らばった。

その名は「ヨハネスブルク」「ボストン」「ニューヨーク」などで、これが地名として残ったのだ。

「上古25代」の天皇の次に、「不合朝72代」があり、神武天皇はその73代目だという。

この「不合朝」は、別名「ウガヤ朝」ともいう。

これだけでも驚くべきことだが、驚愕の事実はさらに続く。

「モーゼの十戒は、日本の天皇が授けたものだ」とか、「釈迦も孔子もマホメットもみんな日本で修行した」とか、とにかく、世界史を塗りかえてしまうのだ。

超古代の天皇は、飛行船のようなもの(天空浮遊という)に乗って、世界中をまわっていたともいう。

ピラミッドは、天皇の神殿だった。

ある時期、日本にもピラミッドがあったという説が大流行し、「これがピラミッドだ」とされる山が日本各地に登場したが、そのベースとなるのも、『竹内文献』の記述である。

天皇が、天空浮遊を持っていた証拠となるのが、日本各地の地名。

「羽」とか「羽根」とつく地名は、いずれも古代の空港だったところなのだ。

天空冬は、宇宙空間にも飛び出、古代の日本人は、宇宙人と交流していたというから、驚きではないか。

キリストが日本で死に、その墓が青森県にあるという説も、『竹内文献』の記述から出た説だ。

なんでも、十字架に磔になったのはキリストの弟イスキリで、キリスト本人は日本に逃れて天寿をまっとうした。

その墓が青森県の戸来にある。

この「戸来」は、「ヘブライ」がなまったものだという。

こんな具合に、『竹内文献』は、日本史はもちろん、世界史、というよりも、地球の歴史、あるいは宇宙の歴史まで解き明かしてくれるのだ。

およそ科学的ではないし、考古学や歴史学から大きく逸脱し、幻想小説に近いといってもいいほどだ。

しかし、これを真面目に信じる人々がいた。

 

この衝撃の歴史を記した文書が「公開」されたのは、1929年のことだ。

後に天津教という宗教の教祖となる竹内巨麿によってである。

 

「ウガヤ朝」とは?

『竹内文献』だけでなく、この後に紹介する『富士宮下文献』、『上記』、『九鬼文書』などに共通するのが、神武天皇以前に日本にあったとされる「ウガヤ朝」である。

 

私(チキハ)の感想です。

この本の著者は、中学生時代にこの手の話を大真面目に信じて、同級生たちと真剣に話していた。

その話題はこのようなものだ。

世界各地の古代遺跡は、太古の時代に異星人が地球を訪れたときのもので、人類は「彼ら」によって作られたもの。

UFOやムー大陸。

地球空洞説。

ノストラダムスの大予言。

そしてこのように書いている。

昭和30年代生まれは、偽書に育てられた世代なのだ。

「ないと証明できない限りは、ある可能性がある」という考え方が刷り込まれている。

 

私は最近、マドモアゼル・愛さんの動画で土橋医学博士の講演を聴いた。

「ここ200年くらいの医学、科学、哲学は全て(権威を与えられたもの)嘘じゃないかと思っている

といった衝撃的な話をしていて、頭の中の霧がスーッと晴れるような爽快感を味わった。

ナポレオンの裏で資金提供など支援していた存在が勝ったことで、変わったのだとか。

そのことはさておき、真実は権力者によって書き換えられていない書物にあると考えると、権力者の言うフェイク本は……

まだまだ学びの旅は続きます。