『銀行員の正体』(別冊宝島、 2013)
私がかねてから知りたかったことがあります。それは「日本の国債が売られると、金利が急上昇し
利払ができなくなるのではないか。デフォルトになるのではないか」という日本の経済をゆるがすようなできごとについてです。
結論から言うと、 「どうやら、大丈夫なんじゃない」です。その根拠となりそうなことが、この本に載っていました。<以下一部抜粋>
<「金融検査」で銀行を脅かす監督官庁の真の目的とは>
【財務省・金融庁と銀行 】
2012年における日本の借金の大きさは国内総生産(GDP) 比で224.3 %。国の借金額の上限設定をめぐり、
議会がしょっちゅう大もめをしている米国(813%)の2倍にも達する。 理屈の上では国が借金まみれになれば国際的な信用を失い、
国の借金の証文である国債の価格が暴落して、新たな借り入れはもちろん、借り換えをするのも難しくなる。
しかし日本の場合、今に至るも国際価格は暴落しておらず、政府は順調に資金調達している。なぜか。
最大の理由は日本が国際社会から「増税などよって借金を減らす余地がある」と信じられているからだろう。
そして同時に、新規に発行される国債をスムーズに消化するための 制度的な「安全装置」が、 有効に機能しているからでもある 。
かつて日本においては長期金利の指標ともよる10年債の募集については 金融機関などで構成するシンジケート団が全額購入を約束していた 。
さらに、国は2004年から安定した新発債の消化を目的にそれまでのシンジケート団方式に代わる「国際市場特別参加者制度」をスタートさせた。
これは一定の条件を満たした大口投資家を国が特別参加者として指定し、彼らと対話を行いながら国債の発行額を決めるというものだ 。
そうすることで国は金融機関が確実に落札できる規模と金利水準で国債を発行することができ、
市場側としても、決算や財務負担にならない形で国債を引き受けられるというわけだ。
このように
日本の財政は世界でも稀に見る強固な体系でコントロールされてきた 。その象徴とも言えたのが
かつて旧大蔵省「4階」と総称されていた業界監督部門、すなわち銀行局、証券局、保険部の3つの部局である。
金融に製造業や他のサービス業と比べてどこか特殊なところがあるにしても、産業の1部門であることに変わりはない。
現に会員に対して一種の与信を行っているクレジットカード業界は、経済産業省が所管している 。
では一体なぜ銀行・証券・保険の3つに限って大蔵省の所管だったのか 。確実に言えることは
これらの業界を監督指導する部局が大蔵省の中にあったことで国債の発行が極めてスムーズに行われていたということだ 。
かつて10年債の募集についてはシンジケート団があらかじめ全額購入を約束していた、ということはすでに述べた。
つまり売り出す前から発行総額や利回りなどの条件に関係なく売り切れることが決まっているという、
普通の商売ではありえないことが行われていたわけだ 。金融機関の箸の上げ下ろしまで許認可制度で縛りをかけ、
文字通り生殺与奪を握っていた大蔵省が怖かったから、「今回は遠慮します」などとは口が裂けても言えなかっただけのことなのだ。
地銀協の会長ポストは財務省の事務次官クラスの天下り指定席だ。その理由は様々あれど最大の目的が国債の安定消化にあることは言うまでもない 。
2001年に大蔵省が財務省に衣替えするとともに、銀行・証券・保険業界を監督する金融行政は内閣の外局である金融庁に移管された 。
そして今銀行が最も神経を使っているのが、ドラマ「半沢直樹」でも描かれた「金融庁検査」だ。
検査には、メガバンクなどの経営全般を年1回定期的に点検する「通常検査」と大口融資先を集中的に調べる「特別検査」がある。
その目的は、不良債権の増加や特定の取引先に偏った融資で銀行の財務が悪化するのを防ぎ、金融システムを正常に保つことにある。
しかし過去には、金融庁検査は問題を抱えた金融機関を切り刻み、外科手術的に金融再編を促す刀として振るわれたこともあった 。
今現在はどうなっているのか疑問に思いましたので調べてみましたところ、2019年3月6日財務省のホームページには、こう載っていました。
国債市場特別参加者制度
国債の大量発行が今後も続くと見込まれる中、我が国では平成16年10月以降、「国債市場特別参加者制度」を導入しています。
これは、欧米主要国において、国債の安定消化促進、国債市場の流動性維持・向上などを図る仕組みとして導入されている、
いわゆる「プライマリー・ディーラー制度」を参考としています。
この制度は、国債入札への積極的な参加など、国債管理政策上重要な責任を果たす一定の入札参加者に対し、
国債発行当局が「国債市場特別参加者」として特別な資格を付与することにより、国債の安定的な消化の促進
国債市場の流動性の維持・向上等を図ることを目的としています。
日本の銀行は国と強力につながっている。日本の国債は暴落することはない、と思えますが、いかがでしょうか。