『投信バブルは崩壊する!』 (須田慎一郎 、2007)
ジャーナリストである 著者、 須田慎一郎さんが 2007年当時 、投資信託が 第二のバブルになり 、
人々が熱狂していることに 危惧して この本を書かれたようです。知識のない人たちが、
国の「貯蓄から投資へ」の旗振りに 、銀行や郵便局 といった、人々の信用の高いところで 、
売り手側にうま味のある商品を 買わされています。例えば定期預金が満期になった人などが
投資信託を勧められるがままに購入して 毎月分配型のお小遣いが手に入ることで 気をよくしています。
本来なら 価格の値上がり益を 喜ぶべきなのに 。元本を取り崩すことなく、 毎月 分配する ことは難しいことなのです。
〈以下一部抜粋・要約〉
「ETF( 上場投信)」の方がマシ
- 投信は絶対買うな!
- どうしても分散投資をしたいなら 「ETF( 株価指数連動型上場投資信託)」の方がマシ
なぜ投信がダメで、「 ETF」 の方がましなのか。 最も大きな理由は「手数料」にある。
その前にまずは 「ETF」 について説明しておこう。
「ETF( Exchange Traded Funds)」 とは、その名の通り、証券取引所で取引可能な投資信託で、 厳密に言えば投信の一種だ。
日経平均株価や TOPIX( 東証株価指数) などの株価指数に連動するように作られている。
一般的な投信にも、指数に連動する「インデックスファンド」があるが、実は似て非なるものである。
最大の違いは「手数料」である。
購入時にかかる「売買手数料」は インデックス・ファンドの場合 、最近でこそノーロード(手数料無料)
を謳う投信が増えているが、1~2 %のところが多い。
一方 、ETF の場合は、 株式と同様、証券会社で売買するので 、ネット証券を利用すれば 0.1~0.5%と1%未満ですむ。
保有している間にかかる 「信託報酬」も大きな差が開く。買うときの手数料が1/10程度で抑えられる上に 、
その後保有している間は毎年半分以下にコストダウンができる。
「ETF」 にもデメリットはある
もちろん ETF にもデメリットはある。
インデックス・ファンドが1万円前後から投資できるのに対し、 ETF の売買単位は日経平均なら10口から、
トピックスなら100口からとなっている。とはいえ投信販売に際して耳にする 「1万円からコツコツ投資できる」
ことにどれだけのメリットがあるのか。投資の王道は「安い時に買って高く売る」である。
ならば何もコツコツ買っていく必要はない安い時にまとめて買えば良い。 投信を1万円ずつ買うくらいなら、
ある程度まとまった資金が貯まるまでは運用商品に手を出さない。あるいは「リスクとは何なのか」
といった基本的な知識が蓄積されるまでは様子を見る、それが基本といえる。
信託報酬は「暴利」
話を「手数料」に戻そう。
投信は運用方法によって先ほど申し上げた「インデックス・ファンド」と「アクティブ・ファンド」に分けられる。
「アクティブファンド」はその名の通り、能動的な運用によって、より高いパフォーマンスを目指す 。
そのため「運用のプロ」と称されるファンドマネージャーが、組み入れる銘柄を積極的に入れ替えるなどして
インデックスを上回る成果を目的としている。この手数料がバカ高いのである。
購入時にかかる
「販売手数料」は インデックス・ファンドを上回り3%前後のところが少なくない。 それだけならまだいいが、
問題は「信託報酬」である。持ち続けている間は毎年1.5%前後が取られてしまうのだ。
本来の「資産運用」を歪めてきたマスコミ
資産運用を歪めてきた存在は、 銀行や証券会社などの販売会社だけではない。“ 罪深き存在“はまだいる。
最近書店では「投信」関連の書籍が所狭しと並べられている 。大半は見かけ上、投信に警鐘を鳴らしながらも、
その実、「良い投信と悪い投信を見極めましょう」と結論づけている 。タイトルから受ける印象は
「投信否定」だがよくよく読んでみると肯定で終わっている書籍がごまんとあるのだ 。
その背景には
投信の販売サイドに何らかの形で関わっている論者、識者が多いことが挙げられるだろう。
もし、あなたが、 雀の涙ほどの金利しかもらえない銀行預金から一歩踏み出したいのなら 、
まずは「個人向け国債」や 「ETF 」でマーケットの世界を学習していただきたい。
そこで商品知識や
マーケット情報を 培って、相場観を養ったら、 余計な思惑や手数料が入り込まない「株」を買えばいい。
何も臆することはない。あなたのお金なのだから 、その行き先はあなた自身が決めればいのだ。