ユタカ2イキルオテツダイ

ほんの少しずつ、ゆたかになってゆきましょう

アブダビ投資庁も頑張ってる

『政府系ファンド  巨大マネーの真実 』(小原篤 、2009)

 

正直に言って この本の内容を 簡単に紹介することは難しいと思いました。

 

一つには私たちがマスコミなどから得る情報の中にはめったに入ってこない、( また国によっては情報開示していない )政府系ファンド のことだからです。

 

しかし、政府系ファンドの総額(4兆ドル)の大きさには驚かされます。その動きも保守一辺倒ではなく長期的な視野にたちつつ

リスクのある投資もしています。

その資金が、金融危機の時に崩壊しかかった金融機関を助けた話などは投資の良い一面が見れて、

良かったと思いました。



<以下一部抜粋・要約>

 

最大の政府系ファンドは アラブ首長国連邦 (UAE) の政府系ファンド、 アブダビ投資庁 (ADIA)である。

 運用資産は 8750億ドル( IMF など推計)で、世界最大の年金基金である 

日本の年金積立金管理運用独立行政法人( GPIF) 1兆724億ドルに匹敵する。

 

日本とアブダビの巨大機関投資家を超えるのは 

欧州と米国の運用会社や 運用会社を子会社や 関連会社として傘下に収めている 巨大な金融グループだ。

 アブダビ投資庁の規模も 小さく見えてしまう。

 

 米国系のバークレー・グローバル・インベスターズは アブダビ投資庁の 2.4倍の資産を誇る 。

上位2社の運用資産は 4兆ドルで 政府系ファンドの 総額に匹敵する。

 

運用会社、 つまり欧米系ファンドマネージャーは 、世界各地の年金基金 、投資信託 、プライベート・バンキング 、そして政府系ファンドから運用資金を集めている。

 運用資金の中には、日本の公的年金 、企業年金や投資信託、 そして中東の富裕層の資金も含まれている。




世界一の政府系ファンドは 徐々に運用の一端を公開し始めた 。

米ビジネスウィークの報道によると、 資産配分方針は 、先進国株式 45~55% 、

新興国株式8~12%、 小型株1~4% 、国債12~18%、 社債などその他債権4~8%、 オルターナティブ投資5~10% 、不動産5~10% 、プライベートエクイティ2~8%、 インフラ投資0~4パーセント 、現金0~5%としている。




世界最大の米国経済は 80年代から始まった金融危機を経て、 製造業ではなく金融立国に生まれ変わった。

実質 GDP に占める割合で 不動産を含めた金融業が 製造業を上回ったのは 、プラザ合意の翌年だった 。

2000年代には 金融の割合は 20%台まで上昇し、一方の製造業は 、1980年を最後に 20%の大台を割り込み 2007年には 11.7%まで低下して IT、 法律、会計など 企業向けサービス業を下回った。




政府系ファンドの存在を 一気にアピールしたのは 、サブプライムローンの評価損や処理で、 財務力が傷んだ欧米の金融機関や 投資銀行への出資表明が相次いだことによる。

 中国系金融機関の 対外投資の拡大とも重なり、 新興国から 欧米金融機関への出資は 合計15案件で 810億ドルに及んだ。

 

14件当たりの最高額は シンガポール政府投資公社(GIC )が出資したスイス系の金融大手 UBS への98億ドル、2位はアブダビ投資庁がシティへ出資した75億ドル、 3位は (GIC)がシティへ出資した69億ドルとなっている。

 サブプライムローン問題が 投資活動の目立たなかった政府系ファンドの存在を 浮き彫りにしたと言える。






石油が尽きたとき、他に稼ぐ手立てを持たないアラブ首長国などは、国の将来のために

30年などの長期で、優良な企業などに投資をしているようです。

 

著者は日本は膨大な資金を活用していないと言っています。

 

これから、日本はどうなるのでしょうね。

日本人の技術や職人の確かさは優秀とされていますが、それだけではどうにもならない流れかもしれません。

 

難しい、投資や経済の世界を学ぶときが来ているのかもしれませんね。

頭のいい人たち、日本をよろしく。私たちおバカさんたちも頑張ろう。

 

政府系ファンド―巨大マネーの真実

政府系ファンド―巨大マネーの真実