ユタカ2イキルオテツダイ

ほんの少しずつ、ゆたかになってゆきましょう

人生相談

 50年以上人生相談の回答者をしている人の話

弱々しい声だった。白髪で痩せている、そんな老人だからきっとよく巷で聞くようなそんな話を聞くのだろうと思った。

話し始めるとのんびりとした口調で説明が長かった。

しかし、嫌味のない感じだったから味わい深いものが聞けるかもしれないとかすかな望みだけで聴き続けていた。

私は数日前から一つのことが気になっていた。

それは自分を楽しませることとか自分にエネルギーを注ぐようなことをしようとするときにストップがかかる癖があるということだった。

これはどこから来るのだろう、いつからこうなったのだろう、そんなことをぼんやり思っていた。

多分家族の中で、行われたと思う。

母から「あなたたちがいるから離婚しないのよ」と言われ、父親の、末っ子の私を馬鹿にして高笑いをするような様子を見て育った。

姉は親の見ていないところで私をいじめて面白がる癖があった。

そんなことを思い出しながら話を聞いていた。

先生は10代の頃から本を出版されておりその数は700冊にもなるだろうと言う。

それは父親との自分との関係に葛藤があり、書かずにはいられなかったと言うのだ。

非常に厳格な父親のもとで育ち、まるでカルト集団のようなものだった。

その中で自分というものを神経症を患いながら探していくような態度であった。

さてその話の中で私は少しずつ引き込まれていった。

 

自分の人生を活性化させるために毒を吐いて人を巻き込む人がいる。

「あなたさえ幸せならばお母さんはどうなってもいいの」

大変立派に見えるけれども、神経症的非利己主義と言って、自分を幸せにするエネルギーのない人は、人を巻き込んでいく。

自分に絶望するとサディスティックになってきて、そうするしか生き延びる方法がなくなっていく。

そして巻き込まれた人が人生相談に電話してくる。

それは伝染する。

家族の中で1番優しそうな子が餌食になる。

ひどいのになると一番上の子が優しくて鬱になり、妹や弟がそれをいじめるといった病理の家庭になる。

本当は親が自分の潜在能力を発揮して立ち上がればいい。

自分自身を活性化して自己実現をするのが1番良い。

しかし自分で立ち上がるのが大変だ。

自己実現をするのは難しい。

安易な方法は、優しい人を見つけてマイナスの感情を吐き出すことだ。

そして自分の心の問題を投影して「お前がダメなんだ」と破壊的なことを言う。

神経症になる人は、それを真に受けてしまう人。

おかしな集団にはその吐き出される役割を担う人がいる。

その役割を担う人が神経症になってゆく。

 

いじめのことを考える。

ずるい人は弱い人を見つけるのが上手い。

それをする人はいじめは悪いことだとわかっていてやっているのだ。

ターゲットとなる人は自分がなぜターゲットになっているかに気がついていない。

精神も体力も弱い。

そこに気がつくことでいじめの問題は解消されていく。

どうやったらファイトバックできるようになるのか。

それは自分に価値があると思うことだ。

しかしお前には価値がないのだと教育されて育っている。

僕は大変恩着せがましい親に「お前を育てるのに俺はどんなに苦労したか」と言われて育った。

そうすると自分は他人に迷惑をかけている、と思うようになり、他人に対して堂々とした態度でいられなくなる。

子供が不登校で、と相談してくる人で、あなたが悪いと言うと絶対に認めない親がいる。

絶対に自分の間違いを認めない人は、認めてしまうと自分が瓦解してしまうから。

いい親、であることで自分を保っているから、自分の非を認められない。絶対に認めない。

 

劣等感の強い人は自慢話をする。

自慢話の動機は劣等感。

人間の行動は、背後にある、考え方を強化するから、劣等感がより強くなる。

 

そういう人はどうしたらいいのか。

心の中に憎しみの感情があることに気づくと変わってくる。

 

さらに先生はこう言った。

白鳥は白鳥でいいんだ。

良い声で鳴けと言うが白鳥は良い声では鳴けない。

俺に期待しないでくれ。

良い声を期待するならナイチンゲールに期待してくれ。

悩んでいる人はこれが言えない。

 

「ウサギとカメ」の話。

なんでウサギは亀に声をかけるんだ。

うさぎには友達がいないんだ。

亀はなんでそれに応えてしまうんだ。

亀には劣等感があるからだ。

俺は亀だからゆっくり行くよって。

競争なんかしなくたっていいんだ。

早く走れなくたって亀には亀の良さがあるんだって、そこに気づくことができれば……

 

少年は、父親の前で直立して服従を誓った。

よく勉強もしたし、よく書いた。書かずにはいられなかった。生きていくためには書かずにはいられなかった。

書いて書いてペンを持てなくなるまで書いて。

そうなるとマジックに持ちかえて紙を4つに折って仰向けになってまた書いた。

青年は、透明な青い炎になってマイクの前にいた。

心のしこりがどのようにして出来るのか、何から作られているのか。

どのようにしたら無くなるのか、説いている。

人はそれに気がづいて、溶け出していくのだった。

 

マドモアゼル・愛さんの動画にゲスト出演された加藤先生を観ての感想でした。