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危ないのは、政府側っすわ【ホラーシナリオ】

『「通貨」はこれからどうなるのか』(浜矩子、2012)

日本は、対外純資産で世界一だと聞きます。

政府が持っているだけではなくて、民間も含まれます。

内訳は、海外の株式、不動産、債券などです。

ここ数年、各国は財政が厳しい状況が続いています。

もし、海外の株式、不動産、債権などが暴落し、国家破綻の国が出たとして、その国の債権を、大量に保有している日本は、世界一の、不良債権保有国になってしまうのですね。

そして、日本自身はどうなるのでしょう。

日本の政府の債務残高は、GDP356%(国際金融協会、2021)になりました。

いつもここが、わからなくなってしまうのです。

日本が世界一の金持ちであると言った場合は、民間が含まれます。

日本が世界一の借金国(GDP比)と言った場合は、民間は含まれません。

日本は大丈夫、と言うときの日本は、政府のことではないのですね。

難しいです。

日本政府が、国債の利払いなどができなくなる(デフォルト)可能性が出てきたとき、どのような対応策があるのでしょう。

民間から徴収するのですよ!

<以下一部抜粋・要約>

 

デフォルト発生!その時、日本は?

「デフォルトが起こると、われわれは家も貯金も全て失って路頭に迷うことになるのですか?」

最近たまに、こういうご質問をいただく。

前述の通り日本の場合、海外から債権者が押し寄せてくるわけではないので、一足飛びに財産の差し押さえや預金封鎖といった事態にまではならないだろう。

そのかわり、これも前に見た通り、日本国民全員が、痛み分けをしなければいけないということで、相当に不自由な生活を強いられることになる。

とはいえ、実際にそうなった場合のことをリアルにイメージするのは、なかなか難しい。

ただ、具体的な対策は、最悪を想定することから始まる。

ホラーシナリオを見るのは怖いが、見たからこそそれに備えることができる。

デフォルトについては、いざそうなった場合のホラーシナリオをひとしきり描いてみることにしよう。

 

真っ先に影響を受けるのは弱者

国々が債務不履行の危機に陥ると、IMF(国際通貨基金)の管理下に入るのが一般的だ。

そうなれば、まさに箸の上げ下ろしまであれこれ言われる不自由を強いられつつ、財政再建を進めていかなければならない。

このような状態になると、問題となるのは弱者に対して真っ先に影響が及ぶことが多いということだ。

まずは失業手当や生活保護費など、様々な補助金がカットされることになるだろう。

また、国民年金も影響を受けざるを得ない。

さらに、医療費の補助も今まで通りとはいかなくなるかもしれない。

高齢者や重病人にとってはまさに二重の苦しみとなる。

では、その他の人は大丈夫なのかと言えば、それは少々甘い考えだ。

もちろん、公務員の削減は不可避だ。

元々無駄が多かった役所や特別行政法人などが整理されるので歓迎だ、と考える向きもあるだろう。

それは全くその通りだ。

ただ、ギリギリまで何もせずにいて、一夜にしてバッサリ大ナタを振るうと、その衝撃と波及効果が大きいことは間違いない。

また、水道、ガス、電気などが官営である国の場合は、これらへの影響も考えられる。

日本において懸念されるのは水道だが、電気も今のような状況だとどうなることか。

1日数時間しか電気が使えないなどという事態も考えられなくは無い。

連鎖倒産でサプライチェーンが麻痺したりするかもしれない。

そうなれば、流通が国家管理下に入るなるということもあるかもしれない。

その行く行き着く先は統制と配給か……ホラーシナリオとしてはこういうことさえ考えられる。

ここまで至れば、もはや影響は地域、業種問わず全国規模である。

生活の不自由さは増し、あらゆる業種で給与削減やリストラが行われる。

では、潤沢な資産を持つ富裕層はどうか。

いわゆる預金封鎖、つまり自分の預金が引き出せなくなるという国家による「強制巻き上げ」については、現時点では可能性は低いだろう。

しかし、だからといって資産が安全とも言いがたい。

そもそも、価値のなくなった国債をたくさん引き受けていた金融機関は相当に厳しい状況に陥るわけで、倒産するところも出てくるだろう。

そこでペイオフ制度が発動されれば、確実に預金の1部について損失が発生する。

 

韓国では何が起きたか?

デフォルト後の世界をリアルに考えるのは実は、韓国の例が参考になる。

1997年、「アジア通貨危機」の影響により韓国はデフォルト寸前にまで追い詰められた。

その結果、韓国はIMFの管理下において財政再建を図ることになり、「朝鮮戦争以来の国難」と言われるほどの苦しみを味わうことになった。

まず行われたのは、財閥の解体である。

当然失業率は上昇し、景気も悪化した。

このIMF管理体制は、結局2001年まで続くことになる。

その際、この事態から一刻も早く脱却するためと言うことで、政府が資産拠出を国民に求めたことがあった。

それに応じて人々が金制品や指輪などを持ち寄る映像をご記憶の方も多いだろう。あれは強制ではなくあくまでも協力ということではあったが、資産家に対する無言の圧力は確実にあったはずだ。

だから、直接資産が差し押さえられると言う事はないとしても、そういう緊急対応的な租税負担とか、1時的な資金拠出を半強制的に求められるようなことは充分考えられるわけだ。

その結果、貯金があっという間になくなってしまうかもしれない。

 

今の日本は「アリとメタボキリギリス」の国

ここでもう一度、日本の財政状況について見てみよう。

2011年度の日本の財政規模は約92兆円であるが、そのうち税収で賄えているのは約40兆円。

国債を含むいわゆる借金は約44兆円にも及んでいる。

さらには国と地方を合わせた国債残高は800兆円を超えている。

国の借金の残高がGDPの規模をはるかに超えているのだ。

だが、何度も言うように、一方で日本は「債権大国」である。

つまり、今の日本の非常にユニークなところは、公的部門の赤字を補って余りある黒字を、民間部門が稼ぎ出しているところにある。

不景気に苦しみながらも必死に働いて国府を増やしている働き者のアリさんたちが、日本国民である。

一方、政府部門はメタボキリギリスよろしく、放漫財政の上にあぐらをかいている。

 

化石化する年金制度

年金問題は人口問題でもある。出生率の低下ぶりが多少予想外だったかもしれない。

だが、これについても、それこそホラーシナリオを早めに見据えておくことはできたはずである。

もちろん、当初約束した通りの支給額を守るべく努力するのが大事ではある。

だが、ことここに至っては、ある程度のシェアリングを考えざるを得ないのが現実だろう。

つまり、年金にも資産所得レベルによってグラデーションをつけるというようなことだ。

ある程度資産がある人に対しては年金を減額し、年金がなければ生きていけないような人にはしっかりと払う、ということだ。

 

デフレ解消への道はいずこに?

デフレ脱却のためにはどうすれば良いのか。

とてもシンプルな解決策があると思う。

それは、「金利と賃金を上げる」ということだ。

 

私(チキハ)の感想です。

日本の民間部門が稼いでいて、政府が浪費家なら、話はわかりやすいです。

浪費家から、お金を取り上げるべきです。

政府から委託を受けた企業が、中抜き、などで不当に利益を上げている、など聞きますが、それらの追求も必要でしょう。

社会保障費も削減して、やりくりしないと、もたない。

そして、破綻は、株主(関係資本家?資産家?)が負担する、ベイルインで行う(このような話を聞いた)。

それが、世界の潮流だと言う人がいます。

これからどのような変化が起きるのか、興味深いです。