ユタカ2イキルオテツダイ

ほんの少しずつ、ゆたかになってゆきましょう

国際政策協調ってなに?

『G20 の経済学 』(中林伸一、 2012)

 

「本書は東京大学の 公共政策大学院で 大学院生向けに行った授業に基づいている」 

とあるように、とても良くまとまっていて、偏りのない内容になっています。

 

私達の生活には直接は関係ないように思える国際的な話です。

ですが、日本だけを見ていても分からないことも多いです。

 

この本は2012年に書かれていますが、中国の人民元などは、2016年にSDRに加わり、日本を抜いて第3位の国際通貨となっています。

 

(SDR:国際通貨基金(IMF)に加盟する国が持つ「特別引き出し権」のこと。

出資比率に応じて加盟国に割り当てる仮想通貨で、通貨危機などで外貨不足に陥った加盟国は、SDRと引き換えに他の加盟国から米ドルなどの外貨を受け取ることができます。

IMFは支援融資をSDR建てで実施しています。世界貿易の拡大などにより、主要な外貨準備資産だった金と米ドルが不足するようになり、1969年に補完手段として設けられました。

 

5年ごとに構成通貨を見直しており、2016年10月から中国・人民元が算定基準通貨に加わりました。このため、ドル、ユーロ、英ポンド、日本円と合わせて算定基準通貨は5通貨になりました。大和証券)



(国際通貨基金(IMF):世界銀行と共に、国際金融秩序の根幹を成す。Wikipedia)

 

<以下一部抜粋要約。>




はじめに

 

 本書では、 2007年以降の 世界金融危機の中で 求められている国際政策協調について検討する。 

検討の対象とするのは、 為替政策や 経常収支不均衡の是正策、 金融危機への対応策や防止策 、新興国への 資本流入に対する政策対応、開発問題、 そして経済協力である。 

 

国際的なフォーラムとしては、 G 7( 日、米、英、独、仏、伊、加) の財務大臣・ 中央銀行総裁会議とサミット 、およびこの七カ国にロシアを加えた G 8サミット、さらに、これに新興国等を加えた G 20サミットを扱う。

 

これらの討議においては IMF (国際通貨基金)が重要な役割を果たしているので、 それも検討対象とする。




地球規模の政策協調におけるIMF の重要性

 

大震災など予期しない自然災害や、欧州の政府債務危機などが 国際金融市場を揺るがす時、 

ドル 、ユーロ 、円、ポンドという 主要な国際通貨と

 国際金融センターを持つG 7を 政策協調が重要であることに変わりはない。

 

 しかし、 先進国の力が相体的に低下し、 新興国が台頭する中で、 両者を含む G 20が「第1のフォーラム」として、 政策協調の主役になることが期待された。 

その G 20にも 、中国の政治体制や 人民元の問題からくる限界があり、 国際金融問題への 迅速な対応は期待できない。

 そこで、 先進国、 新興国 、そして低所得国を含む途上国が直面する 国際金融問題について協力するフォーラムが必要である。

 

 それは IMF や世界銀行( 国際復興開発銀行: IBRD) などの国際金融機関 (IFIs) をおいてほかにない。 

G 7やG20は法的根拠を持たないのに対して、 IFI s は 国際協定に基づいて設立されており、 設立協定の定めに従って、 加盟国を 拘束する権限を与えられている。 

いわば、世界経済の成長と 繁栄に 不可欠な国際公共財である。

 そのため、 世界経済が激変する中、 それを反映した改革と強化が喫緊の課題となっている。




金融通貨危機はなぜ起こるのか

 

古今東西繰り返されてきた金融・通貨危機をデータに基づいて 、丹念に調べ上げた本が出た。 

ラインハート、ロゴフ『国家は破綻する』である。 原著のタイトルを直訳すると、 『今回は違う』であり、 『8世紀にわたる金融的愚行』となっている。 

つまり、 古来、金融的な行き過ぎ、いわゆるバブルは何度も起こってきたが、

 そのたびに新しい衣をまとってきたということである。

 

しかし、バブルは崩壊して初めてわかるものだという見方は依然として有力である 。

これは、 「今、金融市場で起こっていることが バブルなのかどうかは、後になってみないと分からないから、金融政策はバブル潰しをしようなどと考えてはいけない」という見方につながる。 

「バブルが崩壊してはじめて、 金融政策の出番が来るのであって、 金融市場に流動性を速やかにかつ 大量に供給して 市場を安定させれば良い」 という考え方である。

 これは FRB の伝統的な考え方で、「Fed View( FRBの見方 )」と呼ばれる。





私(チキハ)たちは、学ぶことができます。

これからも形を変えたバブルは起こり、崩壊することが予測されます。

 

バブルがいつなのかは分からないと世界経済の中心、FRBが言うのですから私たちは用心したいものです。

何か資産を買うのであれば、バブルがはじけてからが賢いですね。

 

G20の経済学 - 国際協調と日本の成長戦略 (中公新書)

G20の経済学 - 国際協調と日本の成長戦略 (中公新書)

  • 作者:中林 伸一
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2012/01/24
  • メディア: 新書