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スーパー経営者

『21世紀の資本』(トマ・ピケティ、2014)感想②

私たちは、富裕国である豊かな国、日本に住んでいます。教育や、保険、年金に、富を分配しています。

それは、今後も続くのでしょうか。

この本は所得格差が広がってゆくのではないかと書いています。それは時代の中のサイクルのようです。

それは、資本主義の構造のようです。資本から得る利益のほうが、労働から得る利益よりも大幅に上回るといいます。

 

ここが、重要なところです。もともと資本を持っている人や、自分の取り分を自分で決めることができる

「スーパー経営者」に富が集中する。それをよしとする社会に疑問を呈しています。

 

著者は累進資本税の導入を提案しています。

国や企業の経済と金融の透明性なども。それによって、公平に富の分配がされることを考えているのです。

 

では、一般人の私たちは何ができるのでしょうか。私たちは、この本の中に書かれている、格差の歴史の中で出現した

「世襲中流階級」(人口のほぼ半数を占め、それは何とか自分の資本を獲得できた個人)であるか、

それをを目指して労働している人々なのだろうと思います。

それは成長の高い分野の仕事に就く、常に変化していくなどは重要な考えだと思います。

また、過去にはなかった新しい働き方の中で富を手にできる人たちもいるようです。豊かになる人が増えて、

道徳的な金持ちが増えることを期待したいですね。

 

<以下抜粋、要約>

 

ロバート・ゴードンなどの経済学者は、一人当たり産出成長率(以降、成長率)は米国を筆頭に、先進国では遅くなり、

2050-20100年には0・5パーセント以下になりかねないと考えてる。

私が見るに、最も重要な点__具体的な成長率予測以上に重要__は、成長率が1パーセントくらい

というのが実はかなりの急成長であり、多くの人が思っているよりはるかに急速なのだという点だ。

30年の単位でみると、1パーセントの成長率は累積成長率として35パーセント以上になる。

1.5パーセントの成長率は、累積成長率50パーセント超だ。

躯体的に言うと、ヨーロッパ、北米、日本が過去30年で見せた成長率は、1-1.5パーセントであり、

それでも人々の生活は大きく変化した。

1980年にはインターネットも携帯電話もなく、多くの人は飛行機に乗ったこともなく___。

19世紀以来、最先進社会がやってきたような、年率1パーセントで成長する社会は、深い永続的な変化を伴う社会となる。

成長は新しい格差の形を作り出すこともある。たとえば、経済活動の新しい部門では、きわめて手っ取り早く財産を築ける。

相続財産はあまり決定的なものでなくなる。

たしかに、1パーセントの成長率がもたらす変化は、3-4パーセントの成長がもたらす変化より急激なものではない。

だから幻滅するリスクもかなり高い。

 

注)幻滅する、とは以下に書かれていることではないかなと思います。

 

富の分配__ひいては資本所得の分配__は、常に、労働所得の分配よりもずっと集中している。

どの時代のどんな社会でも、人口の貧しい下半分は、実質的に何も所有していない。これに対し、

富の階層のトップ10分位はだいたい富国の60パーセント以上を所有している。中間の40パーセントが富国の5-35パーセントを所有する。

 

不安定化をもたらす主要な力は、民間資本収益率rが所得と産出の成長率gを長期にわたって大幅に上回りえるという事実と関係がある。

 

 

21世紀の資本

21世紀の資本