久しぶりに会う鈴子は、2人目の子供を抱いていた。
旦那さんは私を見つけると近くに寄ってきた。
私は、そこで宣伝していたコーヒー、
それを飲んでいた。
旦那さんもコーヒーを頼んだ。
「同じ音だ。ここのコーヒーメーカー、
同じものを僕持ってるんですよ」
なんとなく、合わせてくる感じが、あった。
しばらくすると、鈴之助が息を切らすようにして入ってきた。
暑いのに、バス停から15分歩いて来たのだ。
長い黒髪を、後ろで結んでいる。
ほつれた髪がゆれる。
自販機で冷たい麦茶を買った。
私と、旦那さんの間に座って、
湯のみでお茶を飲むような仕草で、
ペットボトルのそれを飲み始める。
「慌てなくて良い。まだ10分ある」
旦那さんはそういった。
1つしか歳が変わらないのに。
私の正面の離れたところに、姉が、いた。
「お前、顔が変わったな」
「どういう風に?元気そう?」
私はピンときた。
姉が私に向かって何かを言う時は、悪いことしか言わない。
父親と同じ。
少し、顔が黒ずんで、
眉間のシワは、刻まれている。
それ以上何も言わなかった。
それから、棺に入った義兄を見送り、精進落としをいただく。
私の横で、姉は、ビールを飲んでいる。
話しかける。
正面にいる鈴之助は、話の途中で横を向いて、
苦々しく顔を歪める。
義兄がうつ病で働けなくなったとき、鈴之助は16歳だった。
火葬を終えて、遺灰を、荷物を持っている旦那さんが持つ。
鈴之助は、小さな遺影だけを持って。
無口になって。
「最後には会えたの」
「入院するときに会ったのが、最後かな」
「大変だったね」